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vol.198【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第56回 「職園」天国】



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Vol.198           2023.11.13 
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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】シリーズ増田紀彦の
  「ビジネスチャンス 見~つけた」

  第56回 「職園」天国
   
【2】先輩経験談 
   あるある!ピンチ&リカバリー

  第49回 上久保瑠美子さん(静岡県)
  
   
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

   第56回 「職園」天国
 
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それが芋穴なのか防空壕なのか、あるいは枯井戸なのか、
子どもの私にはわからなかった。
垂直に掘られた穴の直径は1メートルくらい。
深さは、たぶん4メートルほどだったと思う。

ふだん、穴は塗炭板で塞がれていたが、固定されているわけではなく、
幼稚園児の私でも蓋をずらして、穴の奥を覗くことができた。

覗いてみて、息を飲んだ。
穴の底に、大きな大きな青大将が鎮座ましましていたからだ。

神秘的というか、幻想的というか、
ずらした蓋のすき間から差し込む太陽光を浴びた青大将は、
神々しいほどの威容を誇っていた。

5歳かそこらの私の心の中で、功名心が鎌首の如く立ち上がった。
「こいつを捕まえて、みんなに見せたら賞賛される」と。

その日から、長い戦いが始まった。
一週間、二週間、一カ月……。

教諭や同級生の目を盗んでは穴に出かけ、
あの手この手で地中から青大将を引っ張り上げようと試みた。

とはいえ、穴は深い。
はじめは竹竿で引っ掛けて、引っ張りだそうとした。
十回に一回くらいは、その竿に絡まってくれるのだが、
引き上げようとすれば、いとも簡単にスルスルと下に落ちてしまう。

縄の先端に輪を結って、その中に首を突っ込ませようとしたこともあった。
そう書いていて気付いたが、
縄を結んだのは、この時が初めてだった気がする。

いや、そもそも、自分で目標を決め、その達成方法も考え、
誰にも頼らず、目標に挑み続けた経験は、間違いなくこの時が最初だ。

戦いの結果について言えば、引き分け、もしくは私の負けだった。

我が宿敵が忽然と姿を消したのである。
どこかへ移動したのか、それとも他人に捕まってしまったのか……。
おかげで、人生初の「意気消沈」を経験した。

その深い穴は、幼稚園の敷地の一角にあった。
敷地の大半が林で、それこそ穴も丘も祠もあった。
土、石、沼、小川、木々、草花、虫、小動物、光、風……。
幼児の成長に役立つ要素がすべて揃った「園(その)」だ。

今にして思えば、私にとって幼稚園は、
学園であり、遊園であり、公園であり、植物園であり、動物園だった。
それこそ、子どもにとっての楽園だった。

元来、「園」という字は、「口」(国構え)が示すように、
一定に仕切られたスペースを指すものだが、
私が通った幼稚園は塀も生け垣もない、出入り自由の林と一体だった。

多少譲って、仕切りがある幼稚園でも良しとしよう。
大事なことは、そのスペースの中に何があるかだ。
換言すれば、そのスペースの中の多様性がいかほどであるかだ。

さて、幼稚園での日々を終えた子どもたちは学園へ進む。
では、学園を巣立つと、今度はどこへ行くのだろう?

農業に従事すれば、農園や田園、果樹園という話にもなるが、
多くの人の進路の先に、もう、「園」は待ち受けていない。

仮に、私が就職を考えている学生だとして、敷地内に学園があり、
遊園があり、運動公園があり、植物園があり、動物園がある会社なら、
業種や職種は二の次で、何としても入社したいと願うだろう。
多様性に満ちた空間こそ、人間を成長させる何よりの環境だからだ。

そんな会社があるなら、私はそこを「職園」と呼びたい。

スペースの問題ではない。

一本のケヤキがあれば、木登りもブランコもツリーハウスも楽しめる。
数本のコナラやクヌギがあれば、昆虫採集ができる。
一坪あれば、池を作って釣りができる。
二、三坪あれば、植物栽培もできるし、秘密基地も作れる。
一部屋あれば図書館ができるし、もう一部屋あれば美術館や博物館もできる。
やる気になれば、何だって設けられる。
どれもこれも、「ミニ何々」で十分だ。

そんなオフィスビルを建てる会社はないだろうか。
いや、そうはいないだろうからこそ、ビジネスチャンスだ。
建築事務所やデベロッパーが効用を含めて提案していけばいい。
行政と民間が組んで再開発プロジェクトの目玉にするのも面白い。
オフィス街にそういう空間を作って、会員企業に利用してもらう方法もある。

木のあるオフィス。生き物が集まるオフィス。
風が抜け、水がせせらぎ、光が満ちるオフィス。
そして、社員も社員以外も出入り自由の街のようなオフィス。
なんなら、社内に屋台や露店を出店させたっていい。

多様性を最大限意識した幼稚園(保育園)、学園、そして職園。
そんな環境で人生を重ねられれば、
日本人の創造性は、もっともっと高揚するに違いない。



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第49回 妊娠出産でいつから休職?いつ復帰?
できない理由より、できる方法だけ探り母子ともに笑顔に

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 上久保瑠美子さん 2009年設立
 静岡県富士宮市
 
 株式会社ii 代表取締役
 https://kamikuborumiko.com

 
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地域密着型の集客・営業コンサルタントとして活躍し、
3人の男の子の出産・育児と、仕事を両立させながら、
全国各地の企業をはじめ、商工会議所や幅広い業種の組合から、
講演依頼も途切れない人気講師の上久保さん。
さぞ子育てとの両立が最大のピンチかと思いきや、真逆だった。
ピンチを救ったのは、子育てとの両立、とのこと。どういうことか?

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「初めて妊娠した時に、いつまで仕事をしていいのか、
いつから復帰できるのか、わからなくて、
早々に顧問契約を終了させ、講演依頼もお断りして、
産休に入りました。これが最大のピンチでした。

もう暇で暇で、引きこもりのようになってしまったのです。
外に出てはいけないと思っていて、一日誰とも話さない日々。

『今のうちに好きなことをすれば?』と周囲は言うのですが、
私が好きなことは、仕事と飲みに行くこと(笑)。
友だちに会いに行くと言っても、みんな仕事仲間か飲み仲間。
思い浮かんだら即行動、自他とも認める行動派なのに、
動けないこの時期が、私にとっては最大のピンチでした。
もちろん、望んで授かった子どもですが、自由がない気がして……。
そう思うこと自体も悪い母親のようで辛く、葛藤していました。

出産数カ月後から、復帰準備を始めました。
まずは一時保育で自分の仕事時間をつくっては、
感覚を取り戻すために、セミナーを受講したり、勉強したり。
保育園も探したのですが、まず見つからない。
ようやく見つけても、その金額の高さに愕然としました。
母乳で育てていることもあって、講演出張には子連れて赴こうと決め、
営業を本格開始して、いざ赤ちゃんと一緒に出張講演を再開。

講演で、『できない理由ではなく、できる方法を探しましょう!』と
常日頃言ってきた私が、
『子どもがまだ小さいからできない』なんて言ってどうする、
ご依頼があれば、できるかできないかを考えるのではなく、
どうずればできるか、その段取りだけを考えました。

赤ちゃんが寝ている夜の間に移動しようと
日帰りできる地域でも、時間に余裕を持って宿泊して、
泊るのも、ビジネスホテルではなく、ハイハイできるよう和室のある旅館。
新幹線で行けるところも、寝台列車を利用したり、
飛行機で行けるところをフェリーの個室にしたりして、
行き帰りも日数を増やして調整。
現地での講演中は、一時託児所かベビーシッターに。
もちろん、それら経費は講演先からの報酬や交通費だけでは賄えず、
行けば行くほど赤字。それでも、お話をいただければ行くのみ。

ふたり目以降は、出産1カ月前まで仕事、出産後もすぐに復帰。
こうして、ふたり目、3人目と妊娠しながら、子育てしながら、
北海道から九州まで講演出張の日々でした。
傍から見たら、いつも忙しそうで大丈夫かと心配されましたが、
私自身は楽しくて楽しくて、子どもたちも楽しそうでした(笑)。
その頃には、依頼先に事情も伝えて、
単価を上げた予算を提示させていただくようにしました。
ご納得いただけるお客さまばかりで、ありがたかったです。
今は長男が小学生なので、学校を休ませて連れまわすことはできませんが、
この経験があるから、自信もついたし、なんでもデキル気がしています。

そんな私がコロナ禍で、講演がキャンセル続きになった時は
代替案を考え、企画を練って、動いてはいたのですが、
やはり、私はオンラインではなく直に会うのが好きだと、
再認識する好機になりました。と同時に、
子どもたちとの時間や、地域での時間を濃く過ごせて、
未来への構想が湧いてきたのです。
人材育成も私の講演コンテンツのひとつですが、
コンサルとしての経験に加えて、
3人の子育てをしてきた経験も積み重なって、私だからこそ、
お伝えできる子育て・人育て論が明確になったと自負しています。

政府は、産めよ働けと、出産率も働く母親数も増やすよう言いますが、
抱っこしておんぶしてベビーカーもって、出張してみてください(笑)。
実に世の中には、多くの不便や理不尽があって、
どれだけ整っていないのか、わかります。
そんな実情や、母親たちの思い、人の成長や在り方をお伝えして、
母親たちの未来を、子どもたちの未来を、
ともに明るくしていく活動にも注力していきたい、と目論んでいるところです」


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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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最近は使わなくなりましたが、上久保さんと初めて
出会った時に抱いた印象は「跳ねっ返り娘」でした。
気が強い。押しが強い。酒も強い。なのにちょっと
間抜け(笑)。なのに「将来、私はお札になる」と豪
語する。なのに怒るとシュンとする。ほんと、イジ
リがいのある人だと思いました。そんな彼女が妊娠
した後、急に大人しくなった時には驚いたものです。
でも今思うと、新たなチャレンジに対して、それだ
け「しっかり備える人」なのですね。豪気に見える
半面の慎重さが、彼女の力量の源泉だと感じました。
初めて妊娠した女性の多くは、きっと彼女のように
悶々とするのでしょう。だからこそ母親になる女性
たちに、私は起業を勧めています。子どもを抱えて
の仕事は大変ですが、上久保さんのように、起業家
には、すべてを自分自身で段取る自由があるからで
す。同時に、世の夫たちにも、彼女の話を聞いてほ
しいと思います。何が大変で、それをどう乗り越え
るのか。女性たちがうまく伝えられないことを、彼
女なら身振り手振りでベラベラ喋ってくれるでしょ
う(笑)。とにかくドラミ(上久保さんの愛称)の話
は面白い。私が保証します。(ますだ)



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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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先輩経験談に登場いただいた上久保さんは、
お母さんたちに学びと癒しと笑いを届けたいと、
昨年、静岡県内の音楽学校主催のオーディションに応募。
一次、二次、三次選考と、見事に勝ち進んで
なんとボーカルデビューも果たしたそうです。
今秋にはCD『お母さんは幸せです』をリリースし、
11月、12月には地元の音楽LIVEにも出演予定。
地元の静岡を中心に、子育て中のお母さんたちが集う
場づくり&音楽活動も展開していきたいとのこと。
詳しい活動予定やご活躍の様子は追ってNICeからもご紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
11月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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