vol.194【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第54回 キッチンカーだけが移動販売じゃない】
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Vol.194 2023.9.11
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第54回 キッチンカーだけが移動販売じゃない
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第47回 宮川浩二さん(京都府)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第54回 キッチンカーだけが移動販売じゃない
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私の弟の幼なじみたちの話。
彼らもそろって定年退職し、
示し合わせたかのように地元に戻ってきた。
とはいえ、60歳そこそこ。気力も知力も体力もある。
というわけで、「みんなでいっちょうやるか!」と、
始めたのがクレープを販売するキッチンカー。
たしか3人か4人でチームを組み、
交替制で、あちこちへ出店しているという。
この方法、とてもよい取り組み方だ。
「始めやすく、続けにくい」と言われるキッチンカーの、
続けにくい理由は主に3つ。
1.儲からない
2.体力がもたない
3.飽きる
1と2は、見当が付くかもしれないが、
私は3の「飽きる」が、
経営者の事業継続意欲を蝕む大きな要因だと思っている。
ご存じない人も多いと思うが、キッチンカーは、
積み込んである給排水タンクの容量によって、
提供できる品数や車両内でできる作業に違いがある。
タンク容量の種別は、40L、80L、200Lの3通り。
例えば車内で、野菜を洗ったり、切ったり、
下味を付けたりするような、いわゆる仕込み作業は、
200Lのタンクを備えていないと認められない。
初期投資額を考えれば、軽トラ程度で始めたいが、
その大きさでは200Lタンクを設置することは難しい。
ということは、仕込み作業は別の場所で行う必要が出てくる。
だが、自宅キッチンでの作業は、食品衛生法で禁じられている。
そうなると、自宅を改装して新たに業務用キッチンを設けるか、
別の場所にキッチンを確保するしかない。結局、お金がかかる。
しかも、まだ壁がある。
40Lは取扱い品目が1品目、80Lは2品目までに規制されている。
つまり40Lだと、
ピザとクレープの両方を販売することはできない。
ピザならピザだけ、クレープならクレープだけを売ることになる。
そして、ある日、「もう、ピザは(クレープは)見たくない」。
そんな気持ちに襲われる。
飽きるというより、ウンザリすると言ったほうがいいかもしれない。
だから、弟の友人たちのように交替制で営業すれば、
疲れないし、飽きないから、続けやすくなる。
もちろん、生活に余裕のある彼らだから選択できた方法ではある。
というわけで、自分一人でキッチンカービジネスを始めて、
成功させるのは、想像以上に大変なことだと心得てほしい。
とはいえ、打つ手がないわけではない。
販売する食品を、自らが作らず、仕入れればいい。
自分で調理をせず、弁当屋でもパン屋でもいいので、
食品製造許可を取っている事業者から仕入れを行えば、
売りたいものを、売りたいだけ、売ることが可能だ。
実際、コストコのビジネス会員になれば、
コストコから弁当や惣菜やその他の食品を仕入れ、
それに一定のマージンを付加して販売することもできる。
「そんなことが許されるの?」。許される。
コストコは小売業だけでなく、卸売業も営んでいる。
そもそも移動販売の商品は、何も「食べ物」だけではない。
北海道には、墓石を展示する大型トレーラーが走っている。
正確に言えば、「墓石の移動展示場」だ。
道内のあちこちを移動するわけだが、
開催地は、開催日の前日の新聞折り込みチラシで告知する。
過疎地域が多い北海道の人には、ありがたい商売だろう。
一方、都会ではこんなアイデアが人気を博している。
「移動ピアノ教室」。
集合住宅街などに出向き、
荷台のコンテナのなかでピアノを弾いてもらうサービスだ。
これなら、ご近所から「うるさい」と文句を言われる心配もない。
集合住宅といえば、コロナ禍の最中、
缶詰専門の移動販売車が首都圏のマンション群に出店していた。
まさに「外出自粛=ビジネスチャンス」である。
また、高齢者などを対象にした移動美容室や理容室も見かけるし、
山梨県では、移動フラワーショップが人気という話も聞いた。
つまり、需要があるのに、供給が足りない商品やサービスを、
需要がある人たちのそばへ出向いて提供すればいいのである。
キッチンカーに人気が集まる昨今だが、
何を売るかは、いくらでも考えようがあるのが移動販売だ。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第47回 知人と会社立ち上げるも半年で分裂。
負の感情は時間と力の無駄。性善説で前向きに
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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宮川浩二さん 2003年独立、2017年法人化
京都市下京区
株式会社MOVE ENTERPRISE 代表取締役
https://moveenterprise.net/
https://www.facebook.com/moveenterprise.supplier/
みやこ・介護倶楽部 代表
https://kkaigo.kyoto
G-TOWNS 代表
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ITエンジニアの職歴を活かして独立した宮川さん。
その後、ご両親の介護経験から介護相談、こども食堂の主宰、
ヒーリングサロンの運営、障害者就労自立支援事業も展開し、
さらに今年2023年からは、京都市に隣接する亀岡市や南丹市を
日本一のドローンエンタメ都市にすべく、
体験会、空撮・動画作成、神社仏閣や学校などの無料空撮、
ドローンプログラミング教室などを始動した。
「もうずっとピンチだらけですよ」と朗らかに語り始めた宮川さんだが、
明かしてくれたエピソードは、金銭が絡んだ人間トラブル。
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「お恥ずかしいのですが、私の不徳の致すところ、な話です。
法人化する時に、3年程付き合いのある人を社長と常務に据えて、
私はオーナー兼CEOの形でスタートしたのです。
しかし、わずか半年で、問題が発覚して分裂。
IT関連の担当だった社長が、売上を1円も会社へ入金せず、
自分の懐へ入れていたのです。
問いただすと、『万が一のためにプールしている』と。
はぁ~? じゃ、戻せ!と言ったのですが、うやむやのまま。
もうひとり、美容関係を任せていた常務の役員も、
『自分のポリシーと違う!』と言い出して退職。
後者はコミュニケーション不足が否めず、追いませんでしたが、
金銭問題のほうは放置できません。
弁護士を通じて、対応しましたが、
『裁判で訴訟を起こしても、民事なので強制力はない。
かかる費用を考えると割が合わないよ』と諭され断念。
資本金は取り戻せましたが、売上のほうは諦めました。
さらには、金の切れ目は縁の切れ目ですね、
自分のことを棚に上げ、あることないこと、
私の悪評をSNSに流していたことも判明。
でも、どちらが正しいのかは明白、
わかる人は判る、もうそれでいいと思って、
すっぱり、見切りました。
おかげで、ネガティブにも、人間不信にもならずにいます。
根っからの性善説派ですし、親の介護経験からの学びもあるかな。
何のために生きているのかって、
人生は楽しむためにある、と思っていて、
仕事も人生の一部なのだから、楽しまなくちゃ。
だから、前しか向かない、それが私の原動力かもしれません。
実はその後も、人的投資した事業で人を雇ったのですが、
コロナ禍になり、『お給料が下がる』と伝えたら、それっきり。
人を見る目が私にないのか、
『そういう人を拾う才能はありますね』と弁護士さんにも笑われました。
でもね、不思議とそれ以降、いい人としか出会わなくなったのです。
憑き物が落ちたというか。
無理やり進もうとすると障壁ってあるじゃないですか。
それを乗り越えるのも、もちろん大事ですが、
タイミングがちょうど合うと、何事もすんなり進むのですよね。
パラレルでいろんな事業を展開していることも、
私のポジティブ思考にプラスだとも思っています。
何か煮詰まっても、別の事業のことへ意識を向けると、
気分転換になるだけでなく、意外に思考が拓けて解決策やアイデアも浮かぶ。
後悔や未練はとっとと切り捨てて、その時間と労力は次へ向ける。
前を向いて次へ進む。それが私のリカバリー法ですかね」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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宮川さんとはかれこれ20年以上のお付き合いになります
が、昔から、「一途な人だな」と思っていました。実際、
経済産業省の事業だったNICeが打ち切りになった際、彼
は経済産業省に電話を入れて、「増田を活用しないのは
もったいない!」と抗議をしたそうです。恐れ入ります。
また、「これは」と思うことを見つけると、即実行する
行動派でもあります。だからこそ、痛い目に遭うことも
少なくないのかもしれません。私からすれば、「もうち
ょっと慎重に」とアドバイスしたいところですが、どん
どんやるのが彼の持ち味だということも理解しています。
もうひとつ、今回のインタビューで驚いたのが、いろい
ろな事業を行うことが気分転換になるという話。私も複
数の事業や複数の立場で仕事にかかわっていますが、切
り替えが大変で、できれば一つの事柄に専念したいと思
ったりするのですが、それとは正反対の考え方です。彼
の心の器は、私よりうんと大きいのでしょう。人には、
その人に適した働き方があるのだと、あらためて気づか
されました。これからもパラレルで活躍する宮川さんを、
尊敬9割、心配1割で見守り続けようと思います。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた宮川さんは
今夏、東京で久しぶりに開催された
頭脳交換会のプレゼンテーターに登壇されました。
お題は、宮川さんが今年から始動している
ドローン空撮事業に関すること。
昨年にライセンスを取得され、着々と準備してきたそうです。
会の当日には、ふた回り小型のトイドローンを
私たちの前で飛ばしてくださいました。
間近で見るのは初めての参加者も多く、
もうそれだけで拍手喝さい。
今秋、京都の空の下でのご活躍が楽しみです。
次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
9月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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