vol.225【シリーズ「起業は、し続けるもの。先輩たちのNICeな挑戦」第4回】家業のため、自身の店をやめて帰省、ではなく、 両方を稼働させる道に挑み、あきらめずピンチも味方に

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Vol.225 2025.2.12
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┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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【1】シリーズ
起業は、し続けるもの。
先輩たちのNICeな挑戦
第4回 池邊洋子さん(大分県)
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「起業は、し続けるもの。先輩たちのNICeな挑戦」
第4回 家業のため、自身の店をやめて帰省、ではなく、
両方を稼働させる道に挑み、あきらめずピンチも味方に
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起業することはゴールではなく、そこからが始まり。
出現する問題や予期せぬ出来事を乗り越えて、
一歩また一歩と、ステップアップしていくのが起業家の道。
そんな先輩たちの挑戦から学ぶシリーズ。
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池邊洋子さん
大分県中津市
ノラコニリエット 2015年開業(当時は埼玉県上尾市にて)
代表
http://www.nola-coniglietto.com
フラワーショップいしばし 1988年開業
副社長
https://fs-ishibashi.hanatown.net/
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結婚式場のフラワーデコレーターとしての経験と、
一級フラワー装飾技能士の資格を活かして、
長年暮らしてきた埼玉県上尾市で起業した池邊さん。
ノラコニリエット(以下ノラコニ)と命名した路面店で、
造花・プリザーブドフラワーを中心に、生花・鉢物・雑貨の販売、
式場装花やレッスンの教室も催し、地元で愛される人気店となっていた。
しかし、4年後、父親の病気を機に、実家の大分県中津市へ移転する。
そこには、母親が開業し、30年以上営業している花屋があった。
両親以外の親族はみな関東在住。
両親や実家、母の店、お墓など、近い将来の課題は明白だ。
誰かが腰を上げる必要があり、長女である池邊さんが動くことになった。
だが、家業を継ぐため、自身の店を閉じて帰省する二者択一ではなく、
池邊さんが選び挑んだのは、両方とも稼働させる二足のわらじの道だった。
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「同じ花を扱う仕事をしていて、子どもが社会人や大学生になり、
身軽になった私が動くことで、全て丸くおさまると思ったのです。
ただ、せっかく頑張って起業したノラコニはやめたくなかった。
なので、継続を条件に、引っ越しを決めました。
母の店と同じ敷地内の別棟で、造花・プリザーブドはノラコニ、
生花や鉢物は主に母の店、と棲み分けしています。
当時は、店じまい、家じまい、墓じまいをすることが自分の役目、
私の代で片付けて、その後また、埼玉へ戻ろうと考えていました。
ところが、店を仕舞うどころか、問題点が次々と。
ぶっちゃけ、お金のことです。
傍目からはわかりませんでしたが、仕入れロスの多さ、
ずさんな管理方法、無駄な経費、社会保険の滞納など、目に余ることが次々。
母に問いただしても、『余計なことは言うな』と聞く耳をもたない。
同族経営の“あるある”だと思いますが、
母からすれば、私はいつまでも子ども。
それなりに経験を積んできた、同業者であり経営者である私を、
同じ目線では決して見てくれなかったのです。
毎日が戦いでした。私があきらめたら、終わる。
この店は、仕舞う前に終わってしまう、その一心でがむしゃらでした。
コロナ禍前はノラコニもかなり忙しくなり、
二足のわらじの過重労働が響いて、とうとう身体を壊して1週間入院。
そんな私の姿に感じるものがあったのか、息子が『継ぐ』と言ってくれて。
それが何よりの励みとなり、もうひと踏ん張りと、大きな原動力になりました。
母は経営の中身を私に見せまいとしていましたが、
その状況が変化したのが、コロナ禍でした。
給付金の申請を私へ『やって』と言ってきたのです。
その時、初めて経営の細部まで知ることになりました。問題山積。
もう嫌がられようが、うるさがられようが構わない。
腹をくくって、言い続けました。
そのうち、中小企業診断士の先生や金融機関の方など
第3者が関わるようになり、状況は好転。
母は、相変わらず私の言うことには不満げでしたが、
外部の方々が、私と同じことを言うので、徐々に聞き入れるように。
何を言うか、より、誰が言うか、ですね(笑)。
私も、間違っていないと自信を持てて、精神的にも安定しました。
ノラコニの方も、コロナ禍当時は、大きな法人の仕事が減りました。
でも逆に、自宅の中が暗くなりがちだからお花で明るくしたい、と
個人のお客さまが増えたのです。
前々から、対法人はロイヤリティが高く、下請けは利益もとんとん。
いずれは下請けに頼らずどうにか変えたい、と思っていましたが、
コロナ禍をきっかけに道が開けました。
確かに、コロナ禍は大変でしたが、それがあったから、
変えたいと思ってきた母や店のこと、下請けのことも、
変えられる好機になったし、
私が入院したこともきつかったですが、
それが、息子の成長や自覚につながったとも思えます。
つい数年前まで、不安だらけで、埼玉へ戻りたい気持ちが強かったです。
でも、外部の方、息子や地域の方々からも勇気をいただき、
覚悟を決めて、腰を据えて取り組むようになって、
今は、続けていく力があるお店だと、確信を持てるようになりました。
店の経営をさらに健全にして、息子へバトンタッチする、
そんな中継ぎの役目を果たしながら、この地で、前へ進もうと思っています」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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かつて東京の田町に「女性と仕事の未来館」という施設がありました。
私はその施設で長く起業セミナーの講師を務めていて、
池邊さんはそのセミナーの受講生でした。
彼女の講義に対する集中力、もしくは真剣度、
あるいは、自分が決めたことに対する責任感は、
受講生のなかでも、間違いなく1、2位を争うレベルでした。
彼女の食い入るような強い視線を受けるたび、私は、
「この人の人生の役に立たねば」と自分に言い聞かせたほどです。
むしろ、起業にとって、そこに向かうための学習がいかに大切かを、
池邊さんの姿勢から私が教えられたような気さえします。
彼女は卒業後、ほどなくして埼玉県にお店を開きました。
JR上尾駅から西側に向かう大きな道路に面した店舗は、
立地も外観・内装もよく、品揃えのセンスも文句なしでしたから、
長く地域の人たちから愛される店になるのだろうと思っていました。
ところが、記事のとおり、彼女は大分県へ移転することに。
正直、びっくりしました。あの素敵な店を閉めるのかと……。
しかも、家業を継ぐのだから、自身の事業は閉じるのかと思ったら、
なんと、大分で両方をやるというからさらにびっくり!
でも、インタビューの言葉を拝見して理解できました。
家業の花屋の経営は、家族の一員としての責任感が根底にあり、
ノラコニの経営は、セミナー受講時代と変わらない、
自分が進むと決めた道に対する責任感のなせるわざなのだろうと。
池邊さん、頑張ってるなあ。
ここまでビジネスに、そして家族に誠実に向き合う人が、
私のセミナーの受講生の一人だったことを、私は幸せに感じます。
上尾市に比べると中津市は東京からだいぶ遠くにありますが、
ぜひ、お店に伺って、池邊さんがアレンジした花々を、
久しぶりに手にしたいと思っています。
(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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「NICeな挑戦」にご登場いただいた池邊さん。
地元への愛が芽吹いていることに、ようやく最近、
気が付いたように思う、とおっしゃっていました。
「先祖代々が築いてきた地盤を、ただ手放すのではなく、
さらに発展させていけたらいいなと、
地元へ還元していきたいと考える時間が湧いてきたのです。
店も実家もある、昔の友だちや新しいご縁でつながった方々もいる。
同じ思いを持ってる仲間と一緒に、この地で、
明るい未来をつくっていきたいなと思っています。
地元を元気に、楽しい場所にする、そんな活動も出来たらと」。
つながり力で、さらなる挑戦。
ぜひまた、メルマガで紹介させてくださいね。
次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
2月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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