増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」76「それは高いが、それは安い」
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<最近の発見> それは高いが、それは安い
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世界文化遺産のひとつ、兵庫県の姫路城には過去4回訪ねているが、
大天守の修理を終えてからは、まだ一度もお邪魔していない。
なんでも、びっくりするほど外壁が白くなったらしく、
「白鷺城」を、「白すぎ城」と揶揄する人もいるとか。
そんなウワサを聞くと、やはり見物してみたくなる。
ところで新装オープンした姫路城の入場料(入城料)が、
他のお城に比べて高額だというニュースを耳にした。
いくらなのかと思って調べたら、1000円だという。
あれほどの歴史的建築物の内部にまで入れてもらって、1000円。
私は金持ちではないが、正直なところ「たったの1000円!」と感じた。
むしろ、これで高額というのなら、他の城はどれだけ安いのかという話だ。
検索エンジンで表示された順に書いていくと、
大阪城600円、岡山城300円、名古屋城500円、犬山城550円、
松本城610円、熊本城500円、大垣城100円、その次が姫路城で1000円。
確かに、よそは安い……。
だが、よく考えると、お城を訪ねて入場料だけで済んだためしはない。
ボートで壕巡りをしたり、売店で土産を買ったり、茶屋で団子を食べたり、
併設の庭園を見学したり、なんだかんだと「城内」でお金を使っている。
だからと言って、各地のお城が儲かっているかどうかは知らないが、
「安く呼び込んで、結果、財布を開かせる」このパターンは、
それなりに確立された観光ビジネスの収益モデルではある。
入場料、入園料、入館料など、この方法で成り立つビジネスは少なくない。
姫路城はその「業界の常識」を破ったという見方もできるが、
エジプトのピラミッドやニューヨークの自由の女神像など、
姫路城と同じ各地の世界文化遺産の入場料と比較すると、1000円は破格に安い。
つまりお城としては高額だが、世界文化遺産としては低額ということである。
所属カテゴリーを変えると、同一価値の評価が変化するという話だ。
たとえば「常時15品しか料理がないレストラン」より、
「常時15品も料理があるバー」のほうが、評価が高いはずである。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第76号(2015/5/14発行)より一部抜粋して掲載しました。
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