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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」184 ローマは「一代」にして成らず



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<最近の一冊> ローマは「一代」にして成らず
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1989年の秋だったから、ちょうど30年前になる。

その頃の私は、リクルートと組んで、
企業の新卒採用のための広報企画に取り組んでいた。
クライアントの印刷物や媒体広告、ビデオなどを制作する仕事である。

その最大のお得意様が大和證券だった。
当時、金融業界への就職を希望する大学生は多くいた。
が、銀行や生損保ではなく、証券会社に、
なおかつ、野村や日興や山一ではなく、大和を選んでもらうために、
どんなメッセージを送ればいいのか、私は四六時中、頭を捻り続けた。

証券会社は業法の規制と大蔵省(当時)の監督のもとにあり、
どの会社も同じような事業を行い、同じような商品を販売している。
やっていることでの差別化は図れない。
そこで着目したのが、大和の独特の新人教育システムだった。
もともと業界内でも人材育成に力を入れていることでは有名な企業だ。

「人の大和」。

このフレーズをキーワードにして、数々の広報を実施することになり、
その一環で、大和の人材観と人材教育を紹介するDMの制作を、
同社の人事部に提案することになった。

連日、リクルートの担当者と打合せを行い、
決めたタイトルが「強化書」だった。

人材教育について記したツールであり、なおかつ、
強いビジネスマンを育てるという目的から、この造語を生み出した。

ところが、ほとんどの提案にOKを出してくれていた大和が、
なぜか「強化書」の企画にだけ、乗ってくれなかった。
「見送り」の知らせを受けた30年前のショックは、未だに忘れられない。

数えきれないほどのネーミングやタイトルを作り出した私だが、
自身で最高の部類に入ると信じて疑わなかった「強化書」は、
かくして日の目を見ることなく、消えていった。

………………

月日は流れ、2004年。
起業・独立を応援するリクルートの『アントレ』に携わった私は、
その流れで経産省の起業家育成事業「ドリームゲート」にもかかわり、
WEBを使った起業力養成講座の出題と解説を担当することになった。

その講座の名称を、私は『起業・独立の強化書』と名付けた。
記憶という名の倉庫から、15年ぶりに引っ張りだされた「強化書」。
「ローマは一日にして成らず」だと、つくづく感じたものである。

翌2005年、『起業・独立の強化書』は、
朝日新聞社から一冊の本となって世に出ることになった。
「強化書」という造語が、市民権を得たような気がした。

………………

また、月日が流れた。
「強化書」発案からピッタリ30年後になる今年の10月末、
NICe協力会員の天田幸宏さんから一冊の本が私宛に送られてきた。

天田さんは出版プロデューサーとして名を馳せている人物だが、
自身の著作を上梓したのは初めてではないだろうか。

そう思って楽しみに開封し、表紙に目をやった。

おおっ!
感動のあまり、私は思わず声を上げてしまった。

『「ひとり起業」の強化書』。

そういうタイトルだ。
大げさだが、30年前に発案し、15年前に日の目を見た言葉が、
今、この時、ついに普通名詞になった。そんな感慨を抱いた。

存在すべき価値のあるものは、目利きによって守られ、広められる。
心からそう思えた。

ローマは「一代」にして成らず、ということだ。

天田さん、ありがとう。

【ドラッカー理論で成功する 「ひとり起業」の強化書】
日本実業出版社 1500円(税別) 天田幸宏著・藤屋伸二監修

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第184号(2019/1107発行)より一部抜粋して掲載しました。
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