第5回NICe関東 頭脳交換会@日本橋茅場町レポート
2011年10月12日(水曜日)、東京・日本橋茅場町で、第5回NICe関東 頭脳交換会が開催された。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の関東勢を中心に、岐阜県、大阪府、和歌山県からもNICeの仲間が駆け付け、総勢26名に。初参加も9名に及び、これまでのNICe関東で最多の参加者数となった。
●プロローグ
実行委員長の石井英次氏があいさつし、進行役の横山岳史氏にバトンタッチ。横山氏はタイムスケジュールを説明したのに続き、こう述べた。
「今日は長谷川さんを“解体”します! どんな人なのかがわからないと提案もままなりませんから、グループワークを2回やります。長谷川さんからまずは基本情報となる自己紹介してもらいます」
これまでのNICe関東の頭脳交換は、ひとりのプレゼンテーターが自身の事業プランを発表し、抱えている課題や問題を参加者に投げかけ、その解決策をグループワークで意見交換し、プレゼンテーターへ投げ返す、というスタイル。だが今回は少し異なるようだ。プレゼンというよりも、質疑応答によりプレゼンテーターを“解体”し、さらにグループワークも2度重ねるというのだ。これまでにない頭脳交換会、どんな展開になるのか?!
▲実行委員長の
石井英次氏(左)、ファシリテーター&進行役の
横山岳史氏(右)
●解体ショー ラウンド1
▲プレゼンテーターを務める
長谷川豪氏
拍手喝采で迎えられたプレゼンテーターの長谷川豪氏は、「解体されるにあたって、まずは基本情報です」と述べ、以下を自己紹介した。
・昭和50年5月4日生まれ、千葉県君津市に在住。
・君津の位置は、東京湾アクアライン(東京湾を横断して神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ高速道路)が通っている木更津の下(南)あたり。
・4人兄弟の長男。
・健康面は良好、血糖値は不明。
・個人事業で社会保険労務士と行政書士をしている。
・そのほか土地家屋調査士、宅地建物取引主任者、測量士補の保有を資格。
・父親が創業した『有限会社安房こがね』の代表となったが、会社としての事業は休眠状態。
・この会社の有効活用を今日のテーマとし、皆さんに解体していただき、今後の組み立てをしたい。
ここで横山氏が登場し、第1回目の解体ショーがスタートした。
「元ネタはこんな感じです。ここからが、皆さんの質問力が問われるところです。いかにしてここから長谷川さんのプラン、頭の中をひねり出すか!です。質問、どんな切り口でもOKです」
Q:前提として、会社設立に何か条件などは?
A:ありません。自由です。
Q:『安房こがね』は、建物とか、敷地は?
A:自宅で登記しています
Q:会社をつぶしたくない理由は?
A:父が起こした会社を長男の私がつぶすわけにはいかないという想いです。
Q:何かお父さんから想いを託されたとか? 何をしていた会社か?
A:託された想いはありません。新日鉄構内での作業(シートかけ、天井クレーン、接岸作業など)派遣をしていました。ヒューマンバンキングです。法律改正に伴い、労働者を親会社にお渡しする形で休眠し、法人格だけが残っている状態です。
Q:いくつかの資格がありますが、どの資格業務がメイン?
A:社労士がメインで、土地は提携先測量会社の補助で来た仕事を受けられる、行政書士はこれからガンバリマス。
Q:弟さんのお仕事は?
A:東洋医学の資格で施術しています。
Q:自営業?お勤め?
A:勤めています。
Q:君津市はどういう町ですか?
A:新日鉄があり、人口は9万人。マザー牧場が近くにあります。
Q:東京までのアクセスは?
A:電車、車、人によってはヘリコプター。電車で90分から2時間。高速バスもあります。
Q:会社の休眠期間は? また、前取引先とのつながりは?
A:平成19年4月からです。現在は取り引きがありません。
Q:債券、債務状況は?
A:クリアです。
Q:趣味は?
A:読書かなと思っていましたが、部屋にあるだけ買うだけで満足しているかも。読まなくてもいいんです。
Q:アウトドアでの趣味は?
A:ありません。
Q:事務所はご自宅とのことですが、道路に面していますか?
A:公道に面しています。駐車スペースは1台です。
Q:住宅街ですか?
A:はい。
Q:交通量は?
A:製鉄所に勤務する方がいるので人通りは24時間あります。
Q:工場地帯?
A:そうでもないです。
▲ファシリテーター
小林京子氏がホワートボードにわかりやすく見える化
Q:社労士、行政書士など、有限会社でできる資格は?
A:それらの業務は会社としてはやらないと考えています。
Q:どうしてそんなに資格を取ったのですか? 動機は?
A:就職は難しいかなと思ったので資格を取ろうと。
Q:受験したのは在学中ですか?
A:卒業してからです。資格を取るために、父の会社を食いつぶしたような感じあるから。その意味でも頑張ろうかと。
Q:職歴は?
A:木更津労働基準監督署労災課に非常勤として1年間勤務。通勤災害調査員です。その後、開業した先輩の事務所に7カ月勤務し、担当先をいただいて独立しました。
Q:社名変更する気はありますか? 変更してもかまわない?
A:できるなら、今のままで。
質問が出そろったところを見計らい、横山氏がお題を提示した。
「この士業をやりながら、休眠中の会社でセミナー業をやりたいというのがひとつあるそうです。そのほかにも、これまで出た情報を踏まえて、自由にディスカッションしてみてください。掘り下げるというよりも、好き勝手に発散してみてください。絞り込みは2回目に行います」
▼4チームに分かれて20分間のディスカッションが行われた。各テーブルからは笑い声や熱弁が聞こえ、まさに“好き勝手に発散”している
▲「その名前いただき!」「いずれは市長!」と声もアイデアもエスカレート
▲室内をまわり、意見に耳を傾ける長谷川氏、その心境やいかに?!
●解体ショー ラウンド2
20分後、少し興奮気味の場内を制しながら横山氏が解体ショー2ラウンド目を切り出した。
「だいぶ白熱していましたが、今までディスカッションしている時、長谷川さんが室内をプラプラしていましたが、質問をしなかったチームはありますか?」
あ、そういえば……。
「あんまりしていなかったと思いますが、どうでしょうか。さきほどの質疑応答はざっくりでしたよね? にもかかわらず、皆さん、あまり質問していませんでした。さて、今から10分間、今まで自分たちが話し合ったこと、書いたものが、本当に長谷川さんに受け入れられたものかどうかを踏まえ、もう一度、ここで解体タイムを設けます。質問、お願いします」
Q:和風と洋風はどっちが好き?
A:和風の方が好きです
(やっぱりね、と納得のチームがいくつか)
Q:珈琲と紅茶はどっちも好きですか?
A:どっちも好きです
Q:あんことケーキはどっち?
(案に彼がスイーツに詳しいとみんなに教えているんです!)
A:ケーキはある程度完成品なので、あんこです。
(ほ〜〜〜っと、感嘆の声が)
Q:和菓子か洋菓子か?
A:和菓子です。
Q:着物は着る?
A:着ません。ゆくゆくは着たいです。着物だとトイレに行けないと聞いたのでムリかなと。
Q:子どもは好き?
A:はい。
Q:お年寄りは?
A:はい。
Q:茶道はいつから?
A:大学生の時にやっていて、一時中断し、2年前から入門しています。
Q:自宅周辺はファミリーが多い?
A:小さい子が居ます。
Q:新日鉄のOBの方は?
A:住んでいる人も多いと思います。病院もあるので。
「ほかに質問はないですか?」と横山氏。
ここで長谷川氏は自ら、こう述べた。
「趣味のところで、なぜ茶道を挙げなかったかというと、趣味だとは思っていないからです。(じゃ何と思っているのか?と質問に対し)修道とか、身を修めるとか。より良き人を目指すためのもので。なので、休日ではなく平日の金曜日に通っています。仕事より若干上の方に据えて考えています」
「ほ〜〜っ」と感心する参加者。
続いて横山氏はこう投げかけた。
「ゼッタイにこんな提案してもだめ、ということを聞いておきたくはないですか?」
A:政治家とか?(笑)
この答えにあわてるチームからすかさず質問。
Q:自分の町は好きですか?
A:好きです。
(じゃ大丈夫よね、と安心する質問者)
Q:テレビ通販は好きですか?
A:あんまり芝居がかったのはどうかと。
(じゃだめかも・・、と落胆する質問者)
ここで横山氏は、前回のNICe関東で自身がプチ講演した素質学に触れた。
人の素質タイプは大別すると、人志向の「H」、目的志向の「E」、自由・楽しい志向の「A」の3種類に分類されるというものだ(参照/
第4回NICe関東 頭脳交換会@日本橋茅場町レポート)。
前回のNICe関東と同様にプレゼンテーターの長谷川氏について、
横山氏はこう分析し、これからのグループワークについてアドバイスした。
「次のグループワークに入る前に、頭に入れて欲しいことあります。人には3つタイプあります。
人に関わることでモチベーションが上がるタイプ、結果重視で考えるタイプ、自由気ままを価値基準にするタイプ。3つあると言われています。長谷川さんは、人タイプです。人と関わること、人のために何かかしたいサポートしたいという傾向が強いです。裏返すと、自分の気持ちをわかってくれない人に対しては何を言っても閉ざします。さきほどから私が『長谷川さんに質問して、聞いてください』と言うのはそこなんです。僕も同じタイプで、聞いて欲しいんです。
何がしたいか、どんなことをやりたいか、どんなことやりたくないか。特にやりたくないことを聞いてあげてください。目的重視で、お金がもうかるとか、こうなりますとか、レールを引かれると受け入れにくい傾向もあります。もちろん人タイプなので、にこやかには聞いてくれます(笑)。ですが、本人は喜んでいません。(ひえーーーーーっ!と会場がどよめく!)
人に関わるところにモチベーションが上がるタイプなので、その点も含めて、これまでのプランに膨らませてみてください。2回目のディスカッションを始める前に、もう一度確認したいこと、質問ありますか?」
Q:人見知りで人と会うのは苦手で、子どもが好きでシニアも好き。では、どういう人が苦手?
A:人見知りで人と会うのは苦手だけれど人は好きなので、苦手な年代はありません。
Q:人前で話すこと大丈夫ですか?
A:会場の雰囲気によります。きっちりやるような場で台本読みみたいなこと、プレッシャーがかかるようなところは苦手です。が、自分でハンドルできるならOKです。
Q:資格の中で、イチバンこれから伸ばしたいのは? 逆に資格は持っているけれどやりたくないのは?
A:苦労して取得した土地家屋調査士はやめるわけにはいかないです。社労士と行政書士はのばしていきたい。
Q:NICe日記のコメントは即座に書いているか? それともじっくり考えてから?
A:あれはゴーストが書いています(笑)。
第2回目の解体ショーを終え、「人思考を踏まえつつ、1回目に広がったアイデアを収束させるもヨシ、新たに肉付けするもアリです」の横山氏の掛け声で、グループワークの第2ラウンドがスタート!
▲▼20分間のグループワーク第2ラウンド
●各チームの発表
チーム「スワン」
・長谷川さんは、蔵書がすごいこと、読書量が多いこと、自宅があること、スイーツに詳しいこと、キャラが面白いこと。これらが資源だということろから、資格は除外して事業プランを立てた。
↓
・NICeネームが「3行の吟遊詩人」であり、三行さんと呼ばれるように、NICeでも短くコメントするのが得意というところから、業種は「読書コンシェルジェの貸本業」。サービス内容は、以下。
・たとえば、「時代劇でお姫様がそこそこいい感じの小説は?」と聞くと、お勧めを教えてくれるような、独自検索サービス。
・会社スペースを生かし、私設図書館にし、そこでマニアックな会話も楽しめるようにする。
・普通の図書館では飲食できないが、飲食をOKにし、「この小説に合う和菓子はこれ」と、本の友のコンシェルジェもしてくれる。
・私設図書館の名称は「オイラ」(長谷川さんが自称する時に使用しているから)。
・さらに収益性での案。文庫本の末に短文でほかの書籍を紹介している箇所があるが、これは小説ジャンルでしかないので、三行であらゆる書籍を紹介できる才能を生かし、ネットでもコンシェルジェやコンサルタントとして名を馳せていく。
チーム「あんどう」
・和が好きということで、テーマはお師匠さん。名前を継ぎたいという社名『安房こがね』も、とても広がりがあり、ネーミングセンスの良さを感じるので生かす。和食の店、和菓子の店、なんでもできそうという発想でスタート。
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・茶道へのこだわりを生かして、男の人向けのマナーではなく精神世界を教える教室ができる。新日鉄のOBに興味を持っていただけるのではないか。
・ただし、教えるだけだと長谷川さんの資源を生かしきれないので、ここで各種の相談もできる。悩みを三行でまとめてくれるサービスや、人へのスイーツ贈り物の相談にも応じられる。蔵書もあり、貸し出しもあり、癒しの交流も空間も情報も提供できる。これは子どもからお年寄りまで、人が好きな素質も存分に生かせる。
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・年代を問わず、通いたくなる場所として提供できる。
・勉強前にお茶を立て、精神を集中させる寺子屋風の塾、蔵書貸し出しスペース、各種相談できる憩いの場とする。
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・茶道の心を基本とした、駆け込み寺にもなり、寺小屋でもありということから、ネーミングは「駆け込み寺小屋・安房こがね」とする。ゴロもいいのでは。
チーム「パッと」
・いろんな資格を持っているのでそれを生かすという点でスタート。
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・自分も来月セミナーをするが、その準備は実に大変。ネタづくり、会場探し、日程決め、そして一番の問題は集客。チラシ作成や配布は本業の合間に深夜行ったり、Webで告知したりしている。
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・セミナー開催に必要な事務作業や下準備は、その一部を単発でサポートする企業はあっても、トータルでサポートするところは少ない。投資する必要もなく始められる。
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・セミナーを総合的に請け負う事業で、講師の本人がその時間に会場へ来さえすればいいというサービスを提供する。セミナー全体を設定し、それを商品とすることは、長谷川さんの専門性も生かせるし、ほかの技術系セミナーにも生かせると思う。さらには、セミナーの講演内容もオプションにすれば、様々な資格もフルに生かせるのではないか。
チーム「道(みち)」
・長谷川さんはSNSのコメントが深く、ワケがわからない、面白い人だなと思う。また、特徴として、和歌山のNICeな仲間に匹敵する裏声、哲学的な示唆にとんだ発言、そして新日鉄の町(製造業の町)を掛け合わせ、“三行”と“産業”をかけて、「三行(産業)安全コンサルタント」とする。これを起点に将来図を描いた。
↓
・一般的なコンサルタントはよく語るが、長谷川さんは多くを語らず、しかもルールを守ろう!という気にさせる、短文で心に響く指導を行えるはず。
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・それが口コミで広がり、一躍有名になり、日本中からオファーが殺到する。
しかし、「オイラの体はひとつしかないのでそんなに行けませんよ」ということで、DVDをつくりましょうという話に乗る。弟さんが東洋医学方面に従事しているので、コラボし、腰痛防止体操をDVDにし、長谷川さん直々にテレビCMに出演し、通販する。裏声を生かす。
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・そのキャラで一躍人気者になり、いずれは君津市長となる。
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・引退後は、セレクトブックショップを起こして、起業・恋愛・進路など、様々な悩みを聞き、多くを語らず3行アドバイスと本を勧める。全国の迷える子羊がやってくるようになる。
・別案/君津という町に着目し、人をキーワードに分解。人口9万の町に、新日鉄やマザー牧場があり、多くの経営者、経営幹部、従業員、お客さま、取引先もいるだろうと考えられる。
↓
・各大手企業胃は専属の社労士いるだろうが、表では言えない悩みを聴くという仕事があるのではないか。また、長谷川さんは、繊細で真面目で、照れ屋という印象がある。自分から話すというよりも、むしろ、聞くほうがいいのではないか。
↓
・お仕事相談所、働き方カウンセラーを勧めたい。資格業で守秘義務もあるため信頼も得やすく、必ず秘密は守るということを明記し契約もできる。駆け込めるところがなくて困っている人へのサービスが提供できると思う。
●エピローグ
進行役の横山氏から締めのあいさつ。
「最初のブレストの感覚と、2回目とで、また違って出てきた発想もあれば、さらに1回目から掘り下げされたチームもあったかと思います。いつもの頭脳交換会だと、時間がなく、質疑応答タイムも1回しかなく、チームの人を入れ替えるなどしていますが、どの方法が正解かではなく、いろんなパターンでやってみて、どれがマッチしているか、やりやすいか、模索する必要があると思います。今回は、解体という切り口で聞いてもらうのはどうだろう、とやってみました。また、自分が勉強しているということもあり、人にはどういう素質があるのかを切り口にしてみました。質問する、考える、また質問するを繰り返して、頭脳のキャッチボールができたかなと思います」
長谷川氏からのあいさつ。
「おおむね各チームで共通しているところは、人の問題や不一致を相談できることで、助言、問題解決を支援するというところかなと思いました。自分もやりたいことのひとつですので、参考になりました。ありがとうございました」
ラストに実行委員長から次回の案内と、10月と11月に開催される無料の会計セミナーの告知があり、お開きに!
▲11月11日(金)に東京調布市で開催される
「中小企業会計啓発・普及セミナー」の講師を務める
佐藤浩崇氏。「調布は新宿から京王線で15分です。会計を税務申告のためだけに使うのではなく、経営に生かすために数字をどう動かすか、数字の意味などを話します。中小機構のテキストを自分なりに柔らかくしてお話するつもりです。ぜひご参加ください」
■プレゼンテーター長谷川豪氏の感想と今後の抱負
「プレゼンする人になって良かったというのが、ありきたりですが偽りのない感想です。考えていたことと、皆さんの意見と一致することが多く、やり取りもしやすく、得られた結果も受け入れやすかったです。素質論導入のおかげでしょうか。
多くの方々にご参加いただく中、大阪・岐阜・和歌山からのご参加もあり、『今後の頭脳交換会に悪影響がありませんように』と思いながら当日を迎えました。実際は杞憂でした。横山さんと小林さんという名ファシリテーターがうまくやってくれます。プレゼンするか迷っている方はご安心ください。大阪の参加者から 『僕にとっては全国定例会でした』とのお言葉をいただき、肩の荷がおりました。報われる努力をする機会を与えてくる場所がNICeなんだと思いました。
頭脳交換会では『人の話を聴く』というのがコアスキルでしたので、傾聴について学んでいこうと思います。産業カウンセラーという資格が既事業との相性もよさそうなので、受験を検討中です。最後に、皆さまどうもありがとうございました」
■ファシリテーター横山岳史氏の感想
「頭脳交換会というと、束縛のない自由な投げかけ合いで“あり得ない発想が盛り沢山”というNICeならではの素晴らしい会というイメージがあります。その一方で、プレゼンテーターが“自分に合った実現性”を欲していることも感じ、なんとかそちらにも応えることができないかと考えていました。そこで今回は、頭脳交換を1回目(自由な発想)、2回目(現実的な補正)に分け、その間にプレゼンテーターの希望を再認識してもらうことにより、あり得ない発想が、よりプレゼンテーターに合ったプランになるのではないか?と考えました。
プレゼンテーターがそばにいるのに質問していないことや、『希望を尊重していますか?』『どんな人なのか意識していますか?』などの問いかけをしたこともあり、2回目では、頭脳交換への姿勢や意識が変わったように感じました。プレゼンテーターとしても、質疑応答を繰り返したことで、各グループの気持ちが見え、発表に納得感が増したと思います。
人には多種多様な価値観がありますし、参加される方々の状況も問題も様々です。NICe関東は、そういう様々なものの坩堝だと感じています。ビジネスではPDCA(P=Plan・D=Do・C=Check・A=Action)は当然のように行っていますよね? NICe関東は、NICeのPDCAのひとつなのでは? と、参加者が各々意識できる、そしてそれを自分の事業にも利用できる。そんな会になれるといいなと思います」
取材・文、撮影/岡部 恵