「NICeなビジネスプラン誕生秘話」第17回 草野 学さん(福島県いわき市)
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「NICeなビジネスプラン誕生秘話」 第17回
第5回NICeなビジネスプランコンテスト 奨励賞
草野 学さん(福島県)
株式会社WILL GOLD
統括マネジャー
受賞プラン名称
『デイサービスへの商品宅配サービス
~あそこに商品(もの)運んでくれるってよ!!~ 』
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◆住み慣れた町で暮らしたい、高齢者の「買い物」問題に着目
長年介護現場に従事し、『デイサービス処あしび』をはじめ、
3カ所の事業所を立ち上げ、統括している草野学さん。
2017年12月開催の第5回NICeなビジネスプランコンテストでは
『デイサービスへの商品宅配サービス』をエントリーし奨励賞を受賞した。
高齢者にとって、日常の買い物は大きな問題だ。
「買い物へ行けないから…」と、在宅で生活可能な高齢者が、
泣く泣く施設へ入所する場面も数多く見てきた。
デイサービス側が買い物サポートをしたくても、
介護保険の制度では、サービス提供時間中に、
スーパーや商店への買い物に同行したり、
移動販売を利用することは原則禁止されている。
そこで草野さんは、近隣のスーパーや個人商店と連携し、
デイサービスを中継基地にするプランを考案した。
具体的には、デイサービス利用者に当日注文票を持参してもらい、
デイサービス側がFAXで商店などへ一括送信して注文。
まとめてデイサービスへ納品してもらい、
デイサービスが立替払いをして帰宅時間まで保管。
利用者を車でご自宅へ送る際に、ご本人と一緒に運ぶという仕組みだ。
高齢者の買い物問題を解消でき、商店側も固定客が確保でき、
デイサービス側も付加価値が付き、経営的にもメリット。
全国で展開できれば、施設入居する高齢者の人数が抑制でき、
社会保障費の削減にも役立つ。何より、
住み慣れた場所で最後まで生活したいという望みが叶えられる。
◆介護実習を機に進路変更。大組織での苦い経験から、理想実現へ
とはいえ実現するには、問題は山積みだ。
度重なる介護保険制度の改定、近隣商店の協力や交渉、
デイサービススタッフにも負荷がかかり時間も労力も要する。
現時点では、制度改正の方向性を見極めつつ、
基盤強化と各所のスタッフ連携に専念しているところだという。
草野さんがデイサービス立ち上げ準備の当初から、
特に重視しているのが、質の高いサービス、利用者の声、
そしてスタッフのモチベーションを高める環境づくりだ。
これまで介護業界一筋の草野さんだが、そのきっかけになったのは、
学生時代、授業の一環にあった介護実習だった。
「高齢者施設で1カ月、食事から入浴、おしものお世話もすべて
させていただいたのですが、もう毎日が楽しくて楽しくて。
毎朝、実習開始前に誰よりも早く施設に行っていました(笑)」
社会福祉を専攻していたが一転し、卒業後は迷わず介護の世界へ。
しかし勤続年数とともに組織の壁に苦しんだ。
役職が付きながらも、規模が大きな法人だったためか、
権限が限られ、楽しい気持ちがいつしか苦しいに代わり、
業界を離れようかとも…。そんな時期に、
介護事業を地元、いわき市の小名浜で展開したいという人物を
知人から紹介された。それが同社代表取締役社長の石田知郎氏だ。
◆利用者も介護スタッフも楽しめる、幸せな環境づくりに尽力
「ゼロから理想を形にできるチャンスをいただいたと同時に、
もちろんプレッシャーも責任も十二分に感じました。
利用者自身が主人公となり、楽しみながら自ら選択し、喜ぶサービスを、
現場スタッフも自分の仕事に、誇りと自信と喜びを感じる、
そんな志ある組織にしよう!と」
2013年に通所介護事業所『デイサービス処あしび』、
2年後に『グループホームあしび』、そして今年、
障害児通所支援『童夢セカンド』も開所した。
受賞プランの始動はしばらく先になりそうだが、
現在は、介護職員初任者研修の資格事業を計画中。
講義と演習ができる場所もある、優秀なスタッフ、講師資格者もいる。
そして資格取得後の職場そのものもある。
利用者の自立と希望に応え、草野さんが学生時代に「楽しい!」と
感じたような現場づくりに専念すべく、
今日も3カ所の事業所へ、心も元気に顔を出していることだろう。
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草野 学(くさの・まなぶ)さん/福島県いわき市
株式会社WILL GOLD 統括マネジャー
http://zeus-net.jp/asibi/
デイサービス処あしび
グループホームあしび
障害児通所支援 童夢セカンド
○プロフィール 1980年2月21日、福島県いわき市出身。
工業高校卒業後、社会福祉士を目指して宮城県の4年制専門学校へ進学。
授業の中に1カ月の介護実習があり、その楽しさから介護の道へシフト。
卒業後は故郷へ戻り、高齢者介護施設の法人に就職し10年間勤務。知人の
紹介で同社代表の石田氏と出会い、立ち上げメンバーに。2013年に通所介
護事業所『デイサービス処あしび』、15年『グループホームあしび』、18年
障害児通所支援『童夢ll』をオープン。介護福祉士、ケアマネジャー(介護
支援専門員)。現在の趣味は、幼少の頃に習っていたピアノの再開。2人の子
どものために買った電子ピアノだったが、今は自分がハマっているという。
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▲2017年12月開催 第5回NICeなビジネスプランコンテスト本選 表彰式
2018.9.21 配信
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.73