vol.162【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第39回:スマート林業】
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Vol.162 2022.4.11
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第39回 スマート林業
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第32回 白川正志さん(新潟県)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第39回 スマート林業
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タレントの辻希美さん・杉浦太陽さん夫妻が新居を公開した。
ネットニュースによれば、3億円の豪邸だとか。いやいや、実に羨ましい。
さて、そんな邸宅も、当初の予定よりかなり完成が遅れたそうだ。
昨年の木材価格の高騰ぶりが凄まじすぎて、
施工会社が資材調達できなくなってしまったのが理由らしい。
確か昨年の木材価格は、海外・国内ともに、
それまでのおよそ3倍まで跳ね上がった時期があったと記憶している。
幸い、ピークが過ぎて再び価格が下がってきたから良かったが、
あのまま高止まりが続いていたら、もう、辻さんのお宅に限らず、
日本中の新築工事やリフォーム工事が中断のままになっていたかもしれない。
施主も工務店も、本当に気が気ではなかっただろう。
あらためて、昨年の「ウッドショック」がなぜ起きたのか確認しておく。
新型コロナ感染症が拡大したアメリカで、
リモートワークに対応できる住居を求める人が増加し、
それが木材需要を一気に高めたことがひとつ。
並行して、中国でも新築需要が増していた事情もある。
また、昨年1月1日から、ロシアが丸太の輸出を停止したことも大きかった。
しかし、もっとも深刻な理由は、10年ほど前から起きている害虫被害の影響だ。
地球温暖化で害虫の越冬が可能になり、
繁殖力が増したことで木材被害が急増していると考えられている。
感染症や戦争も恐ろしいが、
静かに地球を蝕む、気候変動問題の恐ろしさを垣間見る話である。
それでも一度は落ち着く雰囲気を見せた木材価格だったが、
ロシアのウクライナ侵攻の影響で、
またまた木材価格の高騰が予測される展開になっている。
すでにEUがベラルーシからの木材輸入を制限しており、
国際的に供給される木材が不足することは確定的だ。
しかし、なぜ外国の事情が日本に影響するのかと訝る人もいるだろう。
まさに、そこが問題の中心である。
ご存じのように日本は山国であり、
国土に占める森林の割合は約68%に達している。
ちなみにロシア47%、アメリカ33%、中国21%だから、
日本の森林割合の高さは際立っている。
ところが、木材自給率に目を向けると、
ロシア100%、アメリカ86%、中国69%なのに比し、
日本はわずか40%程度にとどまってしまう。
つまり、残りの約60%を輸入に頼っているから、
海外の木材価格高騰の直撃を受けることなにる。
森林の国なのに、木材を自国で賄えない日本……。なぜ?
一言で言えば、林業があまりにも儲からないために、
林業に取り組む人が減少の一途だからである。
それでも今は需要が高いのだから、
人手を総動員して伐採し、売れば儲かるのではと考えたくなるが、
伐採したままの山を放置すれば、
鉄砲水や地滑りの危険性が高まる。治水上、大問題だ。
実際、農林中金の元職員からこんな話を聞いた。
「ある森林組合への融資案件があり、
担保能力の調査に出かけたことがあります。担保は木です。
でも、広大な山林に木が何本生えているのかなんて、誰もわからない。
仕方なく、一定の面積の本数を数えて平均値を出し、
それを山林全体の面積に当てはめて割り出しました。
いやいや、ほんと大変でしたよ。
来る日も来る日も山登りですから。
でもね、そんなことしたって、本当は意味ないんです。
債務不履行になったからといって、
木を伐って売るなんて、実際にはできないわけですから」。
そういうことだ。
林業は計画的な伐採と、計画的な植林を並行して行うことが絶対条件。
というわけで、
「高い輸入木材に頼らず、国産木材を増産すればチャンスだ」、
という単純な話にはならないのである。
ならないのだが、しかし、そうしていかないと、
早晩、日本で木造建築物を建てることかできなくなってしまう。
私は、農林中金のエピソードの中に解決のヒントが潜んでいると思った。
一昔前は、立木(りゅうぼく)の本数すら数えられなかったが、
今ならドローンを活用することでかなり正確な計測ができるはずだ。
それでも林業への融資は、金融機関にとって魅力的とは思えない。
であれば、間接金融ではなく、直接金融はどうか。
資産価値を正確に割り出せれば、
それを小口に分割し、有価証券として市場に出せばいい。
不動産の証券化ならぬ、林業の証券化だ。
この方法なら、植林した木を現金化できるのが何十年先だとしても、
資金調達がしやすくなる。
というわけで、ドローンの活用に私は期待を寄せているが、
そもそもドローンがあれば、
森林の状態を可視化でき、日々の管理業務にも役立つだろう。
また、GPSによって自動操縦できる重機の導入も推進したい。
林業は儲からないだけでなく、極めて危険を伴う仕事である。
以前、静岡県浜松市の林家を取材したことがあるが、
目もくらむような急峻な傾斜地での作業に付き合わされて、
膝がガクガク震えたことを覚えている。
「安全な林業」も、人手不足解消の重要なファクターだ。
さらに、AIに受給予測を行わせることで、
「儲かる林業」への道も開けるのではないだろうか。
どれもこれも簡単だとは思わないが、
デジタル技術の活用・応用によって、
林業の資金調達問題、人手不足問題、低収益問題に、
一定の解決策を見いだすことはできるだろう。
国は環境負荷の低い木材建築物の拡大を推しているし、
何よりデジタル化の推進は、一丁目一番地の政策だ。
ぶっちゃけ、少なからぬ補助金も用意されている。
「スマート林業」への挑戦。
ここにビジネスチャンスが広がっていることは間違いない。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第32回
地域活性・健康づくりの場を創業した直後に震災。
ピンチは常に来る、と腹をくくり、立ち向かう意欲を次のエネルギーに
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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白川正志さん 2007年創業
新潟県柏崎市
株式会社笑足ねっと(わらかしねっと) 代表取締役
http://www.warakashi.net/
運動あそび塾・しらさん家(ち)
特定非営利活動法人 あそびそだちiLabo(2019年法人化)
https://asobisodachi.net/
つなが道R
https://balance-sumo.org/
株式会社白川製作所 代表取締役(2002年承継)
柏崎市議会 議員(2019年5月~ )
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大学時代にメカトロニクス分野を専攻し、
子どもの頃から、人に役立つロボットをつくりたいと夢見てきた白川さん。
自動車部品の精密機器メーカー3代目を継いだ時、
脱下請けの思いと共に、大好きだった祖母のように
最期の最期まで笑って元気で過ごせるような、
人の生活を豊かにするものづくり、健康づくりへの情熱が増したという。
そして独自に開発した、シニア向けバランス運動促進遊具『ばらんすてっぷ』を核に、
エンドユーザーの笑顔にじかに触れたいとの思いから、2007年に第2創業に挑む。
地域活性化・商店街の再生も願い、元映画館を借りて、
運動あそび塾『しらさん家(ち)』を開業。
しかし、わずか3カ月後に新潟県中越沖地震が発生した。
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「大ピンチでしたね。でも、仮設住宅への出張レクリエーションを始めたことで、
みなさんへ知っていただく機会にもなったし、
利用者の満足度評価では100点をたくさんいただけました。
何より、塞いでいらしたシニアの方々が、運動あそびを通じて、
笑い合って、互いに背中をパンパン叩きながら、笑い過ぎて、
涙を流していらっしゃる姿に、こちらが励まされました。
笑い合いを引き出すものづくり、ことづくり、場づくりが
自分にとって一番うれしい瞬間だと、今でもそれが原点であり、大切にしていることです。
また、被災して遊び場がなくなった子どもたちに無料開放したことで、
シニアのための運動あそびは、子どもたちにも大いに通じる、と教えてもらいました。
仲間が集えばコミュニケーション能力もグンと向上する、
幅広い世代が集えば、街の活性化にもつながる。
出張レク終了後は、シニアとジュニアのためのしらさん家へと、自然と移行できました。
運動あそび塾は、毎年3月に修了式を行い、親子で出席してもらっています。
撮りためた写真をスライド上映するのですが、
普段見たことがないような我が子の笑顔に、驚き、涙される親御さんもいらっしゃいます。
立ち上げ当初は、『遊びなのに、習い事じゃないのに、お金を払うのか?』と、
おっしゃる保護者もいましたが、
楽しいと、子どもたちが自然と友達にも親にも広めてくれるのですよね。
今はコロナ禍にも関わらず、有難いことにキャンセル待ちの状態です。
大人が介入しすぎないで見守ると、自然と歳下を守る優しい心も育まれますし、
自分が歳上になった時に、ちゃんと下の子を守ることもできる。
遊ぶことで人と関わり、関ることで学び合い、関り合いを通して
みんなに違いがあるコトを学び、個々の力とチームの力が、
同時進行で育くまれていくと実感しています。
そういう社会性・主体性が育まれ、善き伝統として受け継がれていることも
子どもたちが教えてくれた嬉しいことです。
とはいえ、経営的にはピンチの連続で、リーマンショックも重なり、
融資を受けながらお給料を払っている状態でした。
2019年に運動あそび塾を法人化したのですが、
スタッフが『理事やります!』と立候補してくれました。
また、白川製作所のほうは、切削加工部門を事業譲渡して、
社員5名も受け入れていただけて安堵しました。
事業を継ぐことも、創業することも、
始めた時は、思う通りにいかないことのほうが多い、と腹はくくっていましたし、
経営していれば、常に大小さまざまなピンチがつきものだということも。
本当に、その通りで、ピンチは常にやって来ますね。
でも、それに立ち向かうこと、そのものが、
次へと向かうエネルギーになると実感しています。
これからもあるでしょうが、立ち向かっていきますよ(笑)。
つながりあう『健幸運脳遊具』シリーズとして、
『ばらんすてっぷ』、『ばらんすもう』、
ビー玉転がし迷路パズル『つなが道(ロード)R』へと開発も続けています。
これらは、シニア、ジュニアだけでなく、
企業のチームビルディングにも効果的だと確信して発信しているところです。
今後、世の中のテレワーク化により、
職場でもますます交流の機会が減っていくと思います。
笑顔のつながりをどう生み出すか。心理的な安心・安全なチーム連携をどう育むか。
私は、異質の組合せがイノベーションにつながると信じているので、
みんなで愉しむには、何と何を組合せたらいいかなと、構想をし続けていきたいです。
これは昔からの思考習慣でもあります(笑)」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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2007年7月、白川さんが暮らす新潟県柏崎市を中越沖地震
が襲いました。私はその様子をテレビニュースで固唾をの
んで見ていました。古い民家が多く、石塀が将棋倒しのよ
うに崩れているシーンが目に焼きついています。創業直後
の震災。本文では、それでも元気に飛び回っていた様子が
紹介されています。あくまで想像ですが、むしろピンチだ
からこそ、より創業魂に火が点いたのかもしれませんね。
ところが、その翌年にはあのリーマンショックが起きます。
私の会社も、この時一気に仕事を失い大打撃を受けました。
長年会社経営をしてきた私でも泣きそうだったのに、新人
経営者の白川さんにとって、震災から1年でのこの事態、
相当苦しい日々だったことでしょう。よく耐えたと思いま
す。そのエネルギーの正体は何かと考えました。やはり、
ものづくり、ことづくり、場づくりにかける情熱なのだと
思いました。受注仕事の私の会社と、自らの思いを形にし、
世に送り出そうとする白川さんとの違いを痛感します。
「苦しい時こそ夢を」。そんな教訓を白川さんからプレゼ
ントしてもらった気がします。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた白川さんの『健幸運脳遊具』シリーズは、
NICeの集いでたびたび披露いただき、
増田代表はじめ参加者全員で実践しては笑い転げた思い出がたくさんあります。
遊びからチームの本質を学ぶ、をテーマに開発された
『つなが道(R)』もそのひとつ。
4月23(土)24(日)に東京ビッグサイトで開催予定の
『ゲームマーケット2022春』に出展されますので、
どうぞ直にその魅力をご体験ください。
○
ゲームマーケット2022春】西1ホール「エ23」
https://gamemarket.jp/booth/4106
「つながり力で起業・新規事業!」
次号のNICeメルマガは、4月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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