第67回 伸びるユニセックス(男女兼用商品)

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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第67回 伸びるユニセックス(男女兼用商品)
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カナダで開催されていたメジャーリーグベースボールの中継を見ていて、
ふと思った。隔世の感あり、とでも言えばいいだろうか。
球場に詰めかけた何万人の人々のほとんどが、
当たり前のようにベースボールキャップを被って観戦している。
昨今は日本でも贔屓のチームのキャップを被るファンを見かけるが、
私が子どもの頃は、そんな観客は一握り、いや、ほぼいなかった。
その当時、ベースボールキャップ(野球帽)を被って外に出るのは、
せいぜい小学生の男の子に限られていた。
それが今や、大人も子どもも、男性も女性も、だ。
調べてみると、グローバルでの「ベースボールキャップ市場」は、
昨年がおよそ約2兆6850億円。今年は約2兆8950億円に達すると予測され、
2030年代にかけて毎年8%程度の成長が見込まれているそうだ。
すごい市場規模だが、仮に昔のように、
「ベースボールキャップは男性のもの」だったら、市場は半分。
考えてみれば、帽子だけじゃない。
球場で熱狂するファンの多くは、男女限らず、
チーム名やスローガンがプリントされた同じTシャツやパーカーを着用していた。
そう言えば、ストリートダンサーやスケボー選手たちのウェアもユニセックスだ。
細いことを言えば、
イベントのスタッフやラーメン屋の店員のウェアもユニセックスだ。
ユニセックス市場が伸長していることは間違いないと感じる。
仮に10人の男性グループがショップを訪れ、
そこに男性用アイテム5点、女性用アイテム5点が置いてあったら、
まず女性用5点は余る。それどころか、
仲間の半分が買えないなら、この店での購入はやめておこうとなり、
結局、1点も売れない可能性すらある。
ところが置いてあるアイテムが男女兼用10点なら、
上記のような販売ロスは発生しない。
つまり、男女兼用アイテムは販売機会を圧倒的に高める。
しかも、素材やデザインは一種類で済むから、製造コストも削減できる。
在庫管理も当然、らくになる。
もちろん、購入者側にしても、
ユニセックスならカップルや家族で共有できるメリットがある。
この購買動機に着目すれば、ファッション以外のアイテムでも、
ユニセックス展開は有効だと思った。
実際すでに、フレグランスやスキンケア商品、
リュックやトートバッグには、ユニセックス商品がけっこう出回っている。
さあ、もっと、ユニセックス化できるアイテムを探してみよう。
逆に考えれば、男女別が当たり前の商品にイノベーションを起こせないか。
男女別の代表格と言えば、やはり下着だが、
男性が着用するトランクスは通気性にすぐれていて、
それを女性が履いても快適だと思うが、どうだろう。
あるいは靴。ローファーなどのフラットは男性も女性も履くが、
ヒールはいまだ女性向け。男性も履けるハイヒールは考えられないか。
夫婦茶碗や夫婦箸も、大小を付けるのが常識になっているが、
「大大」の組合せや「小小」の組合せがあってもいい。
自動車やバイク、自転車も暗黙の内に男性用・女性用が存在している。
いやいや、暗黙どころか「ママチャリ」なんて、すでに市民権を得たも同然だ。
だからこれらの製品の場合は、ハッキリとユニセックス仕様だとアピールして、
それに相応しい機能やデザインを開発してみてもいい気がする。
スポーツはどうだろう?
昔に比べてずいぶん男女混合競技が増えてきたと思うが、
まだまだ広げられるはずだ。
そうだ。男女混合ベースボールだ!
観戦・応援のためではなく、プレーヤーとして、
同じベースボールキャップを被って活躍する男女混合チームを見てみたい。
もちろん、男女兼用だけでなく、老若兼用も考えてみる価値、大である。
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.243
(2025.11.11配信)より抜粋して転載しました。
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