vol.112【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第21回:取るに足らない「転売ヤー」】
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2020.5.11
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.112
起業支援ネットワークNICe /
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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、
一次産業支援機関の方々へ送信しています。
┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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【1】 シリーズ
増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第21回 取るに足らない「転売ヤー」
【2】 「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
河村知明さん (北海道)
いきなり資金難!交渉・分割でしのぎ、精神的な耐性も自信に
【3】 お知らせ
北海道 物産ネット販売情報
NICeなビジコン入賞者の活動報告、など2本
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第21回 取るに足らない「転売ヤー」
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自宅に常備している小麦粉の残りが少なくなってきたので、
スーパーの売り場を覗いてみたら、ひとつもない。
そういう状況が起きていると、ニュースで見聞きはしていたが、本当だった。
もっとも、小麦粉の品切れは、
ニュースなどで言われている、「転売ヤー」の行動が主因ではない。
小麦の生産量・輸入量、小麦粉の製造量・流通量は、そんな小さなものではない。
転売ヤーが、数千人、数万人と束になって買い占めたところで、
市場に及ぼす影響など、微々たるものだ。
では、何が影響しているのか?
その前に、小麦粉の原料となる小麦は、どこからやってくるかご存じだろうか?
日本国内で生産される量は、国内流通量全体のわずか数%に過ぎず、
90%以上が、アメリカ、カナダ、オーストラリアの3カ国から送られてくる。
昨年、オーストラリアは異常な乾燥に見舞われ、
アメリカやカナダも干ばつ気味だったため、
今年に入ってから、これら3カ国からの輸入量が減少している事実がある。
加えてコロナ禍により、食料供給の自国優先主義も台頭してきた。
もっとも、こうした事情は長期的に見れば、懸念材料ではあるが、
今の今に関して言えば、国内備蓄量は十分と言える。
つまり、原料不足が現在の品不足の理由ではない、ということである。
結論。小麦粉不足を招いた最大の理由は、私たち自身だ。
外出自粛により、家庭内での食事の機会が増加し、
それにともなって、小麦粉の消費量が急増したためである。
しかしそれなら、増産すれば済むと考える人もいるだろう。
もっともな考えだ。
実際、日清製粉も日本製粉も昭和製粉も、増産能力は十分あるという。
ところが、そこに「商売の仕組み」が絡んでくる。
コロナの国内感染拡大が本格化してきたと見るや、
小麦粉を扱う問屋が、我先にとメーカーからの仕入れ量を増やしたのである。
自らモノを作らない問屋の生命線は、「先々何が売れるか」を見抜く力だ。
その目は正しかった。
多くの家庭が、以前よりも小麦粉を求めるようになったのだから。
ところが、この流通の在り方に問題がある。
メーカーは、問屋に小麦粉を出荷する際、
20㎏入りの小麦粉袋60袋を1セットにし、
それをパレットと呼ばれる、物流専用容器に積み込んでトラックに載せる。
小麦粉を受け取った問屋は、パレットごと倉庫に保管する。
つまり納品が済んでも、パレットはメーカーに戻らない。
ひとつのパレットに積み込んだ60袋が捌けるまでは、倉庫に留まる。
そうなると、メーカーは増産したところで、出荷する術がないのである。
であれば、新たにパレットを購入すればいいのでは?
と、思う人もいるだろうが、パレットの購入価格は一基4、5万円。
1000個、2000個と増やしていけば、瞬く間に億単位の出費になってしまう。
そもそも、無くなったのではなく、一時的に戻ってこないだけの話であり、
新規に購入する必然性もない。
かくして、小麦粉の出荷量は増えない。
困った話である。
だが、困った話こそ、ビジネスチャンスの源泉だ。
パレットを買いたくないメーカーに、一時的にレンタルするサービスが出てきた。
あるいは、スピーディーに戻してもらえないパレットを、
メーカーに代わって回収してまわるサービスも人気があるそうだ。
さらには、パレットにGPS発信機を取り付けて、
所在が有耶無耶にならないよう、管理するサービスも登場したと聞く。
川下(消費者寄り)で起きている問題は、
川中(流通)に、さらに川上(生産)へと遡上して要因を探ると、
実像がハッキリしてくる。
「小麦粉が足りない。では、買い占めて高く売ってやろう」。
こんな行動は、ビジネスではない。単なる迷惑行為だ。
ビジネスとは、課題を解決することで感謝され、お金を得る行為である。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」 第13回
パソコンオタクで社長を継ぐも、いきなり資金難!
交渉・分割支払いでしのぎ、精神的な耐性も自信に
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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河村知明さん 2002年起業 北海道帯広市
デジタルグラフィックス株式会社 代表取締役
http://www.clione.ne.jp/
特定非営利活動法人ぷれいおん・とかち 理事
http://www.play-on-tokachi.net/
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Web制作会社を営む傍ら、短大と専門学校で非常勤講師を、さらに、
0歳から小・中・高校生までの居場所づくり・体験活動を提供する
NPO法人の理事も務めている河村さん。
現在は、新型コロナの影響で対面販売は休止中だが、
地元農家と連携して、『新鮮組~採れたてで感動と笑顔を~』も運営し、
十勝の基幹産業である農業の支援活動にも尽力している。
そんな河村さんが社長業に就いた時、実は、
経営のことなど何も知らない、「単なるパソコン好きのオタクだった」と言う。
「20代の頃はニホンザルの生態調査をしていて、日本各地へ出向いていました。
環境問題の広報も担当していて、早くからパソコンに慣れていたのです。
その経験を活かして、地元帯広へUターンして入社したのが今の会社。
ところが、『君、明日から社長ね』とハンコを託されて、
ひとり経営者になったのです。
その直後、所轄の保険事務所の人が数人で来て、『社会保険が未納です』と。
同時に、お客さまからも『サイトが動かない』とクレーム電話が何本も。
調べてみたら、なぜかサーバが止まっている!
契約サーバ会社に連絡してみると、なんと、利用料の滞納が発覚。
『何度も督促を出したのに、支払いがないので停めました』と。
参りました……。でも、知りません、分かりません、じゃ済まされない。
お客さまがいる以上、自分がなんとかせねば!と肚をくくりました。
サーバのほうは、とりあえず10万円だけ先に支払うからと頼み込んで復旧。
社会保険のほうは、延滞金の利息分から支払い、後は分割払いにしてもらいました。
いきなりの資金難、とにかく我武者羅に稼ぐしかない!と、
週4日は事務所に寝泊まりして、働きまくりました。
正直、自分でゼロから事業を起こしたほうが楽だったとも思いますし、
資金繰りは、今でも、常に、頭が痛い問題です。
でも、この経験のおかげで、心臓は強くなったと思います。
すぐには強制執行されない、つぶされない、
先延ばしにできるもの、分割にできるもの、入金とのタイミング調整など、
策は意外とあるんだと、あの時に比べればと、気持ちに余裕ができました。
ただひとつ、後悔と言うか、今でも申し訳なく思っていることがあります。
当時、子どもが生まれたばかりで、手がかかる時期に不在がちだったこと。
その後、経営を安定させてから、スタッフも増やしましたが、
スタッフにも、「最優先は家族・子ども」と訴え、フルフレックスにするなど、
ライフワークバランスを大切に経営しています。
当時の自分の無茶ぶり・不在がちを大いに反省、と同時に、
身体を壊さず乗り越えたのも、妻の健康食のおかげだと今も感謝しています。
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆ワンポイントガイド
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デジタルグラフィックスの河村さん。彼ほど、初対面の印象が強く残
る人はいません。もう十数年前になるでしょうか。私が帯広市で行っ
たアイデア発想法セミナーに彼が参加したことが、お付き合いの始ま
りでした。食い入るようにして講義を聴き、臆さず意見を述べ、納得
いくまで質問を繰り返す。まるで「当事者意識の固まり」のような人
物だと感じたものです。もっとも彼のそんな並外れた前向きさは、諸
刃の剣かもしれません。「こういう男なら、無理を押しつけても何と
かするだろう」。前経営者が河村さんの性分につけこんだ可能性は十
分あります。実際、河村さんは何とかしてしまったのですから。さて、
経営者には、用心に用心を重ねて生き延びる人もいれば、河村さんの
ように、火事場のくそ力を発揮するような人もいます。ただ、事業を
長く営むことを考えれば、経営者には、その両方の力が求められます。
元々の資質を活かしつつ、未開の能力を獲得していく。そういう向上
心が経営者には大切です。そして間違いなく、河村さんもそのような
成長を続けていることでしょう。彼の高い当事者意識が追い求めるも
のは、「より良い経営者像」に違いないと思うからです。(ますだ)
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お知らせ1 北海道 十勝名産品
ネット販売情報
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上記の「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」に登場いただ
いた河村さんから、十勝の農産物おすすめのお店を2店ご紹介いただ
きました。北海道物産展が各地で開催中止になっています。みなさん、
よろしかったら応援のほど、よろしくお願いします。
「お家で挑戦!さけるチーズ&ピザ作り体験セット!」ほか
有限会社 NEEDS
〒089-0788 北海道中川郡幕別町新和162-111
https://shopping.geocities.jp/needs-tokachi/
予約アスパラ、畑もの、海もの、スイーツ、加工品ほか
十勝亭(とかちてい)
株式会社山下観光
〒089-0103 北海道上川郡清水町日勝峠石山
https://www.shimizu-drivein.jp/category.cgi?&field=sg8
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お知らせ2 NICeなビジネスプランコンテスト入賞者の活動情報
祝!設立 一般社団法人 シェルター・リフォーム協会
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第6回NICeなビジネスプランコンテスト ファイナル進出・優秀賞の
の伊藤直子さん(愛知県・京都府)が、シェルターリフォームの普及
を目指して4月1日に、えびす建築研究所・花井勉氏、名古屋工業大学
・井戸田秀樹教授と共に、一般社団法人 シェルター・リフォーム協
会(東京都)を設立されました。現時点で20都道府県で認可されてお
り、日本で初めて耐震補助金が全額使用できるシェルターとなり、自
己資金100万円から建設が可能とのこと。また、伊藤直子一級建築士
事務所は、名古屋から京都へ移転し、京都と東京を拠点に活動します。
伊藤直子一級建築士事務所
https://ito-naoko.info/
一般社団法人 シェルター・リフォーム協会
HP 準備中
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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みなさん、体調はいかがですか? 食欲はありますか?
5月5日の立夏を過ぎて、これから夏へと向かいますね。
この時季は、旬のもの、苦い食材&少しの甘味が
身体にいいと聞いて、佃煮づくりがマイブームです。
タケノコ、新玉ねぎ、そしてアスパラも旬ですね。
8年前の5月に、北海道の十勝で、NICe交流会・頭脳交換会が
開催された時、翌朝に農家さんへご案内いただきました。
アスパラ畑を見たのも、自分で収穫したのも、生まれて初めて。
お味ももちろん感動体験でした。その会の実行委員長が、
「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」に
登場いただいた河村さんです。
今号のお知らせ1に、河村さんおすすめの十勝ネット情報を
記載しましたので、みなさん、どうぞご覧くださいね。
次号は5月21日頃に配信の予定です。
(NICe広報・岡部)
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増田紀彦代表およびNICe会員への
講演・取材依頼は
こちらフォームにて受け付けています
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こちらQ&A、またはメールにてお問い合わせください
Email :jimukyoku@nice.or.jp
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■ 〒152-0001 東京都目黒区中央町2-6-8-1F
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■ TEL&FAX (03) 6316-9029
■ Email: jimukyoku@nice.or.jp
■ 代表理事 増田紀彦
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