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vol.230【増田紀彦の視点・第135回 小さな会社の資金調達(1)「第三者割当増資」】



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Vol.230          2025.4.21
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起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第135回 小さな会社の資金調達(1)「第三者割当増資」
 
 
【2】 NICeニュース

 本日4月21日開催
 「ありがとう! 箕と環&なみへい」NICe交流会
 ほか10本
 

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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 第135回 
 小さな会社の資金調達(1)「第三者割当増資」
  
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米国トランプ政権の一挙手一投足に世界が混乱している。
正直、これから彼らが日本や各国に対して、何を言い出すのかわからない。
「こうなるはずだ」と理屈を並べてみても、
ことごとく、「過去の常識」が通用しない相手だと思い知らされるばかりだ。

であれば、むしろヘタな予測や拙速な動きは慎むほうがいいかもしれない。
ただし、直接、間接を問わず、
私たち小規模企業にも影響が及んでくることは確実だろう。

そこで、今号から急遽、複数回にわたって、
小さな会社の資金調達方法について書き記そうと思う。

今のうちに、備えるべきを備えておくのが経営者の責務である。


【会社だからできる資金調達=出資受け入れと私募債発行】

小規模企業にとって主たる資金調達方法と言えば、
金融機関を利用した事業資金融資だろう。

しかし、それ以外にも手立てはある。
いや、むしろ融資を受けるより、好条件で資金を調達できる方法がある。

ひとつは出資の活用。
個人事業と違い、会社は返済不要の資金である出資を受けられる。
株式会社にせよ、合同会社にせよ、
会社を設立しているなら、この特権を活用しない判断はない。

とくに今回は、株式会社の「第三者割当増資」について説明する。
後半では、合同会社の出資受け入れについても記している。

もうひとつの好条件で資金を調達できる方法とは、
「少人数私募債」の発行である。これについては次号で説明したい。


【出資比率を維持したまま増資を図る「株主割当増資」】

さて、株式会社の増資の方法は、大きく分けて、
「株主割当増資」「第三者割当増資」「公募増資」の3通りあるが、
「公募増資」は主に上場企業が活用する方法なので割愛する。

まず、「株主割当増資」。
これは、既存株主全員から出資割合に応じて増資を受ける方法である。

例えば、株主が3人いて、代表取締役のAさんが600万円、
賛同者のBさんとCさんがそれぞれ200万円ずつ出資しているとする。
3人の出資の合計である1000万円がこの会社の資本金だ。

仮に500万円のキャッシュを調達したいのなら、
この資本金を1500万円に増資すればいい。

その場合、新たにAさんが300万円、
BさんとCさんがそれぞれ100万円ずつを出資することになる。

つまり資本金は増加するが、3人の出資比率は変わらない。
ただし、3人のうちの誰かが増資に応じたくないのであれば、
その人を除外し、同意してくれた人だけから増資を受けることもできる。


【「第三者割当増資」は、もっとも現実的な増資方法】

とはいえ、賛同者のBさんとCさんが増資に応じられない場合もあるし、
増資自体には承諾を得られても、必要額に達しない場合もあるだろう。

その結果、代表取締役のAさんだけが増資するのであれば、
単に「自腹を切っただけ」の話であり、
だったら300万円を会社に貸し付けるほうが手っ取り早い。

そう考えれば、最初から既存の株主以外の人に、
新たな株主になってもらう方法を検討するのが現実的だ。
その方法が「第三者割当増資」である。
依頼相手は一人でも複数でもいいいし、個人でも法人でもかまわない。

前述の例を引き続き使うと、
Aさんの600万円、BさんとCさんの200万円ずつに加え、
Dさんから200万円、EさんとF社から150万円ずつ出資してもらい、
資本金を1500万円にまで増資するといったイメージだ。

依頼する相手は、親族や知人でもかまわないが、
業務上の関係がある仕入先や外注先、顧客なども検討対象にしたい。

取引先にとって、当該会社の資金繰りが改善されたり、
設備投資が図られたり、新商品開発や新規事業開発が進んだりすることは、
直接・間接にメリットになるし、出資した以上は頑張ってもらわねばと、
経営上・業務上の有形無形の応援を受けられることもあり得るからだ。

付け加えれば、例示したような出資者数や金額にこだわらなくてもいい。
10人から50万円ずつ出資してもらっても500万円の調達になる。
依頼する相手との関係性を勘案したうえで、
一人でも多くの依頼候補をピックアップすることが第一歩。


【議決権制限株式の発行で安定経営を】

ただし、「第三者割当増資」を実行した場合、
もともと株式の60%を保有していたAさんの出資比率は、
600万円/1500万円なので、40%に下がってしまう。

小規模企業の場合、やはり代表者が株式の過半数を保有しておきたい。
そこで発行を検討したいのが「議決権制限株式」だ。

定款に「議決権制限株式」の発行を定めれば、
株主総会での一部の事項に関する議決権を制限する株式や、
全事項の議決権を制限する(無議決権)株式を発行することができる。

もっとも、それでは経営に関する重要事項に賛否を表明できないし、
意見を述べることすらできないため、
「何のための株主か」と思う人もいるかもしれない。


【議決権を制限した分、配当を優先する権利を付そう】

しかし、現実には配当は得たいが、経営に口を出す気がない人や、
株主総会に出席するのが面倒だと考える人も少なくない。

そこで議決権とは別のメリットを用意する。多くの場合、
その株主に優先して配当を行う「配当優先権」を付ける。

「配当優先権」とは、会社が利益を上げて配当を行う場合、
最初に優先株主に対して決められた配当金を支払い、
配当原資が残るなら、普通株主にも配当を行うというもの。
厳密には、残った配当金についても、
普通株主と同様に再度配当を受けられる「参加的配当優先株式」もある。

「優先株式」を発行する場合も、定款にその旨を記載する。


【既存の株主が不利にならないよう配慮を】

気を付けたいのが、新発行の株式だけに「配当優先権」を付すと、
既存の株主が不利になる点だ。

Aさんは出資をお願いする立場だから、普通株式のままでいるべきだが、
BさんとCさんをそのままにするのは気の毒、というか不公平だろう。
なので、発行済みの普通株式の一部も優先株式に変更することが望ましい。

その場合、定款はすでに優先株式の発行ができるように変更してあるとして、
株主総会で、発行済みの株式を優先株式に変更する旨や条件などを議決し、
変更内容に関する株主の合意を得て変更登記を行う。

なお、小規模の株式会社であれば、
通常、発行した株式すべてに譲渡制限を付しているはず。
新たに発行する「配当優先権付き議決権制限株式」にも、
譲渡制限を付すことを忘れないように。


【合同会社も増資で資金調達可能】

合同会社も新たな出資を受けることで資金調達を図れる。

まず、現在の定款を確認してほしい。
出資者の増加や出資金額の変更に関する制限を定めているなら、
その条項を撤廃もしくは変更する必要がある。

定款上、問題がないなら、
新しい出資者の加入について、社員全員の承認を得る。
ここで言う社員とは、従業員のことではなく、出資者のこと。
後は、事前に取り決めた金額を振り込んでもらい、
社員の変更や出資金額の変更登記を行う。

なお、合同会社は出資額にかかわらず、
社員(出資者)1人につき1議決権になるので、
株式会社のように、出資額の多寡に神経質になる必要はない。

ただ反対に言えば、代表者が出資金の大半を拠出していても、
代表者以外に例えば4人の出資者がいれば、
代表者の議決権は5票中の1票でしかなく、これはこれで危険。

その問題をクリアするためには、定款に、
議決権を代表者(代表社員)のみに付すなどと定めておけばいい。
その分、株式会社における優先株式のように、
配当は代表者以外の人を優先する旨も定めておきたい。


【本当に大事なのは、資金獲得に向けた心意気】

ここまで、小さな株式会社や合同会社を例に、
増資による資金調達方法を説明してきた。

実際のところ、小規模株式会社の経営者の中には、
増資の実務に明るくない人もいるだろう。

しかし、難しいのは用語だけで、実務的にはさほど難しくはない。
煩わしく感じるなら、手続きについては司法書士などに委任してもいい。

大事なことは、会社の将来展望と出資者のメリットを明確にし、
説得力ある事業計画を立案して、依頼相手の心を動かすことだ。
そこに智恵と情熱を傾注すれば、出資獲得の道は必ず開ける。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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       NICe NEWS 
    Web更新、勉強会、お知らせ
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《Event》 
  4月21日(月)開催
  「ありがとう! 箕と環&なみへい」NICe交流会
  /archives/54413
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《Mr.NICe》 4月14日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」312号
  <最近の大統領> 成功体験の恐ろしさ
  /archives/54457
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《Mr.NICe》 4月7日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」311号
  <最近の対話> ごめんね、ケン君
  /archives/54449
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《NEWS》  4月2日更新   
  NICe日記大賞2025 発表!
  3月分の大賞日記 
  「古希を迎えて新しい経験を積む」
  /archives/47672
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《NEWS》  3月31日更新   
  NICeメルマガ臨時号【4/21開催 ありがとう! 
  箕と環&なみへい NICe交流会】
  /archives/54437
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納1級プランナー講座」
  東京会場 4月21日・22日、大阪会場 6月2日・3日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-1kyuu/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納2級プランナー講座」
  4月29日・30日、5月6日・14日・18日・26日・29日、
  6月5日、18日、24日、30日、7月17日、18日、ほか
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2kyuu/schedule/
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《Trial Lesson》
  一般社団法人 変形性股関節症と正しく向き合う会
  個別相談付きメディカル・アロマケア(=股関節ケア)個別体験会
  5月10日、24日、ほか
  https://henkeisei-kokansetsu.com/lp-medical-aroma-massage
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「職場備蓄管理者 資格講座 WEB版」
  5月20日、7月29日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-manager/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納2級プランナー認定講師 資格講座 WEB版」
  6月17日・7月15日、10月19日・11月16日、10月20日・11月17日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2koushi/
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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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上記のお知らせトップに掲載した、
本日4月21日開催の「ありがとう! 箕と環&なみへい」NICe交流会。
その舞台となる「47都道府県レストラン 箕と環」の主、
川野元基さんの取材記事が、
「“直接仕入れ”で飲食店の未来を拓く、
お客さんも生産者も喜ぶ三方よしの循環モデル」と題し、
NewsPicksに掲載されています。
 https://newspicks.com/news/13970026/body/
今夜のNICe交流会は、神田で集うファイナルとなりますが、
箕と環の未来、今後もNICeメルマガでご紹介します。
どうぞお楽しみに!

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
5月11日に配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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 増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
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