増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」55「酢豚の中のパイナップルを嫌悪する男たち」
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居酒屋で他の客が興奮気味に話すのを聞いて、仲間入りしたくなった。
「なんで酢豚にパイナップルを入れるのかねえ?」。
(お、同感、同感)
「あと、ポテトサラダに入っているリンゴ、あれもイヤだね」。
(そうそう! あれを初めて見たときは、泣きそうなったもんなあ)
「ポテサラにさ、缶詰のミカンが入っているのもあったでしょ」。
(あれは気持ち悪かった。ミカンを浮かべた素麺も気持ち悪いけど)
ちなみに、その店では話題にならなかったが、
レーズン入りのカレーライスとかピラフも私は苦手だ。
統計を取った訳でもないし、その手の資料を見た訳でもないが、
概して、この種の取り合わせに難色を示すのは男性だ。
もちろん物心付いた頃から、その味に親しんでいれば別だろうが、
どうも男性陣は、一度セットされた常識を変更するのが苦手な様子。
事実、フルーツ入り食品について文句を言う女性を見たことがない。
「意外な組み合わせ」が、新しい市場をつかむことは言うまでもないが、
その価値をすんなりと理解できるのは、やはり女性なのだろうか。
いや、そうとばかりも言えない。
秋田県横手市では、男性が「ガッコ(たくあん)入り大福」をつくったし、
福島県白河市でも、男性が「豚の角煮入り大福」を考案して人気を博している。
でも、やっぱり女と男は、何か、あるいは、どこかが違う。
何がどう違っているのか、しばし考えたら、見当がついた。
「ぶち壊さない」くらいの洒落っ気なら、男も許容できるのだ。
大福のアンコの中にしょっぱいものを入れたところで、結局は甘いお菓子だ。
だがパイナップルは、酢豚の味の前提を覆しかねないほどの影響力がある。
「小さな改革は許すが、大きな変革は認めない」。
男性が世の中を牛耳っていると、こういう理屈になるワケがわかった気がする。
社会を大胆に刷新しようと思ったら、ああだこうだと議論するより、
世の中の主要ポストに、女性をたくさん登用したほうが効果的だ。きっと。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
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へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第55号(2014/7/7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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