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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ〜ん なるほどねえ」147 納屋に監禁される喜び ~アフター・ザ・こどもの日~



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<最近の感謝> 納屋に監禁される喜び ~アフター・ザ・こどもの日~
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5月5日の主役は、誰が何と言おうと、子供だ。
1年間の内、364日、親の人権蹂躙的な強圧支配に苦しむこの私が、
この日だけは、どれだけ調子に乗っても咎められることはない……。
子供の頃の私は、そのへんの空気をちゃ~んとわかっていた。
事実、大概の悪戯や不謹慎な言動や不服従は、笑って許してもらった。

問題は、その後だ。
慣性の法則とでも言えばいいか、
一度上がったテンションは、そう簡単に下がるものじゃない。
5月6日も7日も8日も、こどもの日の勢いのまま、私はやりたい放題になる。
そして予定通り、罰が下される。

納屋に監禁されるのである。
中で、反省していろということだろう。

しかし私にしてみれば、そんな展開は折り込み済みだし、
むしろ、閉じ込められることを期待して、やりたい放題をした節さえある。

拘束されているのだから、家事の手伝いを命じられることもないし、
宿題を片づけろとガミガミ言われる心配もない。
言ってみれば、懲役刑ではなく禁固刑である。この刑は存外、自由だ。
自由な私は、暗がりに目が馴れるのを待って、「歴史の旅」へと出発する。

山のように積み上げられた古新聞は面白かった。
水爆や原爆という言葉を覚えたのは、間違いなく納屋の中だ。
竜雷太という新人俳優のインタビュー記事は、今でも内容を覚えているし、
全勝同士の大鵬と柏戸が千秋楽で対戦し、柏戸が優勝した記事も目に浮かぶ。

綿が少しはみ出した布製グローブを見つけたときは、胸が痛かった。
恐らく祖母が、私の父か、父の弟のために縫ったものだろう。

古銭もあったし、刀剣もあった。得体の知れない農機具もあった。
曾祖父の茶箱や曾々祖父の柳行李の中身も面白かった。

そして『大日本帝国地図帳』。これは私を惹きつけた。、
戦前の社会科の副読本なのだろう。
朝鮮半島も台湾も樺太も、南洋の島々も、みんな「日本」……。
国内に目を向ければ、新幹線も高速道路もなく、
代わりにローカル線を示す記号は、蟻の巣穴のように全国に広がっていた。

納屋は、さながら入場料無料の歴史博物館である。
かつての蚕部屋の片隅で、少年の私は「世の中は変わる」ことを学んだ。

親の小言など、何一つ覚えていないが、
私を納屋に幽閉したことによる教育的効果は、間違いなく高かった。
ということを表明して、年老いた親への感謝のしるしとしたい。

平成最後の「こどもの日」の翌日に記す。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第147号(2018/0507発行)より一部抜粋して掲載しました。
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