増田通信より「ふ〜ん なるほどねえ」145 成長する社会と、弱くなる個人
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<最近の再確認> 成長する社会と、弱くなる個人
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『奇跡のリンゴ』で知られる青森県の農業生産者・木村秋則氏は、
若い頃、銀行マンになりたいと思っていたそうだ。
それだけに、うまいことをおっしゃる。
「農薬は、銀行にとっての担保や保証と同じだ。
農薬があれば、農家は農作物のことや土のことを深く考えなくなる。
担保や保証があれば、銀行は事業者のことがわからなくなる。
農薬は、農家を弱くする。担保や保証は銀行を弱くする」。
(橋本卓典著『金融排除』より引用)
考えると、この理屈は多くのことに当てはまるし、
便利になった現代社会の「弱点」を鋭く突く指摘だと思う。
25年ほど前、私が中国の地方都市で味わった衝撃は、まさに同質だった。
地元の人たちは、老若男女問わず、
クルマがビュンビュン走ってくる6車線道路を、事も無げに横断していた。
ただひとり、外国人の私だけがその道路を渡れず、取り残された。
渡れるはずがない。もし跳ねられたら……という恐怖に支配されているからだ。
私は、長年、信号機に頼って暮らしてきたために、
自分の身体能力の「程度」を見極めることができなくなっていたのだ。
社会システムが成長するほどに、人間個人は弱くなっていく。
この状況に無自覚のまま生きていくと、
いざという時、何の役にも立たない人間になってしまう。
そう、なりたくないから、私は起業家という生き方を選択し続けている。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第145号(2018/0409発行)より一部抜粋して掲載しました。
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