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新たなつながりで誕生した新たなビジネス事例、その起点となる発想と実現へのポイントを紹介
「事例に学ぶ! 新事業実現法」第8回 /鬼頭秀彰さん(東京都港区)知的障害児童とビジネスをつなげて、心に響く、手書き文字プロジェクトを展開


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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第8回
     知的障害児童とビジネスをつなげて
     心に響く、手書き文字プロジェクトを展開

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 東京都港区/NICeユーザー・鬼頭秀彰(きとう・ひであき)さん
 ZACCESS Consulting株式会社
 社会福祉プロジェクト キセキ ノ メイシ
 http://kiseki.co/
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◆文字が書ける“普通の”子どもたちと恊働関係に

ふと言葉に発することで、自分でも思わぬ発想が広がることがある。
「名刺ってどれも味気ないよね、印象に残る名刺ってどんなのだろう」

インパクトがあるものといえば、障害者が描くイラストだ。
個性的であり、さまざまな商品となって、社会的評価も上がっている。
だが、イラストを描けるのは、一部の才能を持つ人だけかもしれない。
でも、文字なら書ける子がたくさんいるのではないか。
その子どもたちが、誇りを持てるよう、ビジネスにできたら……。

2年半前、知人との会話をきっかけに、
知的障害のある子どもたちが書く文字を使って、
世界にひとつだけのオリジナル名刺『キセキ ノ メイシ』を始動したのが
ZACCESS Consulting(ザクセス コンサルティング)(株)の鬼頭秀彰さんだ。

最初に鬼頭さんが取り組んだのは、文字を書いてくれる協力者を探すこと。
ビジネスとしてきちんと成立させ、まっとうな利益を挙げ、
それを協力者たちに還元したい。
そんな鬼頭さんの思いに難色を示す施設担当者も少なくなかった。
いくつかの施設を訪ね、ようやく賛同してくれたのが、
一般社団法人からふるの代表であり、NICeのメンバーでもある、
社会起業家の吉澤泉さんだった。


◆批判はチャンスととらえ、発信情報の質量を改善

福祉だから安かろう悪かろうではダメだと、品質にこだわり、
プロのデザイナーと信頼できる印刷業者を選定した。
注文をサイトで受け、手書き文字をからふるへ依頼する受注生産方式で、
売上げの20%をからふるへ還元する仕組み。
少しでも還元を増やそうと、Webサイトは鬼頭さんが自作した。

トライアルを重ね、2011年11月、専用サイトを正式オープン。
本業であるコンサルタントの本領を発揮し、プレスリリースを配信した。
その甲斐あって翌年2月に大手新聞社などの取材を受けた。
反響は大きかった。が、批判的な意見も出始めた。
「社会的弱者を食い物にしている」と掲示板に投稿されたこともあった。
だが、鬼頭さんは、それを逆に「ありがたい」という。
「面と向かっては言えない本音を教えてもらえるのだから。
そういう見方もあるよね、それじゃ、もっと伝わるよう改善すればいい」と。

何より、子どもたちが喜々として文字を書いてくれることが励みになった。
ていねいに書かれた文字が手元に届くたび、
味があると感動し、手書きの大切さ、力強さを再認識するという。


◆小さなパーツも組み合わせひとつで、新しい形に

「人って、ちょっといいことがしたい、でもその機会がなかなかない。
『キセキ ノ メイシ』は、その小さなきっかけになれるのではないか」
鬼頭さん本人もそうだという。福祉への関心が特別高いわけではなかった。
“いいこと”を始めることで、別の“いいこと”にアンテナが立ち、
次の善意へとつながって、循環していく。雪だるまのように。

このプロジェクト、まだまだ成長を遂げている。
間もなく全国でお披露目予定の、15万枚ものポスターもそうだ。
複数の子どもたちが描くパーツを合わせ、ひとつのデザインを完成させた。
駅で見かけたら、きっと号泣するだろうと鬼頭さんは笑う。既に涙目だ。
そして10月には、来場者12万人のTOKYOデザイナーズWEEKにも出展する。
次にどんな“奇跡”を呼ぶのだろう。

多くの人ができること、よくあるものは、「普通」「当たり前」と思いがち。
だが、そう思われるものの中にこそ、奇跡の種が眠っている。
要は、組み合わせ方ひとつだ。
ふと発する自分の言葉に、それを見つけるきっかけが潜んでいることも多い。

2013.7.22 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.8

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