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第1回 NICe東海 頭脳交換会レポート





2011年11月23日(祝日)、いよいよスタートした「NICe東海 頭脳交換会」!
記念すべき第1回には、地元愛知県だけでなく、三重県、滋賀県、神奈川県から12名が参加した。頭脳交換会とは、ひとりのプレゼンテーターが自身の事業プランや経営課題を発表し、それをもとに参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で臨み、建設的な意見を出し合い、ブラッシュアップしていくNICe流の勉強会のこと。これまで、NICe全国定例会、NICe関東、NICe関西で定期開催されてきたが、東海エリアのNICe有志たちが綿密な打ち合わせを重ね、祝日のおめでたい日に「いざ出陣!」とあいなった。

■オープニング
会場となったのは、2011年9月に第11回NICe全国定例会が開催された名古屋プライムセントラルタワー13F。その時に、“おもてなし部長隊”として活躍した実行委員会メンバーがこのNICe東海でも中心となって大活躍。
まず先陣は、総合進行を務める野田哲也氏のあいさつ。続いて、実行委員長・菅沼之雄氏がNICe東海の開会を宣言し、ファシリテーター役の田村康子氏にバトンタッチ。


▲野田哲也氏→菅沼之雄氏→田村康子氏

「まずは自己紹介をしましょう」と、田村氏は話しかけた。緊張感を和らげ、頭を柔軟にさせるアイスブレイクだ。しかも、単なる自己紹介ではないらしい。「“三つ児の魂、百までも”という諺をご存知ですよね? 増田さんの講演を聞いたことがある方は、子どもの頃、好きだったこと、夢中だったこと、それが天性の適性であり、それを今の仕事に生かせているかどうかを確認してほしいのだと聞いたと思います。この“三つ児の魂”を自己紹介に含めてみたいと思います。魂っていうと、難しく感じるかもしれませんが、要は、『夢中で遊んだこと聞かせてください』です」

どんな子どもだったか、どんなことに夢中だったか。そして今はどんな仕事をしているのか。この3点を含んだ自己紹介タイムが始まった。トップバッターは、本日プレゼンテーターを務める鵜飼岳展氏。今もアクティブ派という第一印象だが、子どもの頃からそのようだ。「道に棒を立てて、手を離す。先端が向いた方向に、みんなであてもなく自転車で向かうという遊びに夢中でした。おかげで今でもナビなしで車の運転ができますよ」と、幼少期の数々の武勇伝を披露した。







東海銘菓を食べながら、進行役の田村氏をはじめ参加者からの質問や笑い声が飛び交うアイスブレイク。
こうして次々と、“三つ児の魂”自己紹介を全員が披露していった。現在の印象通りの子ども時代の人や、三つ児の魂がそのまま職業となった人もいるが、中には、「えええっ! そんな子どもだったの?!」という意外な人もいて、アイスブレイクというよりもカミングアウトという人も。全員が紹介を終えた時には、スタートからなんと1時間以上が経過。すでに会場内には緊張感のかけらもなく、すっかり和やかな雰囲気に包まれていた。


▲おかしを食べながらもNICe東海流? 東海にちなみ、今回は名古屋以外の銘菓にこだわってセレクトしたという。おにせん、うなぎパイ、ピケ8(ピケエイト)などを鵜飼氏が提供してくれた


■頭脳交換会


休憩を挟んで始まった頭脳交換会。冒頭、菅沼氏から頭脳交換会とは何か、その進め方、基本的なルールに付いて説明が行われた。



▲アイデアを自由に出し合うことが大切だと話す菅沼氏。テーブルに広げられた模造紙は、メモ代わりに、アイデア出しに、浮かんだイメージを絵にするなど、なんでもあり。アイデアを自由に出すことで、頭脳が重なって相乗効果を生むのが頭脳交換会の楽しみ。人のアイデアを否定しない。恥ずかしがらず何でも思いついたら出してみる。突拍子もないこと、どんなことでも、人の思いつきから結びつく可能性があるのだと呼びかけた


続いて田村氏から、「今日の最終目的は、みなさんが出してくれたアイデアから、強みをもとにした鵜飼さんのキャッチコピーを考えることです。お堅いものではなく、実際に使うかどうかも別にして、鵜飼さんのお人柄を伝えるようなものもありです。では、鵜飼さんが仕事でどういうこと目指したいのか、どんな課題があるのか、お話を聞きましょう」とプレゼンをスタートさせた。

なぜか、照明が暗くなり、聞き覚えのある『暴れん坊将軍』のオープニング曲が!!


▲プレゼンテーターを務める鵜飼岳展氏

■プレゼンテーション
株式会社エクシーズ CEO 鵜飼岳展氏


『暴れん坊将軍』に乗って始まったプレゼンは、まず生い立ちとこれまでの職歴の紹介から。

生まれは名古屋市随一の繁華街、栄。鬼ごっこではビル間を飛び越えて遊び、学校帰りはゲームセンター、青年期にはタバコ、酒、ディスコと、なかなかのやんちゃだったようだ。だが、ものづくりも好きで、大学では絵画科洋画を専攻。しかし卒業後は、「普通の世界の人」に触れたくて、宝石販売会社に就職し、営業職に。接客では「似合いません!こちらのほうがいいです」と、先輩社員が青ざめるような正直トークが逆に受け、新入社員100名の中で営業成績トップに。それでも何か満たされず、ものづくりがしたいと看板屋に転職するも、そこが倒産。ならばと、アニバーサリ商品やメモリアル商品の企画制作販売で独立。取引先のブライダル業者との縁から、シャンパンタワーに代わるオーロラタワーを手がけるも、その代理店が倒産(BGMがマイナーメロディに)。

しかし、大学時代から独学でコンピュータ知識も習得し、看板制作や広報の経験から、飲食店のサイト運営管理・プロモーション活動に携わることになり、それを機に一転(BGMが勢いのあるメロディに)。そして現在、飲食業界のマーケティングプロデュースを手がけて、数々の実績を上げているところだ。

マーケティングの基本である、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つに加え、人間(Person)力の5Pを提唱し、商品開発、価格設定、物件紹介、販売促進、店長・スタッフ教育、出店計画、損益管理などの分析まで、トータルにサポートしているという。

また、中国の上海に拠点がある企業の役員でもあり、看板資材・制作、ノベルティ商材の製造販売も手がけるほか、サイトや販促物の制作はもちろん、そこに使用する商材の写真撮影も自らこなしている。

さらに今後は、飲食店経営者のパートナーとして事業強化・信頼構築のため、POS(販売時点情報管理)を取り入れた飲食業向けのシステムを開発する計画があるほか、観光・宿泊・飲食情報誌制作会社、株式会社どこいこ と業務提携し、2012年1月に発行する名古屋版『どこ・いこ名古屋』の編集制作も手がけるという。

ここで、ファシリテーターの田村氏が説明した。
「飲食店のことなら何でも受けられる、看板制作からオープン企画から、運営から売り上げ管理まで。何でもできるのが鵜飼さんの強みです。と同時に、何でもできてしまうので、特徴をつかみとってもらえないことが、悩みなのです。
また、困り果てたお店の救済、時としてボランティアになってしまうこともあるそうです。何でもできるけれど、その中から今後強化して、お店運営の○○のことなら鵜飼だと、そういうキャッチコピーを今日は皆さんで考えていただきたいのです。今後、強化していく3本の事業について、鵜飼さん、説明をお願いします」



1.POS(販売時点情報管理)を取り入れた飲食業向けのシステム開発事業

管理だけのPOSではなく、お客さんを集める、売り上げを上げるためのPOSを開発。この背景には、経営者とは数字、それも損益を話すのが本来の自分の役目なので、そのために開襟して話せる信頼関係を築く必要があり、教える自身の立場を確立することが前提になるので、双方がメリットになるシステムを開発したいとの思いがある。

2.『どこ・いこ名古屋』の編集制作事業

クーポン誌ではなく、A4の1ページ1店舗のスペースで、50店舗を掲載。読者はホテル宿泊客、接待利用者とし、ステイタスのある高レベルの店を掲載する予定。ホテルのコンシェルジュは、実際には飲食店の詳細を知らないことが多いので、ホテルと飲食店をつなげる媒体にしたい。

3.上海のつながりを生かし、飲食店開店準備事業

飲食店のオープン準備パッケージを商品化する計画。開店時に必要なアイテムが日本の3分の1の価格で可能になる。現地には日本人社員が常駐しているので連絡も密。


●質疑応答

Q:お客様を集めるために必要な、集客、参客、接客、増客。4つの段階を踏むのですが、どこに力を入れるのですか?
A:僕自身がどこに力を入れるかではなく、お客さんがどこを必要としているかだと思っています

Q:どうしてお店は儲からないといけないのですか? 集客がなぜ大事なのですか?
A:経営者は自己実現のために向かっていくものなので、儲けや集客を上げなくてはいけないというよりも、実現するために必要なものに注力するのだと思います。また、経営者である以上、スタッフがいますよね。そのスタッフの生活も背負うので、経営者が売り上げを上げることは必要です

Q:『どこ・いこ名古屋』に掲載される店舗はお互いにライバル関係だと思いますし、プロデュースに関して、鵜飼さんが知り尽くしているお客さんばかりだと思うのですが、どういう掲載基準ですか?
A:10カテゴリー各5店舗です。それぞれ競合にはなりますが、掲載が目的ではなく、飲食店とホテルが親密な関係になってくれることが目的です。掲載されるメリットはお店だけでなく、ホテル側も宿泊客へのサービスが向上できます。また、ホテル同士も横つながりがないので、店舗とホテル、それぞれもつながっていくのではと考えています。ホテルと飲食店の懇親会を重ねて、コミュニケーションを取っていただく考えなので、情報交換の役目になればと考えています



Q:どこのキャッチをイチバン望みますか? 3事業とも、となると幅が広すぎると思います。
A:経営者の方が僕のことをご紹介していたくことが多いのですが、その時に伝わりやすくしたいです。飲食のコンサル? プロデューサー? なんか違うなぁと。つながりのある人が第三者に、僕の存在を伝えてくれるために、わかりやすい言葉が必要かなと思うんです。いろいろやってしまう、できるので、何業と言っていいのか? 興味を引くキャッチコピーが欲しいですし、業種を伝えたいです

Q:もっとも得意とする客層はどういう経営者ですか? ビール会社はビールもジュースも売っていますが、一番はビールと言いますよね。望む経営者の層は?
A:今から2、3、4店舗とお店を増やして発展させたいと思っている30代〜40代くらいの男性の経営者です。業種は問いません。業態的に価格は、ファーストフードのような低単価ではなく、最低でも平均客単価が2500円、3000円以上です
参加者:庶民的な飲食店じゃないですよね?
A:ホテルの宿泊客が読者層なので、飲食代の単価は上がります。
参加者:観光でせっかく来たから、っていう心理、ありますね

Q:売り上げを上げたいというより、自己実現のために店舗を拡大したい、というお客さんに打つようなキャッチコピーですよね?
A:はい
Q:飲食するお客さんというよりも、飲食店の経営者に向けて、ですね?
A:そうです

ここから2チームに分かれて、45分間ディスカッションがスタート!








●発表タイム

チーム秀吉
・単語を上げていくことで、何かつながることがあるのでは、という発想でスタート。
オールマイティ、器用、好奇心、デザイナー、インストラクター、プロデューサー、王子、応援団、集客、ワンストップ、店舗ドクター、シェルパ、芸大出身ハイパー、などなど

鵜飼さんが望む、「今から2,3店舗増やす、男性経営者」にピンと来るキーワードとして、業務拡大を入れたい。

「元気なオーナー募集中、延びているお店をさらに延ばす業務拡大匿名軍師!」

「軍師」のところは、鵜飼さん本人が得意な言葉に関連するワードにしてもらえればいいかなと。
テーマソングが『暴れん坊将軍』だったので、将軍様とか





チーム信長
・誰をターゲットかを詰めて、BtoB、真ん中かのBに対するアプローチから、それは経営者なのかオーナーシェフなのか。前者の経営者だろうということから、探し出した

「店舗数増大王!」

・もっといい言葉がないかと、出していった。ソムリエ、相談役、エキスパート、増える、増やす。

・増やす、を探っていく中で、実際に店舗を増やす時にはお金がいるよね、というところから、お金にまつわる言葉がいいのでは?と。
また、自ら出資をするという立場から提案すれば、出資責任も発生し、経営者側も内情や数字をもっといろいろ教えてくれるし、鵜飼さんの話も聞いてくれるのではと

・店舗のファイナンシャルプランナー。増店ファイナンシャルプランナー。

ストレートに、
「成長飲食店のファイナンシャルプランナー」とし、
銀行との交渉はお任せください、という見出しを付ける。
また、名前には、大王、将軍、などと付ける





●鵜飼氏から感想

「長い時間どうもありがとうございました。みなさんの話し合いの間もアイデアを聞いて、様子を見ていて、自分では発想していないこと、またチームごとの違いも、すごく面白かったです。持ち帰って、自分でまとめたいと思います。いろいろ使いわけるのもいいかと思っています。反応を見ながらブラッシュアップしていきたいですし、出資のアイデアも興味深いと思いました」


●エピローグ/参加者のみなさんから一言ずつ


「アイデアを出す時、みんなの意見を聞いて、また考えられるのが楽しかったです。印刷業視点での提案ですが、今日出た中から、名刺を複数の種類でつくってみてはどうかと。タイミングを見て配ってみて、反応を見ながらブラッシュアップしたらいいと思う」
「いい刺激になりました」
「やっぱり、楽しい。話し合ったことが、自分自身へ跳ね返りもあって。自分の会社のキャッチを考えてみると、自分につながると感じました」
「今日は初参加でしたが、自分に置き換えて考えらるところがあったので、自分なりに仕込んでいきたいと思います」
「自分に置き換えて、自分だったら、と立場を変えて考えられました。全国定例会の時とはまた違って、いろんな頭脳交換会があるので、次回も楽しみです」
「第一回に参加できて嬉しいです。場所が変わればまた異なるので、楽しかったです」
「新しい言葉が次々出てくることにわくわくしました」
「普段、こんなに頭が固くなっているんだと感じました」
「実際にキャッチをつくった後、これから業務がどう発展するのか。この機会があったからと、いつか、みんなに大盤振る舞いしてくれるんじゃないかと期待しています(笑)」
「それなら中華をご馳走してもらおう!」
「上海ガニがいい!」
「ということは、みんなで、上海に行けるかも!」
「鵜飼さんのおごりで!」
「次回へ続く、な感じで楽しかったです」
鵜飼氏「今、続くと言っていただきましたが、今日の成果も含め、また今後プレゼンでさせていただきたいです!」



■プレゼンテーターを務めた鵜飼岳展氏の感想と今後の抱負

「東海でも頭脳交換が始まり、その初回のプレゼンテーターにと言われた時、正直ドキッとしましたが、同時にスゴいチャンスだと思いました。自分が出せる情報を、善きも悪しきもできるだけ出して、質問を受けられる環境を提供すること、自分を出すことがファーストステップだと思って臨みました。

2011年8月に法人化したばかりで、とにかく人に会いたい、会わないと何も始まらないと思い、どこで会えるのだろうと探していた時に、NICeの全国定例会が名古屋であるじゃないかと。実行委員を募集していたので、やってみよう!と飛び込んで、そこから始まって今日があります。

第3者から正直な意見を聞かせてもらえる場を望んでいましたし、求めていました。次のステージとして、アイデアをいただいて終わりではなく、ここがスタート。どう生かしていくか、それをまた繰り返すことが大切だと思っています。今日は『初めまして』に過ぎません。まだまだ伝えきれていませんし、もっともっと意見を聞きたい。1回じゃもったいない。NICe東海で継続的に深めていきたいと思います」


■NICe東海 実行委員長・菅沼之雄氏から一言

「東海では初めての頭脳交換会でしたが、発表であそこまで達せられるとは予想以上でした。幅広い課題にも関わらず、質疑応答も発表者のまとめ方も素晴らしかった。ひとりで45分間考えても、あれほどのキャッチコピーは出てこないでしょう。そこが頭脳交換会の醍醐味でもあり、そのプロセスもまた、各自のビジネスに生かせると実感しました。

年明けからは毎月開催していきたいですし、やならいともったいない。また、頭脳交換会に限らず、NICe東海の番外編で参加できるような企画も混ぜていきたいと思います。開催地はしばらくの間、名古屋中心になると思いますが、東海は、三重県、岐阜県、静岡県、そして愛知県ですので、エリア全体で盛り上げていくよう努めたいですね。もちろんNICeは全国組織ですから、東海エリアだけで固まらずに、全国各地からも参加してもらえるような、参加したくなるような、真面目な会あり、お楽しみの会もありにし、SNSでもつながって、いいトライアングルをつくっていきたいです。

NICe東海は、関東や関西からすれば後発なので、いい意味で“やりたい放題”できると目論んでもいます(笑)。とにかく初回に満足することなく、さらにより良い会に進化し続けるよう、東海のみんなで育てていきます!」



取材・文、撮影/岡部 恵


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