「事例に学ぶ! 新事業実現法」第27回/天田幸宏さん(東京都渋谷区)編集キャリアを生かし、想いの言語化を支援。人と人をつなげる出版コンサルティングからエージェント事業へ
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「事例に学ぶ! 新事業実現法」
第27回
編集キャリアを生かし、想いの言語化を支援。
人と人をつなげる出版コンサルティングからエージェント事業へ
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東京都渋谷区/NICe協力会員・天田幸宏(あまだ・ゆきひろ)さん
コンセプトワークス株式会社 代表取締役
http://www.co-works.jp/
NPO法人 企画のたまご屋さん 理事
http://tamagoyasan.net/
NICe会員情報はこちら
http://www.nice.or.jp/category/members/members-tokyo/page/3
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◆取材や交流会を通して、文章に苦手意識を持つ経営者の多さに直面
子どもの頃に憧れた職業に、実際就いている大人はどれほどいるだろう。
小学生の時、夢中で読んだパソコン雑誌に感銘し、
編集者になりたいと思った天田幸宏さんは、夢を叶えたひとり。
「業界の裏話や開発ストーリーなどに惹かれたのです。
へ~と思うような、新しい知識を伝える編集の仕事に憧れました。
要は、おせっかい焼きなんです(笑)」
きっかけはバイト先で訪れた。
制作アシスタントとしてリクルートに入社して2年後、
上司からの勧めでアントレ編集部へ。
その後、編集デスクを任されるまで実力を発揮するが、
もう一歩先へとの思いから、2004年に独立。
編集業とビジネスセミナーのプロデュースを手がけながら、
起業後も学び続けることの重要性を実感していた天田さんは、
経営者の勉強会や異業種交流会にも積極的に参加。
そんな中で参加者から、文章に関する相談を受けることが多々あり、
特に、本を出版したいという相談が年々増加していた。
「言語化することに困っている経営者がこんなに多いのかと。
テクニックもありますが、それだけでなく、その企業なり人なりの
コンセプトが明確かどうか。そこをしっかり固めることが重要です」
その想いを社名に込め、困っている人の役に立ちたいと、2007年、
出版コンサルタント業をメインにコンセプトワークスを立ち上げる。
◆社会的意義に共感し、NPOの組織建て直しに尽力。その経験も財産に
相前後して、知り合いのライターから、
NPO法人「企画のたまご屋さん」に参加しないかと声がかかる。
出版物の企画を出版社へ一斉配信し、両想いとなれば出版までサポートする、
本を書きたい人と出版社を結ぶNPOだ。
確かに双方に需要はある。だがNPOとしての組織体制が整っていなかった。
まずは組織改革と感じた天田さんは、運営に深く関わり尽力する。
「出版社の9割が首都圏にあります。
初めて本を出したい人や地方在住者には、出版者と出会う機会は少ない。
自費ではなく、出版社がその費用を出したいと思うような
素晴らしい企画・著者を卵からひよこへと育つようサポートする活動は、
とても社会的意義が大きいと感じました。
ピンチを立て直す経験は、きっと将来、自分のためにもなると思えたのです」
そのかいあってNPOの運営も改善、400冊を超える書籍を世に送り出し、
天田さんは現在も、本業の傍ら理事職と事務局も務めている。
◆セミナー開催やコーチング、エージェント事業で、中小・個人事業主を応援
出版したい人のニーズ、時期、自費出版か否かなどの諸条件を聞き取り、
自社の顧客として、あるいは企画のたまご屋さんの利用者として、
相手に選択肢を提示できることも、今では天田さんの強みになっている。
「出版して終わり、の自己満足ではなく、
ご本人も、出版社も、そして読者も、三方吉でハッピーにするのが自分の役目。
自社では、出版までのプロセスをステップごとにクリアできるよう伴走しますし、
ご本人の要望をよくよくうかがうと、本当のゴールは出版ではなく、
理念や考えを言語化したいという場合もあります」
そこで、パーソナルセッションのサービスも新設し、
2014年からは、コンセプトづくりのノウハウを伝授するセミナーも主催。
また出版後も、天田さんにエージェントを依頼する著者も増え、
マネジメント事業も手がけている。それもまた経験となり、
2014年からは出版に限らず、途上国の開発支援コンサルタントや
音楽事務所から独立したい人の相談を受けて音楽家のマネジメント事業も開始。
コンセプトディレクター、出版コンサルタント、エージェント事業へと展開中だ。
人の相談ごとやお悩みに、耳を傾け、自分ができることを提供し対価を得る。
商いの基本だが、何事も人と関わらずしては、始まらない。
2015.3.23
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.28