第13回 しっかり冷やして、ちょっと温める
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」 第13回
しっかり冷やして、ちょっと温める
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姫路市役所が庁舎内の空調温度を25度設定にしたという。
環境省の推奨温度は28度だが、
そもそも、なぜ28度なのかという根拠が特にない、
という事実も、このニュースを通じて世間に知れ渡った。
もちろん28度より25度のほうが電気代はかさむ。
が、快適さで言えば「25度がいい」と多くの職員が口をそろえる。
仕事も効率よく進むから残業も減り、夜間の空調使用や照明使用も減る。
結果、いいことだらけだ。
と、言いたいところだが、職員の中には、
「体が冷えるので、長袖の上着を用意しておかないと……」と、
若干ではあるが、不満を抱く人もいた。
今回のビジネスチャンスは、まさにここにある。
暑いから冷やす。まずはここに大きな市場があるわけだが、
次に、冷やしたら寒くなった。どうにしかしたいというニーズが発生する。
実際私も寝室の空調温度をタイマー設定した上で25度に変更してみた。
28度の時は寝汗をかいて目を覚ますことがあったが、それがなくなった。
大助かりだ。
ただし、横になってじっとしているから、体は結構冷えてくる。
とくに私の場合、冷えるとすぐに腹が痛くなる。
なので、腹巻を着用することにした。これも冷房が生み出す経済効果だ。
ちなみに腹巻をした自分の姿を鏡で見ると、
まるでバカボンのパパなのだ! でも、それでいいのだ。
さて、7月末、東北自動車道上り線の蓮田SAがリニューアルオープンした。
従来と比べて駐場のマスは約3倍、商業施設は約2倍という広さで、
関東や東北の人たちにとっては、ちょっとしたニュースになった。
この大型商業施設の一角に「日本橋 一平」という店舗が入っている。
本店は、ご存じの人はご存じの、日本橋にある老舗和食屋だが、
蓮田SA店は、飲食無しのテイクアウト専門店である。
では、何を販売しているのか?
一平の人気メニューの「おでん」。それだけを販売している。
えっ? おでん?
それって冬の味だよね? このくそ暑い時期に食べる人がいるの?
と、一瞬思うが、実際には連日飛ぶように売れているとのこと。
説明するまでもないだろうが、
自動車のエアコンのせいで体が冷え切ってしまった人たちは、
「温かいものを、少し食べたい」と思うのだ。
これがラーメンだカレーだとなると、さすがに熱すぎて、
汗がドバドバ吹き出し、結果、余計に体を冷やすことになってしまう。
つまり「ちょっと」がポイントなのである。
満腹にもならず、大汗もかかずに済む、温かいもの。
腹巻も同じだ。
冷えるからといって、全身を覆う厚手のパジャマなんか着て寝たら、
たまったもんじゃない。おなかだけ、冷えなければいいのだ。
猛暑は、来年以降も続くだろう。そうであれば、近い将来、
姫路市役所方式がスタンダードになるはずだ。
快適だが、けっこう冷えてしまう日本の夏。
ここを狙った「ちょっと温かくなれる商品」の伸びしろは大である。
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.92
(2019.8.12配信)より抜粋して転載しました。
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