「事例に学ぶ! 新事業実現法」第18回/ 小倉健二さん(埼玉県川越市)職人の探究心に、起業家仲間のエールが後押し ノン・スキャフォールディング工法の講習&ツール販売を事業化
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「事例に学ぶ! 新事業実現法」
第18回
職人の探究心に、起業家仲間のエールが後押し
ノン・スキャフォールディング工法の講習&ツール販売を事業化
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埼玉県川越市/NICeユーザー・小倉健二(おぐら・けんじ)さん
有限会社 ケンテックシステムズ 代表取締役
HP:
http://www.kentechsystems.net/
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◆不満解決のため独自開発。それが進化と安全性の証明へ
より便利に、快適に、安全に。それを求めて人は常に創意工夫を続ける。
職人ならば、なおのこと。
「道具がないなら、自分でつくる」とばかりに、
独自の技術や道具を開発してきたのが、空調・電気・給排水の設備工事会社
(有)ケンテックシステムズを営む小倉健二さんだ。
そのひとつが、『ノン・スキャフォールディング技術&工法』。
ノン=無 スキャフォールディング=足場 という意味で、
高所の現場でも足場を仮設せず、作業できる無足場工法を編み出した。
きっかけは、足場が組めない数十階建ビルでの工事依頼を受けたこと。
その時、かつて習得したアブセーリング
(岩壁、滝、洞窟などをロープや器具を使って降下するアクティビティ)
を試したところ、快適に作業できることを実感。
「これは使える!」と、ロープアクセス技術を学び直した。
だが、講習では物足りなさと問題点も感じた。
実技講習は屋内に設置された高壁で行われたが、実際の現場は屋外だ。
視界、風や、天候などの条件がまったく異なる。
何より、1本のロープでの降下・登攀が不満だった。
目的は降下・登攀だけでなく、そこで安全に作業することだ。
さらに現場では溶接器や鋭利な工具も使うため、ロープ切断の危険もある。
「もっと便利に、もっと快適に、もっと安全に」と小倉さんは、
セカンドロープや鉄骨製支点など、様々な器具の開発に着手。
自ら図面を引き、部品を集め、組み立てを繰り返し、
ついに独自の『ノン・スキャフォールディング技術&工法』を確立した。
◆技術と工法を普及させることで同業界との連携を
たとえば一般的な9階建ビルの場合、従来工法だと、
足場の設置・撤去費用だけで1000万円を要する。
しかも仮設足場は景観を損うと、近隣からの苦情も少なくない。
そのため、ビル関係者の中には、保守点検を断念したり、
雨漏りを放置したりするケースもあるという。
ところが小倉さんの工法なら、足場を設置しなくて済むため、
費用が大幅に削減でき、工期も短縮できる。
当然、依頼主には好評だ。
「この技術と工法をもっと広めたいと思うようになりました。
そうすればお客さんに喜ばれるだけでなく、
同業の空調・電気・給排水の設備工事業者とも連携できて、
規模に関係なく受注できるし、互いに仕事の幅も広がりますから」
どうすれば広められるだろう……。
「そうだ!講習事業だ。それにツール販売も事業化できる!」。
小倉さんが閃いたのは、2013年4月、
NICe主催の創業・新規事業セミナーを受講した時だという。
講師は増田紀彦代表理事。最終的な生産物やサービスだけでなく、
業務ノウハウもまた、経営資源だということを教えられた。
だが、季節は空調設備業者にとっては超繁忙期。
「今は無理だ、いつかやろう。いつでもできる!」と、時間が過ぎた。
そして同年10月、『NICeなビジネスプランコンテスト』開催を知る。
当時、小倉さんの頭の中には複数のビジネスアイデアがあったそうだが、
その中から、まっさきにタイトルを書いたのが、
『ノン・スキャフォールディング講習』だった。
◆グランプリ受賞で事業化加速、さらに複数のプロジェクトも始動
「いざ応募書類を書き始めてみると、
やるべきこと、準備すること、足りないことが多々あると気づきました。
いつでも事業化できると思っていましたが、甘かった。
応募したことで、改めて事業計画を深められたし、
やりたいことを人に伝える難しさも学べました」
第一次書類審査を通過し、12月の本戦に出場。
結果、見事にグランプリを受賞。
これが本当の意味で、事業化の引き金になった。
「コンテストに応募しなかったら、もっと言えば、
グランプリを受賞しなかったら、
事業化には着手しなかったかもしれません。
みなさんから票を投じていただいたことで、やらねば!と。
本業の仕事依頼も断って準備に専念しました」
テキストを自身で作成し、指導法とカリキュラムも組み立て、
シミュレーションを重ね、実技講習場として9階ビルの外壁使用許可も得た。
こうして2014年4月、新規事業として
ノン・スキャフォールディング技術講習とツール販売を同時スタート。
第1期生の講習を終え、想像以上の手応えを感じているという。
事業化したことにより、独自の技術を有する職人仲間と、
互いにスキルアップ講習をし合おうという声が上がり、
将来の夢を応援し合う『職人プロジェクト』が始まった。
また、同業者だけでなく、NICeの起業家らとの交流も広まり、
連携・協力体制の芽も見え始めているという。
より便利に、快適に、安全に。
ないなら「自分で!」から、ないなら「自分たちで!」へ。
小倉さんの職人魂に着いた炎は、仲間を得てますます勢いを増している。
2014.5.21
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.18