vol.174【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第45回 「洗えない」という思い込み】
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Vol.174 2022.10.11
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第45回 「洗えない」という思い込み
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第38回 杉山元輝さん(東京都)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第45回 「洗えない」という思い込み
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P&Gが300人の母親を対象に行った調査によると、
「マットレス購入後、一度もケアしていない人」が72.3%にも達するそうだ。
ケアをしていない主な理由は、
「ケアの方法がわからない」
「重くてケアできない」
「シーツや敷きパッドなどで汚れないようにしているから」など。
しかし専門家によれば、使い続けたマットレスには菌が付着し、
汗などの湿気で増殖する可能性が高いとのこと。それはそうだろう。
実際、研究期間で6年10か月使用したマットレスを測定したところ、
10cm×15cmの範囲に630個の菌がいるケースがあったそうで、
これをシングルベッドの大きさに換算すると、約8万個いる計算になるとか。
うーむ。
最近、健康食品のCMで、
「この製品の中に乳酸菌が100億個!」などというフレーズを耳にするせいか、
「8万個」という数字を眺めても、イマイチ、ピンとこないが、
少なくとも、放置していればカビも出るし、ダニなどが棲み着くことは間違いない。
マットレスは清潔であることが、やはり望ましい。
ところが、調査結果にあるように、
多くの人は、どうしたらいいのか、わからない状態だ。
なるほど、なるほど。だから、
木村佳乃さんと秋山竜次さんが夫婦役で出演している、
あのファブリーズ(P&G製品)のCMにつながるわけだ。
「マットレスは洗えないから」と、母親がファブリーズを噴射しまくり、
家族全員が大喜びするというストーリー。
でも、本当のところ、マットレスは洗える。
もちろん、家庭であの大きな物体を洗浄するのは容易じゃないが、
マットレス洗浄専門のプロに頼めば済む話だ。
「マットレス購入後、一度もケアしていない」人が72.3%ということは、
反対から見れば、ケアしたことがある人が27.7%いることになり、
この中の一定の人が、プロに洗浄を依頼した可能性がある。
だがやはり、この方法を知っている人は少ないだろう。
洗うべきものでありながら、
洗う必要性を認識していない、
あるいは認識していても、どうすればいいかわからない、
だから洗っていない……。
こういう話は、マットレスに限ったことではないと思う。
であれば、ビジネスチャンスだ。
例えば仏壇。
家庭で洗浄できるだろうか?
私が起業独立情報誌『アントレ』の編集を手がけていた頃、
仏壇を泡で洗浄する技術を開発した人物の話を聞いたことがある。
特殊な技術を要するが、ニーズは大きい。
ということで、確かフランチャイズ展開に乗り出したと記憶している。
仏壇から連想するのが墓石だ。
長い年月、風雨にさらされた石材やコンクリートに、
白い花が咲いたようなシミができるが、これがまた容易には落ちない。
水酸化カルシウムが原因となる「エフロレッセンス」という現象で、
通常の洗剤などで必至にこすっても、まず、無駄骨だ。
いや、エフロの洗浄に限らず、墓石や墓地の一般的な清掃すら、
最近は困難な人が増えている。
「墓石の清掃が大変」で思い出すのは、やはり高齢者だ。
特別なものの清掃や洗浄に限らず、
自宅内や庭の掃除も一苦労だろうし、
大物衣類や寝具などの洗濯も簡単ではないだろう。
だから、ハウスクリーニングや衣類クリーニングのニーズがあるわけだが、
実は、高齢者の多くが、クルマの洗浄・清掃も困難という話を聞いた。
前回のコラムに続いて、またまた洗車である。
この高齢者向け洗車だが、
単に「できないことをサポートする」だけにとどまらない価値がある。
というのも、「汚れているクルマほど、事故率が高い」という説があるからだ。
身体機能の低下などによる高齢ドライバーの事故が問題になる昨今だが、
上記の説に則れば、クルマの内外をキレイにすることで、
事故の発生率を低減できる可能性が出てくるわけである。
生活上、運転免許の返納が適切ではない高齢者に対して、
積極的に洗車サービスを提案するビジネスには、必ずニーズがある。
おそらく、洗うべきなのに、洗えない、洗っていないものは、
この世にまだまだ、たくさんあるだろう。
そうそう、たとえば衣服にしたって、
汚物や吐瀉物が付着した場合、一般のクリーニング店では、
受け付けないことになっている。
こういう、絞り込まれたニーズも見逃せない。
クリーニング・ビジネスの可能性は、果てし無く広い。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第38回
事業継承しアグレッシブに攻めるも、コロナ禍へ。
継続は力なりの呪文を解き、自分らしい生き方を再認識
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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杉山元輝さん 2019年設立・承継
東京都港区
MHアドバイザリ-株式会社 代表取締役 Co-CEO
https://minato-healthcare.net/company/
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会社員時代に事業戦略・採用戦略コンサルティングの経験を積み、
独立開業支援「アントレ」のイベント責任者を務めてきた杉山さん。
退職後は、医療・美容事業の経営スタートアップ支援に関わっていたが、
旧知の経営者から事業承継を推され、現職に就いた。
現在は同社で代表を務め、ヘルスケア・ライフサイエンス領域の
アドバイザリーおよびM&A、フランチャイズの展開・支援を行っている。
杉山さんはサッカー名門クラブにジュニアの時代から9年間所属し、活躍。
そのため、ヘルスケアや運動、健康関連への関心は人一倍高く、
社会的意義も強く感じていたという。
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「事業承継するにあたり、苦労を覚悟していたのですが意外とスムーズでした。
それで調子に乗ってしまったのかもしれません。
ちょうど美容系のフランチャイズ本部の事業譲渡の話が来て、
よしアグレッシブに行こう!と応じたのです。
もともとアントレにいたので、
フランチャイズの知見はあると自負していましたし、
個人でネイルサロンも経営しているので、
美容系もわかっているつもりでした。
店舗も徐々に増やしていこうと意気揚々とスタートしました。
ところが、時代はコロナ禍へ突入、経営状況は悪化するばかりでした。
私も加盟店のオーナーさんと話し合うだけでなく、店舗へ赴いて、
現場スタッフと一緒にチラシを配ったりもしましたが、
状況は改善されず、会社全体の資金繰りへも影響が及びそうな事態に。
私自身は、『しつこく続ける、やりきる、やり続けること』が好きですし、
仕事でもプライベートでも、『なんとかなる』『ポジティブに』と
そう信じて来た観があります。でも、今の状態は違う、
自分の力や思いだけでは、動かせない状況だと感じました。
独立する際に、雇われの身にはなかった“自分で自由に決める・生きること、
取引先にとらわれないこと”、を大切にしたいと思って独立したのに、
まさに今、とらわれて、得意ではないことをしていると気が付いたのです。
このままではダメだと、知り合いをたどり、
運よく経験豊富な経営者に出会え、
美容事業の譲渡に応じていただけました。
最近ようやく引継ぎを終え、心理的負担と金銭的負担から解放され、
ホッとしているのが正直なところです。
加盟店のオーナーさんからも『上向きになってきたよ』と、
嬉しい報告もいただいたりして、ありがたいです。
撤退するには勇気が要りましたが、
“本当は何を一番大切にしたいのか”を今一度、
強く認識する機会になりました。
相手も仕事も選り好みしている立場ではないかもしれませんが、
どう生きるか、どう働くか、自分でジャッジができるかを、
これからも大切にしていきたいと思っています。
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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事業が計画通りに進まず、やがては資金繰りにも影響
を及ぼす事態となる……。経営者にとって、何よりも
辛い展開です。私も長く会社経営を続けているので、
杉山さんの心中は容易に察することができます。杉山
さん、お疲れ様でした。そして、撤退という見事な判
断をくだされたことに心から喝采を送ります。コロナ
禍は、多くの経営者に困難を与えましたが、その困難
は試練という言葉に置き換えられるかもしれません。
経営に順風満帆などあり得ません。であれば、事業が
谷間に差しかかったとき、どう考え、どう決め、どう
動くのかが経営者には問われます。そして、そこから
導き出した答えは、必ず以降の経営者人生の指針とな
っていきます。「どう生きるか、どう働くか、自分で
ジャッジができるかを、これからも大切にしていきた
い」という杉山さんの言葉が、まさにそれです。私は
杉山さんの前向きな姿勢が本当に大好きです。しかし
今回の件で、引くことを選択肢の一つに加えた杉山さ
んは、さらに魅力的な人になったでしょうね。そうそ
う、事業経営とサッカーは似ているなと、今、感じま
した。どちらも攻撃と守備のバランスが命です。
(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた杉山さんとは
アントレやNICeのイベントで何度かご一緒させていただき、
お名前の通り、いつも「ゲンキ」でまっすぐな好印象です。
会社員時代から営んでいるというネイルサロンですが、
今年中には2店舗目が都内にオープンするとのこと。
その際にはまたメルマガでお知らせしますね。
さらに、先輩経験談第15回に登場いただいた
太美工芸さんの開発商品が注目を集め、
今秋ビックサイトで開催の『国際福祉機器展』で展示されました。
https://taibi.nagoya/archives/4246
次号のNICeメルマガ「つながり力で起・新規事業!」は、
10月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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