「NICeなビジネスプラン誕生秘話」第15回 松山久美さん(愛知県東郷町)
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「NICeなビジネスプラン誕生秘話」 第15回
第5回NICeなビジネスプランコンテスト ファイナル進出・優秀賞
松山久美さん(愛知県)
まちの保健室-松山くみ 代表
受賞プラン名称
「妊娠・出産を経験した女性のための健康サポートシステム
『まちの保健室』運営事業」
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◆看護師と保健師の経験を活かし、メディカルな視点で産後ママを支援
名古屋市に隣接する東郷町を拠点に、保健師・産後ケア指導員・講師として
これまで1万人以上のママたちをケアしてきた松山久美さん。
2017年12月開催の第5回NICeなビジネスプランコンテストでは、
事業をさらに拡大させたいと応募し、本選出場、優秀賞に輝いた。
ママの孤立化脱出事業、地域創世・地域活性化事業、
女性の健康サポート事業を3本柱とし、
具体的には、産前・産後ケアプログラムの拡充、保健師・助産師・
栄養士・カウンセラーなど専門家が常勤&地域の幅広い年代とも
交流できる活動拠点の設置、地域に特化したケアポータルサイト、
産後の職場復帰・就労支援など、3年後を目標に進める予定。
実績もあり、計画性も明確。だが、応募半年前まで、
「思いが強すぎて、ビジネス視点で考えていなかった」と正直に語った。
転機となったのは同年夏、愛知県主催『輝く女性ソーシャルビジネス
プランコンテストあいち2017』に応募したこと。この時、
応募者を対象にした講習会が開かれ、そこで出会った相談員が
NICe賛助会員であり、女性の起業創業支援をしている伊藤麻美さんだった。
「初めて伊藤さんと面談した時、ビジネス視点ゼロで頭が真っ白(笑)。
目指したい構想はあるものの、ソーシャルはボランティアになりがちで、
事業として成立・継続の道筋が見えていませんでした」
どうしたら現実的になるのか、考えを整理し、文章化してブラッシュアップを続けた。
◆1万人以上の生の声を聴き、育休&職場復帰の実情と課題解決に挑む!
両ビジコンに応募した背景には、多くの問題と危機感があるという。
「ようやく近年、産後ケアの必要性が認知されてはきましたが、
現場はまだまだ。産後ケアと言っても、身体だけのケアがほとんどで、
心のケアは足りていません。ママたちも不調や不安を感じながら、
『出産したのだから、育児に慣れていないから。仕方がない』と、
悩みを抱えたまま、心身の限界を超えている人も少なくありません。
企業は人手不足から、産後復職を望んでいますが、課題は山積。
また、産前・産後の悩みをネットで検索するママは多く、
質も量も情報が多過ぎて、正しい知識や地域に適した制度が得にくく、
不調のまま余計に悩みを深め、産後鬱や育児ノイローゼになりかねない。
2人目の妊娠に踏み切れず、ますます少子化も加速します。
産前・産後にまつわる心身の正しいケアを、ひとりでも多くに広めたいのです。
私自身がかつてそうでしたから」
2度の育休復帰を経験し、苦悩した当事者として、
身体と心の産後ケアの重要性を実体験している松山さんは、
ママ向けに注力する一方で、ケアするプロ側へも目を向け活動を開始。
◆専門家たちとの連携・協働で、ママを、女性を、地域を元気に
松山さんは、多くのママに喜ばれてきた改善策を集約し、オリジナルメソッドを確立、
それを専門家へ伝授する『産後プロフェッショナル講座』開催も始めた。
受講者は、助産師、看護師、運動指導士、整体師、インストラクター、
ママ向け講座の主催者・講師たちなどだ。
これまで名古屋市で開催し好評を得ており、今春には関東でも初開催。
今後も専門家仲間を広げつつ、協働で、復職してもらう側の管理者向け、
産休中の社員向け講座など、企業や行政へもアプローチしていきたいという。
幼少時から、地域の中で育てられたという想いがあり、
いずれ地域に関わる仕事がしたいと漠然と思っていたという松山さん。
育児も仕事もしながら、地域活動に貢献している女性たちを数多く見てきた。
ママが元気になれば、地域も元気になる、その逆も然り。
地元NPOや専門家との連携を広げ、それぞれの得意分野を活かし合い
本当にママたちが、女性たちが、心身ともに元気で輝ける社会へと
プラン実現へ向けて地道に進展中だ。
▲2017年12月開催 第5回NICeなビジネスプランコンテスト本選。表彰式では、リクルートキャリア アントレ編集長・菊池保人氏から表彰状を授与。表彰式後の記念撮影、左からふたりめ
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松山久美(まつやま・くみ)さん/愛知県東郷町
まちの保健室-松山くみ 代表
https://kumi-f.com/
○プロフィール 1979年6月28日、岐阜県中津川市出身。
結婚後も続けられる仕事で資格を得たいと看護師の道へ。大学病院に勤務
し、内科・外科病棟・外来など幅広く経験を積む。結婚し長女出産後、不
調を抱えながら職場復帰したものの、不安と不調に襲われ、第2子の不妊
に悩んだ時期も経験。その後、地域の保健師として復職し、第2子出産を機
に退職。2013年、自らの経験を活かして、まちの保健室-松山くみを開業。
名古屋市の委託で「赤ちゃん訪問」新生児・産婦指導員として相談業務を
しながら、産後専門保健師・産後ケア講師として活動。2017年、『輝く女
性 ソーシャルビジネスプランコンテストあいち2017』で、特定非営利活動
法人ビタショコ賞・名古屋銀行賞を、同年12月NICeなビジコンで本選出場
・優秀賞を受賞。小学6年生と2年生の2児のママ。
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2018.7.23 配信
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.69