vol.139【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第31回:「いいにおい」が漂う商売】
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Vol.139 2021.4.12
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第31回 「いいにおい」が漂う商売
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第23回 鈴木尚登さん(秋田県)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第31回 「いいにおい」が漂う商売
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横浜市の海岸近くや三浦半島の各地で異臭事件が相次いでいる。
多くの人が「ガス臭い」と証言するにおいの原因は何なのか?
昨年10月、異臭現場から採取した空気の分析が行われ、
イソペンタンなどガソリンに含まれる物質が検出されたが、
検出物質の濃度は、人間がにおいを感じるほどの濃度ではなかった。
専門家の多くは、「どうやら硫黄系らしい」とコメントしている。
もっとも硫黄系物質は、自然由来のものあれば、人工のものもあり、
結局、いまだ原因の特定には至っていない。
「時々においがする」だけなら、我慢するという手もあるが、
そのにおいが、重大な問題の発生を示す信号だとしたら、無視できない。
原因の解明と対策に、今以上に注力してほしいと願うばかりだ。
そう、においは信号なのだ。
信号といえば、交通信号機が思い浮かぶ。
しかし、世界広しといえども、嗅覚式信号機はいまだ登場していない。
バラの香りが漂ったら進め、排水溝のような悪臭が漂ったら止まれ……。
あるわけないよな(笑)。
もっとも、そんな信号機が導入されたら、私はおおいに困惑する。
「うそっ、何も感じないの? 変なにおいがするでしょ」。
その言葉を、60年を超す人生の中で、何度女性から浴びせられたことか。
先に言っておくと、この問題は、私個人の能力の問題ではない。
ご存じの方もいるだろうが、嗅覚能力は男女の差が甚だしい。
言うまでもなく、においに敏感なのは女性である。
実際、アロマテラピーに関心を寄せたり、職業にしたりする人の多くが女性だ。
この男女差については、昔から知られているようで、案外そうでもなく、
2017年発表のマウスを使った実験結果に基づく論文で認知された。
ちなみにその実験では、性腺(オスは精巣、メスは卵巣)を除去した場合、
オスもメスも、嗅覚がほぼ同じ精度になるということも判明している。
つまり、嗅覚の男女差とは、性ホルモンの違いに起因しているということだ。
そう考えると、女性の調香師や料理人たちが、
「生理中は匂いや味のチェックを避ける」という暗黙のルールにも納得がいく。
とはいえ、男性である私だって、何も嗅ぎ分けられないわけではない。
好きなにおいもあれば嫌いなにおいもある。
ちなみに私が好きなにおいのベスト5は以下。
第1位 よ~く干した布団に顔を埋めた時のにおい
第2位 石油(とくに灯油)のにおい
第3位 沈丁花(じんちょうげ)の花のにおい
第4位 焙煎したての珈琲豆のにおい
第5位 正露丸のにおい
2位と5位は、むしろ悪臭と言う人もいるだろう。が、私は好きなのだ。
好きなものはしょうがない。文句があるなら、私の大脳辺縁系に言ってくれ。
ちなみに「金(カネ)のにおい」も嫌いじゃない(笑)。
反対に、嫌いなにおいのベスト5も書こうかと思ったが、
たとえば、アルミ皮膜塗装工場のクロム系のにおいとか、
メッキ工場の甘ったるいシアン系のにおいとか書いても、
嗅いだことのない人はピンと来ないだろうし、
そもそも悪臭系統は、有機物の腐敗と密接で、
書くこと自体が躊躇われるような具体例も少なくないので、割愛する。
と、言わざるを得ないほど、においは私たちの脳内において、
「怖いこと」や「危ないこと」と密接にリンクしているのである。
そういう意味では、冒頭でも触れたように、においは重要な信号だ。
なので、無闇矢鱈に脱臭や消臭に励むのは考えものである。
が、恐怖や危険と潜在意識でつながる不快なにおいは、
できるだけ嗅ぎたくないのも正直なところだ。
では、どうすればいいのか?
まずは、においの発生源となる物質の管理をきちっとすること。
簡単に言えば、掃除や整理を怠らないことだ。
次に、物理的な方法や化学的な方法でにおいを取ること。
物理的方法とは、活性炭や珪藻土のような、無数の穴があいた物質を使って、
においの原因となる物質を吸着する方法のことで、
業界では、この方式を「脱臭」と呼んでいる。
一方、化学的方法とは、たとえばアルカリ性の物質に酸性の物質を加え、
中和さてしまうといった類のことで、こちらは「消臭」と呼ばれている。
なお、私の知り合いに、
物理的方法と化学的方法を同時に発揮する素材を開発した人がいる。
もし、興味のある人がいたら、私まで一報を。
そういうわけで、脱臭や消臭のための素材や製品は多く開発されているが、
私はそれらの技術や素材が、悪臭の発生源に対して効果的に投入されている、
とは、どうにも言い切れない気がしている。
悪臭発生源を列記すると、
産業廃棄物などの焼却、工場の煤煙や排出空気、排気ガス、トイレ、
汚水(排水溝や汚水槽など)、飲食店などから出る調理のにおい、
畜舎、生ゴミ、タバコ、香水や化粧品、ペット、生活臭、体臭……。
他にもあるだろうが、
個人向け、家庭向け、事業所向けなどに分けて考えてみると、
まだまだ対策の隙間が見つかりそうな気配である。
というわけで、「におい取りビジネス」の成長性について言えば、
結構「いいにおい」が漂っているのである。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第23回
起業支援相談の壁にぶつかり、個別性と見える化を強化。
不足を感じたら、自ら動き、補う努力を
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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鈴木尚登さん 2015年独立
秋田県横手市
Be linked(ビーリンクド) 代表
http://www.be-linked.jp/
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秋田県横手市の雇用創出協議会に長年勤務し、
地域の雇用創出、起業・創業支援、6次産業化、販路開拓
などに尽力してきた鈴木さん。
2015年、協議会の解散に伴い、経験と実績、信頼と人脈を活かして、
伴走型支援のキャリアコンサルタント「Be linked」を設立した。
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「起業支援をする立場で、人さまへアドバイスをしながらも、
じゃ、自分はどうか、できているかと自問することは正直あります(苦笑)。
『待っているだけでは何も変わらない、始まらない。自ら動かなくては』と、
よく言っていますが、私自身もそうです。
独立してから早々に、
キャリアコンサルタントとインキュベーションマネージャの資格だけでは、
何か足りない、壁があると、感じるようになりました。
『こういう事業を始めたい』という具体的な相談に対しては、
起業支援の制度やサポートを説明したり、
手続き方法を伝授すれば、とんとん拍子なのですけれど、
『何かで起業してみたい』『あれもこれも興味がある』というような
漠然とした起業相談に応じるには、
私が持つ資格だけでは力が足りないと、危機感を持ったのです。
特に女性は、儲けたいという気持ちではなく、生き甲斐のためだったり、
起業したいけれど主婦業が大切だったり、とても繊細で個別性があります。
言葉で、ご本人の思いを整理しましょうと勧めても、
言葉だと、どこか素通りしがちで、真の納得とはズレが生じる気がしました。
何か良い方法はないかと模索している中、見つけたのが、
キャリコン仲間が開発した『キャリアエレメンツカード』。
さっそく講習を受けに東京と大阪へ行き、
さらにその育成ができる資格講習も受講。
“本当に”自分が何をしたいのか、自分の資質や価値観を見える化することで、
漠然とした起業への道や未来のキャリアが明確になっていくプログラムです。
また、秋田県農業公社6次産業化プランナーにも就任したほか、
NICe代表の増田さんから勧めていただいた、
女性労働協会の認定講師の資格も得ました。
『待っていても、変わらない、始まらない』と、
いつも自分がアドバイスしている通り、
必要だと感じたら、自ら行動して得に行く!です。
振り返れば、私は独立する前から、秋田県物産を広める行動をしています。
良い商品やサービスがあっても、知っていただけなければ、ないも同じですから。
首都圏の飲食店で、『す~さん(鈴木さんの愛称)が持ってくる日本酒の会』も主催。
日本酒好き、秋田ファンを増やすことが、
酒蔵や農家支援になるだけでなく、地域活性化につなげ、
外からの移住、また、地域の若者の定住にも貢献したいとの思いからです。
待っていても、変わらない、始まらない、ですからね。
今はコロナ感染症の影響で、開催することができませんが、
落ち着いたら、日本酒の会も、キャリアセミナー登壇も全国で再開したい。
幸いにも、このコロナ禍で秋田県内の起業相談数は減ってはいませんが、
県外へ、首都圏へ、全国へ、お邪魔できる日まで、さらに力をつけておきます!」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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秋田県横手市に『日本海』という居酒屋があります(もっとも横
手市は内陸部なので、日本海には面していません)。私はいちお
う、その店の常連のつもり。東京在住の私が、そんなことを臆面
もなく言えるのも、何かにつけ私を横手市に招いてくれた鈴木さ
んのおかげです。鈴木さんはかつて同市の雇用創出協議会に長く
勤務しており、年を追うごとに、起業やキャリア開発の支援力が
どんどん強化されていました。なので、「この人なら独立してで
きる」と思ったら、本当に独立! ところが、いざ自分の事なる
と、あの堂々とした態度はどこへやら(笑)、と思うほど、心細そ
うな顔つきをしていたことを思い出します。当たり前ですよね。
組織に所属して人を支援する仕事と、裸一貫でそれをやるのとで
は、前提が大きく違うのですから。むしろ、キャリアをひけらか
さず、独立1年生として謙虚に振る舞う鈴木さんの姿勢に共感を
覚えたほどです。さて、あらためて鈴木さんが語る「人には言え
るが、自分はどうか」。これは普遍的な課題です。特にコンサル
のように、人にものを言うことが仕事の場合、なおさらのテーマ
でしょう。でも、その悩ましさから目を逸らさず、いい意味で
「主人公ではない自分」に引け目を感じつつ、その思いを払拭す
べく、支援力を研鑽し続ける。そういう努力を重ねる人には、必
ず光明が射します。鈴木さんには、その光が見えているはずです。
気付けば、鈴木さんとは2年ほどお会いしていません。コロナが
鎮静化したら東京に来るというので、ぜひ、お会いしたいです。
が、できれば久々に、『日本海』で盃を交わしたいなあ。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた鈴木さんこと、す~さんに、
初めてお会いしたのは2009年。以降、NICeの集いや、
首都圏での日本酒の会、秋田物産展などで毎年数回。
コロナ禍でお会いしていない今でも、
日本酒のことはす~さんに尋ねてしまう私です。
す~さんのおかげで、日本酒好き、秋田ファンになったのは
もちろんですが、それだけではありません。
「何になりたいか、ではなく、どう在りたいか」
揺れそうになると自問するこの言葉も
す~さんから数年前にいただいて大切にしています。
ご本人は覚えていないかもですが(笑)。
「つながり力で起業・新規事業!」
次号のNICeメルマガは、4月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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