vol.178【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第47回 品定め同行】
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Vol.178 2022.12.12
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第47回 品定め同行
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第40回 池内由里さん(東京都)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第47回 品定め同行
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ネットショップの黎明期の話だから、
もう20年ほど前になるかもしれないが、
その頃は、意欲的なネットショップオーナーが集まって、
情報交換会を兼ねた食事会が頻繁に開かれていた。
私は、ネットの専門家ではないが、
新規事業を支援する立場で……なんてカッコいい話ではなく、
単に、その人たちと飲み仲間だったので、
声をかけられるたび、喜び勇んで参加したものだ。
会場はもっぱら東京だったが、
北海道の水産会社や京都の家具屋さんなど、
全国の先進的な経営感覚持つ人々が集まっていて、
いつも刺激的だったことを覚えている。
なかでも、印象深かったのが、
兵庫県から駆けつけてきた建築士さんの話だ。
この人、もちろんモノを売っているわけではない。
では、何を?
マンションの「内覧同行サービス」という事業を考案し、
ネットを使ってその存在を広めていた。
今でこそ、あらゆるサービス業がネットで商いを営む時代だが、
当時、サービス業のECサイトは斬新であり、
いわんや、マンション購入希望者の側に立つサービスなど、
まったく存在していなかった時代である。
その事業アイデアと販路の求め方に、心から感服したものである。
彼はもともとデバロッパーに勤務していたが、
退職後、専門知識を逆の立場で生かす道を選んだ。
まったくもって納得のいくサービスだが、なぜ思い付いたのか?
「いろいろ問題が起きていますからね」と。
彼の答えはそれだけだったが、十分だ。
バブル期の頃に売り出されたマンション物件の中には、
「粗悪品」や「安普請」と批判される建物がゾロゾロあった。
「生涯で一番高い買い物」と言われながら、
品質の良し悪しなど、素人には見当もつかないわけで、
むしろ、こういうサービスがなかったほうが、おかしいとさえ思えた。
いつか、誰かが、始めるべくして始める事業だった。
実際、彼に出会ってそう時間が経たないうちに、
世間を揺るがす構造計算書偽造事件、いわゆる姉歯事件が発覚した。
まさに炯眼!
飲み会以降、この建築士さんとはお会いしていないが、
多忙を極めたことは想像に難くない。
しかし、こんな冴えている男でも、悩みはあった。
「自信はあったけど、こんなことをしたら、
業界から総スカンを喰らうんじゃないか」と。
なるほど。
だが、よく考えてみると、彼を嫌うとすれば、
それは嫌う側にやましいことがあるからだ。
だから、彼の同行を拒否した時点で、
その物件は「アウト」という判定が下せる。
彼の同行を嫌がること自体が、顧客のメリットに直結する。
とはいえ、長年売る側にいた彼の気持ちもわからないではない。
手抜き工事や偽装といった犯罪レベルの話ではないとしても、
「こんな建材や設備で、この値段はいかがなものか」と、
彼なら感じることもあるだろう。
あるいは、物件の説明にウソはないとしても、
言うべきことをすべて言っていないことも、彼ならわかる。
いわゆる「暗黙のルール」にちょっかいを出す男。
そう言われる懸念はある。
ところが、それらは取り越し苦労だった。
ディベロッパーもしたたかなもので、
彼の仕事が徐々に知られるようになっていくと、
「○○先生、お墨付きの物件です!」と、
むしろ、彼を利用する方法を思い付いたのだ。
高額な広告宣伝費を投下せずとも、
この建築士さんの名前を出せば、信頼性の高い発信ができるのだから、
物件に自信のあるディベロッパーにとっては、渡りに舟だったろう。
そう考えると、高額商品は何もマンションに限らないわけで、
もっといろいろな分野で、
「品定め同行」や「品定め同席」が広がってもいい。
商品価格やスペックの違いなどを比較するネットサービスは、
すでにあらゆる分野に存在しているが、
知りうるものならば、商品の相対評価ではなく、
「この商品自体の本当の価値」について知りたい人は多いだろう。
各業界のOB・OGが、出身業界の下請け事業で身を立てるのではなく、
逆転の発想で、消費者側に立つ発想がさらに広がれば、
消費者にとってのブラックボックスは解消されるし、
その人も業界から権威として扱われるのだから、いいことづくめだ。
もう、「業界の顔色」を伺うような時代じゃない。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第40回
取材時間の延長に、待機していた関係者が激怒。
迅速に情報共有し、各方面の誠意ある対応で収束へ
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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池内由里さん 2015年独立
東京都
編集者・ライター
中小企業診断士
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会社員時代は約20年間にわたり、起業支援、中小企業支援に関わり、
メディア編集、ディレクション、マーケティング、
プロモーションなど、豊富な経験を積んだ池内さん。
独立後は、その経験を活かし、フリーランスの編集者・ライターとして、
地域振興プロジェクトや福祉分野で活躍し、
さらには、地域や経営者が元気になるようなお手伝いをと、
中小企業診断士の資格も取得し、現在は補助金関連の業務でも貢献している。
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「これぞピンチ!的な経験はないのですが、
ひやひやしたと同時に、視野が広がったエピソードがあります。
とあるメディアの仕事で、外部編集者兼ライターとして取材させていただいた時、
ご本人ではなく、そのご家族を怒らせてしまったのです。
代理店からの依頼で、とある企業のサービスを利用している
お客さまを取材する、という企画でした。
私からお客さまへ直に電話を入れ、
企画趣旨を説明して、取材のアポイントをいただく流れでした。
ご快諾をいただき、いざ取材当日。
ところが、予定していた屋外の取材場所が使用できないことが発覚し、
急きょ、場所の変更を余儀なくされました。
そのため、予定していた取材時間が少し延びてしまったのです。
確か10分か15分ほど、終了時間を過ぎてしまったと記憶しています。
ご本人は『かまわない』とおっしゃってくださり、
終始、にこやかだったのですが、
近くで待っていらしたご家族が、怒っていらっしゃる。
もちろん、取材後にお詫びしたのですが、かなりご立腹のご様子。
これはまずいと思い、すぐにサービス提供会社の担当者へ連絡し、
事情を説明してお詫びしました。代理店へも同様に連絡。
私が事前に取材場所を確認すべきだったと、もう真っ青でした。
想定できる最悪の事態は、
お客様とサービス提供会社の関係性が壊れて、
お客さまがサービスの利用をやめてしまうこと。
そして、記事掲載の約束が白紙になり、掲載が中止になってしまうこと。
そうなったら、どう責任を取れるのだろうかと考えさせられました。
結果的には、周りのみなさんに助けていただき、
最悪の事態にはならず、ホッとしました。
ですが、会社員の時は、自分が仕事をお願いする立場で、
なんとなく外部の人の立場も理解していたつもりでしたが、
会社員として発注する側と発注を受ける側では
こんなにも違った緊張感があるのかと。
お怒りの理由は、どうやらその日、
特別な家族イベントの計画があったからとのことでした。
サービス提供会社の方が、私からの連絡後すぐご対応くださって、
しかもその後の、お客さまやご家族とのやり取りも、逐一、
私にも報告くださって、まるくまるく収まっていく経過を教えてくださったのです。
最悪の事態にならずにホッとしたと同時に、
お客さまへだけでなく、私にまで向けてくださる、
サービス会社の方の誠意ある対応に感激しました。
まさに誠実さのお手本のような仕事のスタンスを、
改めて教えていただいたことにも感謝です。
雇われの身と個人事業主との責任の重さの違い、
慎重さや確認の重要性にも留意しながら、これからも、
地域振興や小規模経営者さんが元気になるようなお手伝いをしていきます」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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池内さんのこの話を聞いて、私はむしろ彼女の誠実
さと対処の的確さに感動しました。記事の取材や撮
影は、日々、全国各地で行われており、必ずどこか
の現場でトラブルが発生しているはずです。ところ
が、問題が発生しても、当事者への謝罪もそこそこ、
ましてや関係者への報告などしないというフリーラ
ンサーがいるのも事実です。池内さんは、「仕事を
受ける側の緊張感に気付いた」と言っていましたが、
彼女は長く発注側で仕事をしていたからこそ、ひと
つのトラブルが、そのビジネス全体に及ぼす危険を
察知できたのでしょう。もちろん防げるミスは防ぐ
べきですが、大事なことは、ミスが起きたあとに、
どうリカバリーするかです。池内さんが咄嗟に適切
な対処が出来たのは、今書いたように、彼女のキャ
リアに依るところもありますが、やはり根本は、彼
女が誠実な人だからです。池内さんと初めてお会い
したのは東京ドームの付属施設で開催された商談会
の場でした。池内さんが勤める会社がその集まりの
主催者で、彼女は他部署から異動してきたとのこと
で、ご挨拶を頂きました。その時の真剣な表情を私
は覚えています。「ああ、いい人が来たな」と、嬉
しく感じたことも覚えています。あれからもう20年
以上の時が流れたかもしれません。どのような立場
に立っても、誠実に仕事に取り組む彼女の姿勢に、
仕事を長く続けるためには何が大事なのかを、改め
て教わりました。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた池内さんは、
「起こったこともさることながら、
新たな視点をいただけたことに感謝です」と
おっしゃっていました。
人の気持ちを汲んで、より良き行動を起こすこと。
その誠意が、また他の方の誠意を呼んで、
誠意の歯車は大きく大きく回っていくのですね……。
心温まると同時に、すーっと背筋を伸びるお話に感謝です。
寒さで心身が縮まりがちな季節ですが、
みなさまもどうぞご自愛なさって、心温かな師走でありますように。
次号のNICeメルマガ「つながり力で起・新規事業!」は、
12月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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