Vol.258【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」:第69回「生々しい」価値】

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Vol.258 2026.7.13
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第69回 「生々しい」価値
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第69回 「生々しい」価値
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私の会社を長年支えてくれた元社員と、久しぶりに食事を楽しんだ。
歳月を重ね、互いの境遇や食い扶持や体型がどれだけ変化していても、
ひとつのゴールに向かって同じ時を刻んだ仲間との絆は強い。
昔話も楽しいし、今の社会やビジネスの分析も盛り上がる。
そしてこれからの人生についての会話は何よりの刺激になる。
そんな彼女は今、東京を離れて山梨県で飲食店と宿泊施設を経営している。
彼女は、夫が焼いたフィナンシェと、
もうひとつ、いかにも山梨県というお菓子を携えてきた。
「おっ、信玄餅」。
信玄餅は山梨県を代表する銘菓である。
柔らかい餅に黄粉をまぶし、黒蜜をかけて味わう。
ところが、彼女の土産をよく見ると、
信玄餅は信玄餅でも「生信玄餅」と書いてある。これは知らない。
興味深いので、深夜の帰宅にもかかわらず、
すぐさま包みを開いて、ひとつ、口に放り込んだ。
絶妙な柔らかさ。食感で言えば求肥(ぎゅうひ)に近い。実に美味しい。
もちろん「生」とは言っているが、火を通さなければ餅は作れない。
要はその瑞々しさが、まるで「生」の食材のようだ、ということだろう。
そう言えば最近は「生」の付く菓子や食品がめちゃくちゃ出回っている。
もともと日本は海の近く、川の近く、野山の近くに町が開けているから、
大陸の国々のように保存状態を気にすることなく、
生が美味しいものは、そのまま生で食べる習慣がある。
このへんの経緯に、日本人の「生」信仰のルーツがあるのかもしれない。
生魚(刺身)、生肉、生乳、生卵、生わかめ、生野菜などなど。
もっとも生ソーセージや生ハムのように、
海外由来の食品の中にも火を通していない食べ物はある。
また、生麩や生湯葉、生春巻きのように、
食材自体は加熱しているが、その後の加熱調理を省いても食べられる、
という意味での「生」もある。
一方、加熱して食べるのが前提ではあるが、
販売段階では加熱していないという意味で、
生餃子、生ラーメン、生パスタなどの商品も流通している。
このへんまでは、どうにか「生」と言えなくもないが、以下は少し微妙だ。
例えば生チョコレートとか生キャラメル。
「生クリームをたくさん入れた」チョコやキャラメルということか。
口溶けの良さが生っぽいという言い分もあるだろう。
しかし、生どら焼きや生大福、生ドーナツはさすがにどうだろう。
「生」=新鮮・美味というイメージが日本人には根強いから、
マーケティング的に、その方向に寄せたい気持ちはわかるが、
あまりにも「生」という言葉と商品の実態が掛け離れていると、
景表法が禁じている優良誤認に問われる危険があるから注意が必要だ。
いずれにしても、生ブーム。
この発想を飲食料品以外のマーケットで生かしてみたい。
実際、あらゆる業界ですでに「生」は使われている。
出版業界なら、印刷データになる前のテキストを生原稿と呼ぶし、
IT業界には、生コードや生ログ、生データなどの言い回しがある。
音楽業界なら、生バンド、生演奏、生音、生歌、生声。
建設業界の生コンや繊維業界の生糸、放送業界の生中継……。
要するに、何らかの加工が施される前の状態のものに、生が付く。
加工するのは、それを修正したり、大量化したり、保存したりするため。
であれば、それらが施されていない状態(段階)のものには稀少価値がある。
とくにヒット商品やヒット作品の発表前の痕跡には価値がある。
有名アーティストのデモテープや有名漫画家の下書きなどのように。
そこで起業家の皆さんに提案。
提供している商品やサービスは、当然、ヒットを狙って世に出しているはず。
だったら、そうなることを念頭に置いて、
事業計画書や企画書、それ以前のアイデアメモ、開発ノート、
製品のラフスケッチ、設計図、試作品、議事録、
工程表やチェックリスト、またそれらに使用した文具や道具などを、
事業化後もしっかり保存しておくといい。
それらの価値が、後になってグングン上がる可能性があるからだ。
仮にそれらに金銭的な価値が付かなかったとしても、
事業化プロセスをトレースできる資料は、関係者にとって最高の知的財産である。
さて、少し先の話になるが、2027年4月、山梨県北杜市にある、
冒頭に出てきた元社員のお店を借りて、頭脳交換会を開催する。
参加者たちの「生々しい」プレゼンと「生き生きした」発言が今から楽しみ。
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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上記の文末で書かれている、山梨県北杜市での頭脳交換会。
会場となるのは、八ヶ岳山麓に抱かれた
築170年の古民家オーベルジュ「Terroir愛と胃袋」です。
https://aitoibukuro.com/
5年前の秋に、増田代表と小林理事らが赴き、
開催された時の様子がこちら。
/archives/52319
来春の開催について、詳細が決まりましたら
またメルマガでも参加方法などご案内しますので、
どうぞお楽しみに。
次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
7月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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