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vol.155【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第37回:不便益】



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Vol.155            2021.12.13 
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起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
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および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
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  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】シリーズ増田紀彦の
  「ビジネスチャンス 見~つけた」

   第37回 不便益
   
【2】先輩経験談 
   あるある!ピンチ&リカバリー

   第30回 滝上耕太郎さん(北海道)
   
   
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

     第37回 不便益
 
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コロナの第6波は来るのだろうか?
12月に入り、新規陽性者が増えているが、
願わくば、陽性者も重症者も死者も、低い数字のまま収束に向かってほしい。
そのためにも、まだまだ用心に緩みがあってはいけない。

という、考えにもとづいて、
今後もオンラインで会議や打合せ、セミナーなどを続けるつもりだが、
万一、近々コロナが収束したとしても、
オンラインをぴったりやめる、ということにはならないだろう。
私も、多くの人も、そうだと思う。
なぜなら、オンラインは便利でお得だからだ。

以前にも、コロナが社会にもたらした変化について話題にしたが、
感染症対策のため、やむを得ず変えてみたら、
実はそっちのほうが、いろいろ都合が良かった、という事例は少なくない。

とくにオフィスのスペースや出張などは、
リモートワークの導入により、大胆な削減が進み、
結果、企業が負担するコストも、働く人の手間も減少した。

私自身、かれこれ2年近く、ほとんど出かけない日々が続き、
人とやり取りする仕事は、オンラインで済ませるケースが増えた。
そんな日常に慣れてしまうと、
今度は、たかだか一泊二日程度の出張でも、面倒に思えてくる。

なんせ、出かける先の所在地を調べ、待ち合わせを決め、
ホテルや切符を手配し、前日は、あれやこれやの荷物をカバンに詰め、
当日は早起きして、髭も剃って、スーツも着て、
重いカバンをぶら下げて、ギュウギュウ詰めのバスに乗り、
さらに延々と列車や飛行機に揺られて、ようやく仕事がスタートするのである。

仕事が終われば、「一杯どう?」と言われて(というか言われるのを期待して)、
「では、軽く」とか言って、結局、重くおつきあいして体調を崩し、
そんな状態で帰途に就くものだから、
およそ2回に1回程度、列車の中に忘れ物をし、
それを探索するために散々労力を使い、
運良く見つかれば、それを引き取りに行くために、
もう一度出かけるという、一連の行程を経て、ようやく一仕事が完了する。

おっと、まだあった。
宴会のせいで、スーツに食べこぼしが付着していることが少なくないので、
クリーニング店に急いで持ち込み、それでようやく一仕事が完了だ。

オンラインなら、こんな手間が、すべてなくなる。
実に素晴らしい!

本当に、すべてなくなるのだ。
凄すぎる。

すべて、なくなる……。
ちょっと待て。
便利って、段々恐ろしい気がしてきた。

むろん、弱者にとって、便利な道具やサービスは、
様々な機会を失わずに済む、大事なツールである。

事実、生まれつき右目が見えない私にとって、
PCやスマホの文字が、自在に大きくできる機能は、本当にありがたい。

だが、何でもかんでも便利なら、それでいいのか?
と、問われれば、やはりそうは思えないのである。

上に書いた出張のドタバタ劇を例に取れば、
各種の手間のおかげで、私はたくさんの知識を得られるし、
いかに、ことをスムーズに進めるかという知恵も付いてくる。
また、実際に出かけていくことで、
様々な出来事に遭遇し、様々な人と出会い、
様々な発見や学習の機会を得ることができる。
当然、お金もあちこちで使うから、経済活動にも貢献できる。

面倒臭い出張には、こんなにも膨大なメリットが含まれている。
そのメリットを、オンラインは根こそぎ奪ってしまう。

最近、「不便益」という言葉を知った。
まさに、これだ!

私が思っていた、「面倒なことのほうが、いいことがあるかも」という思いは、
この不便益だったのである。

提唱するのは、京都先端科学大学の川上浩司教授。

実際、川上先生たちのグループがつくった「素数物差し」は、
本当に不便な物差しである。
なんせ、打ってある目盛りが、2・3・5・7・11・13・17だけなので、
例えば6cmを計りたければ、
13 cmを取った上で7 cmを引かなければならない。
(17-11でも、11-5でも、7-3+2でも、ほかの方法でもいいが。)
さらに少数点以下の寸法を図ろうとすれば、もっと面倒なことになる。
この使いにくい物差しがメチャクチャ売れた。

東京都立川市にある「ふじようちえん」の園庭には、
傾斜があり、デコボコもある。
園児たちが走り回れば、転倒する危険が高くなる。
が、だからこそ、子どもたちは体の使い方や注意力を涵養できる。

千葉県浦安市などにあるデイサービス「夢のみずうみ村」には、
あえて長い階段が設けられていて、しかも手すりが心許ないロープになっている。
通所する高齢者は、手すりに頼らず、しっかりと自分の足で昇降しようとする。
言うまでもなく、機能回復もしくは機能維持を狙った仕掛けだ。
ちなみに、同施設はこの考え方を「バリアアリー」と呼ぶ。うまい、座布団千枚!

不便だが、不便だからこその価値がある事例だ。
そう考えると、探している商品を容易に見つけることができない、
「ドン・キホーテ」の圧縮陳列も、
だからこそ、欲しい商品を「探し当てた」時の喜びを提供している。

コロナ感染症と、デジタル化の波によって、
いま、日本は急速に「便利」(=効率的=ラクチン)への流れが強まっている。
その流れに無意識に飲み込まれ、
不便だからこその価値を、多くの人が見失う危険が高まっていると危惧する。

この時こそ、不便益の価値を認識することが大切だ。
と同時に、不便益商品や不便益サービスの開発に、
間違いなくチャンスが広がるはずだ。

そうそう、「あえて不便」のメリットは、人間だけのものではないのである。
https://my-best.com/2458



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第30回 
子育てのため北海道へ移住するも無計画。
軽快な行動力と“知の散財”で、活躍の場を開拓

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 滝上耕太郎さん 1998年独立
 北海道深川市
 
 竈屋(へっついや) 滝上研究所
 技術コンサルタント
 
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デジカメの基板設計者として、富士写真フイルムに勤務していた滝上さんは、
子どもを育てるなら東京を出ようと、退職して北海道へ移住。
現在は、画像機器のプロフェッショナルとして、
企業や大学などの技術支援や研究開発で活躍している。

仕事も暮らしも同時に一転する、移住しての起業。
さぞ、計画を練り、準備万端で臨んだかと思いきや、意外な軌跡。

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「普通は、移住後のことをちゃんと計画するでしょ?
まして子どもが生まれるって時なら、なおさら。
でも私、計画していませんでした。ピンチっていうか、マズイよね。
会社辞める時も、周りからさんざん言われたけど。

退職の挨拶で取引先を回った時に、
『これ使って北海道で仕事しろ!』と
数百万円もする基板設計CADをくれた社長がいて、
移住後2年くらい、基板設計の仕事をしていました。
今でいうテレワークですが、当時はまだADSLだから、
データ送るにも何時間も要して参りました。
まぁ、これもピンチと言うか、マズイなという感じでしょうか。

そもそも、移住先を北海道と決めただけで、
退職して引っ越したものの、どこに住むかさえ決めていませんでしたから。
最初の借住まいを拠点にして、道内をいろいろ見て歩いて、
丘に登って見下ろした風景が気に入って、今の土地に決めました。
そういう田舎には不動産業がなくて、地域の人に、
誰が地主なのか聞いて回り、地主へ会いに行って交渉したのです。

実は最初、ここで農業やろうと思って、
農地宅地として土地を取得しました。
プレゼンは得意だったので、農業計画書を書いて、
それで屋号を『竈屋(へっついや)』 としたんです。
でも後に、ソニーと仕事する時に、この屋号じゃマズイだろと、
ソニーのほうで、『滝上研究所』を付け足してくれました。

農業やるったって、経験ないですから、うまくいくわけもない。
それでも70本以上になるブルーベリーは、今、地元でも最大の収穫量ですよ。
まぁ実際は、移住してみないと、予想とは違うことはありますよね。
自宅は、自分でログハウスを建てたんです。それが楽しくて、
自宅のほか、車庫や温室や焼き肉ハウスと建てていたら、
思いのほか時間がかかって、誰かが建てたいと言うと手伝いへも行く。
その間に、貯金も減っていき、あぁ、マズイなと。
札幌のソニーが技術者を募集していたので、ちょっと働こうかなと面接へ。
そこで偶然、後に台湾ソニーの社長になる男がいて、
『あ、こいつ知っている、富士フイルムにいたやつだ、雇ったほうがいい』となって、
てっきり札幌勤務かと思ったら、東京だと。
仕方ないので毎週、北海道から東京へ通勤しましたよ。
でも、さすがに疲れて、辞めると言ったら、
『じゃ、台湾へ来い』となって、4,5年、月の半分は台湾へという二重生活に。

次にマズイなと思ったのは、リーマンショックかな。
コンサル契約が1社だけじゃマズイなと、
複数の企業と関わっていくよう意識を向けました。
でも、北海道の田舎じゃ、みんな『冬に仕事がないのは当たり前だよ』って。
それで気が楽になった、まではいかないけれど、
そうか、当たり前だと、なんか開き直れましたね。

まぁ、もともと、人と話すことは苦手ではないので、
技術的な課題を抱えている、いろんなところからお呼びがかかって、
よく“知の散財”をしてきました。それが今につながっています。

どういうことかというと、
『解決案を知っていそうな、提案してくれそうな滝上に聞こう』と、
呼び出されたり、知人に連れて行かれたり。
そこで、相手方の話を聞いて、解決につながるような、
技術や知識や私なりの考え、発想を、惜しみなく伝えるのです。
相手が、『できない、できなくて困っていること』をできるように話す。
どうやれば実現できるか、そのプロセス、もう1歩先、ですね。
もちろん、話して伝えて終わり、では、お金にならない。
でもね、私が話したことを聞いただけで実現可能レベルな案件なら、
誰かがすでにやっている、できているはず。
聞いただけ、知っただけで、できない、本気で実現したい。
じゃ、私に手伝ってくれとなり、仕事となるのです。

現在も東京のオフィスを拠点に数社の技術コンサルをしていますが、
月に一度は北海道へ帰ります。
ふたりの子どもはすでに巣立っていて、カミさんからも
『帰って来なくていいのに』と言われますけれどね(笑)」

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      ワンポイントガイド
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私は無計画が悪いことだとは思っていません。正確に言うと、目
標が決まっている物事には計画が必要であり、有効だと思うので
すが、「成り行きを楽しむ」のであれば、計画などかえって邪魔。
計画を立てない取り組みには、驚きや発見や喜びや学習といった
価値がたくさん詰まっているからです。それを滝上さんはよく知
っているのでしょう。ですから、滝上さんのお話は、いわゆる失
敗談ではありません。もっとも、彼の話に感化されて、同じよう
に慣れない土地へ出かけ、いきなり住み着くようなことをすれば、
普通の人は、さぞや後悔する羽目になるでしょう(笑)。それだけ、
滝上さんの課題解決能力が人並み外れているということです。羨
ましい限りです。このへんの話は才能の問題なので、私など真似
をしたくてもできませんが、ひとつ、誰でも彼の真似をできるポ
イントがあります。「知の散財」です。知を惜しまず提供すれば、
それに見合う、もしくは、それ以上の「財産」がやがて自分に返
ってくる……。滝上さんの豊かな知識や見識は、散財を経由して、
手に入れたものが大半なのではないかと推察します。ここは私も
真似たいと思います。(ますだ)


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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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先輩経験談に登場いただいた滝上さんは、
会議の場で、知の散財を力説するだけではなく、
人間観察をしながら、とおっしゃっていました。

主に発言している人だけでなく、ただ聞いているような
同席している人の中に、課題の本質や本音が隠れていたりもする。
誰が何に興味を持ったかを感じ取り、
会話を引き出しながら、知の散財をするのだそうです。
そのため労を惜しまず、オンラインより、直に会う同じ空間がいいよね、と。
直に対面していても、誰もが見えたり感じられるものではないけれど、
人の「気」のようなものを感じる力。
五感とは違うこの感覚を常に忘れず大切にしたいものです。

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次号のNICeメルマガは、12月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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