「事例に学ぶ! 新事業実現法」第16回/森光繁勝さん(福岡県久留米市)「自分らしい生き方」の支援活動で縁が広がり、シニアが輝けるコミュニティカフェ開業へ
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「事例に学ぶ! 新事業実現法」
第16回
「自分らしい生き方」の支援活動で縁が広がり
シニアが輝けるコミュニティカフェ開業へ
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福岡県久留米市/NICe協力会員・森光繁勝(もりみつ・しげかつ)さん
ライフスタイル研究所 代表
http://www.lifesupport-kenkyu.com/
交流ひろば「ぷら〜っと ほーむ」運営
http://www.facebook.com/kouryucafe
NICe会員情報はこちら
http://www.nice.or.jp/category/members/members-kyusyu
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◆多彩な交流会の主宰を通じて育くまれた信頼とネットワーク
出会って間もない他人へ、1年かけて自分で改装した店舗の合鍵を
渡せるだろうか? 渡す側にも勇気がいるが、
それを受け取り、新事業に挑戦した森光繁勝さんもまた勇者だ。
2012年、森光さんは63歳の時に故郷の福岡県久留米市で
“自分らしい生き方”を支援する『ライフスタイル研究所』を発足。
「人は人と出会い、人とつながることで、
新しい自分を知り、心も豊かになっていく」との考えのもと、
参加者同士が交流しながら学べる講座やイベントを多く主催してきた。
『輝くママ起業講座』をはじめ、スキルアップを図る『フリーランス交流会』、
地域活性化や事業創造を目的にした『語り場カフェ』
シニアを対象にした『もっともっとR60』、『老い支度講座』など、
多様なライフスタイルと世代に合わせプログラムを考案し、
コンテンツごとに講師を招き、市内の公民館などで開催している。
その主催講座のひとつ、『若返り会話のコツ』に参加した同世代の男性が、
「久留米市の隣の小郡市に、地域交流のためのスペースを所有している。
まだオープンしていないが」と自己紹介で語った。
地域のためにアクションを起こす同世代だ!と、
意気投合した森光さんは、数日後さっそく見学へ。
まさか、訪れたその日に合鍵を受け取ることになるとは、
しかもカフェの“亭主”になるとは、思ってもいなかった。
◆高齢化が進む隣市の団地内で、地域活性化のためのカフェ開業
森光さんの自宅からは車で30分。
昭和40年代に建設された団地内にある元寿司店で、
部屋数もスペースも、講座を開くには十分。
材木関係者だったオーナーが、自ら改装したという店内は、
秋田杉のぬくもりと薫りにあふれている。
聞けばこの団地内には、約650世帯、1700人が暮らしているが、
高齢化が進み、坂道も多いことから、外出を控える住民が多いとのこと。
「ならば、講座の開催場としてだけでなく、地域の憩いの場にしたい!
コミュニティカフェはどうだろう」
森光さんの提案に賛同したオーナーは、その場で合鍵を手渡した。
「まさか自分が運営するとは思ってもいませんでしたが、
信頼に応えようと。ここは高齢化が進んでいます。
私が講師をできる老い支度講座や、これまでの講座の講師を招いて、
高齢者のためのプログラムも提供しよう。
毎日を自分らしく、住みたい地域で暮らすために、
そんな人と人がつながる場にしたいと思いました」
ぷら〜っと立ち寄って、ほっとする空間。
店名は、『交流ひろば ぷら〜っと ほーむ』と決めた。
それからオープンする9月までの約3カ月間、
森光さんは久留米市内での講座開催と、小郡市での開店準備に奔走した。
軽食も提供したいと、日替りシェフを募集したが、
「いないならば自分で」と、料理の勉強も始めた。
◆他者と関わることで湧いてくる勇気と希望。その力を糧に次の挑戦へ
「隣の市でカフェを始めることにした」と、
毎日立ち寄るコーヒースタンドで
偶然隣り合わせた元銀行マンと会話した。
「それならば!」と、大量の食器を無償提供してくれるとの申し出が。
またオープン後、高齢者に身近なニュースや健康アドバイス、
店の最新情報などをA4両面にまとめた“かわら版”も自作。
それを団地内の650世帯へ配布してくれるという協力者も現れた。
買い物が不便との声を聞き、近隣の農家に声をかけ、
店頭で野菜や果物の販売代行も始めた。
少しずつクチコミで常連客も増え、
森光さんが腕をふるう、「カレーちゃんぽん」も今や人気メニューだ。
「団地内にも、元気で技術やノウハウを持つ高齢者が大勢いるはず。
今は私ひとりですが、
地域の方たちが運営に関わってくれるようにしていきたい。
私のようなこんな団塊世代がいることが
同世代やこれから起業する人へ、何かしら、力になれば嬉しい」
夢を語れば応える人がいる。
頑張る姿に手をさしのべる人がいる。
そんな喜びと手応えを森光さんは実感し始めている。
いずれはコワーキングスペースやコンセプト型シェアハウスを
久留米市内で展開したい夢もある。
森光さんの挑戦はまだまだ続く。
2014.3.24
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.16