米国に負けるな、米の国
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「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」
第49回
米国に負けるな、米の国
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【なぜ、日本は陸上イージスを購入するのか?】
1基700億~800億円もする「陸上イージス」を、
日本はアメリカから何基も購入する流れになっている。
陸上イージスとは、ミサイル迎撃システムのひとつである。
現在、日本には海上イージス(イージス艦)やPAC3が配備されているが、
それらを補強して、ミサイル防衛力を強化するものと言われる。
だが、その効果を疑問視する専門家の声もないわけではない。
にもかかわらず、この高価な買い物をすることに、日本はほぼ同意している。
なぜか?「北朝鮮のミサイルが、日本をかすめているから」だ。
では、その北朝鮮をしきりに煽っているのは誰か?
当のイージスの売り手、アメリカの大統領トランプ氏だ。
【希代の天才商人=トランプ大統領】
実はアメリカは以前から、陸上イージスを日本に売りつけようと計画していた。
その頃は「中国の脅威」を口実にしていたが、
それではなかなかことが進まない。そこに北朝鮮の登場である。
トランプ大統領は、これを千載一遇のチャンスととらえたのだろう。
必要以上に北朝鮮を刺激し、「戦争の危機」があるかのように見せかけて、
日本が陸上イージスを購入せざるを得ないよう誘導しているのである。
この大統領の商才は、天才レベルだと思う。
TPPなどという、時間も手間もかかる方法より、
軍事的緊張をつくり出して日本に軍備増強を迫るほうが、
手っ取り早く日本の金を吸い上げることができる。
そう計算して、本当にその通りに動くのだから、実に凄い。
【アメリカは日本に「文化」を売りつけた】
それにしても日米の営業合戦の歴史はすさまじいばかりである。
戦後は日本が繊維製品や自動車をアメリカに輸出して高い経済成長を実現した。
その反撃策としてアメリカはTPPの枠組みを活用して、
日本の金融市場や建設市場などの奪取を企図した。
が、トランプ政権は上記のように、迅速かつ効果的な方法で日本に迫ってきた。
もっとも、日本の高度成長が始まる以前、つまり終戦後ただちに、
日本はアメリカから、とてつもない品物を売りつけられている。
欧米式文化だ。衣食住、すべてを洋風化させていく文化を売りつけられた。
中でも「食」は劇的に変化した。
アメリカの余剰小麦や余剰乳製品が日本に押しつけられたことは有名だ。
そこに「アメリカ映画」という宣伝も加わり、日本人の食生活は極端に欧米化した。
【食の分野では、何としても日本優位を】
高温多湿の日本は、本来、米の栽培に適していて、
乾燥を好む小麦栽培には適していない。
したがってパン食文化が広まれば、原料(小麦)は輸入頼みとなり、
その反動で国内の米作農家の所得は下がり、離農者が増える事態になった。
美味しい米を作ることが可能な気候風土と、高度な生産技術を有する農家、
これらは、普通に考えれば、他国に対する競争優位の原資である。
いわば、国家レベルでの経営資源なのだ。なのに、その強みを活用せず、
むしろその強みを放棄するような昨今の状況はいかがなものか。
軍事産業、航空・宇宙産業、自動車産業、ロボット産業、通信産業などを舞台に、
今後も日米の激しい攻防が繰り広げられるだろう。
ただ、戦況は今のところ、トランプ商人率いるアメリカが優位だ。
だからせめて、食の分野では反撃に出たい。頑張りたい。
食の分野から、日本経済の活力を取り戻し、伸ばしていきたいと思う。
【12月9日の頭脳交換会で、米づくり農家を応援しよう!】
12月9日(土)、東京の日本政策金融公庫東京中央支店で開催する、
「NICeつながり祭り2017」において、
新潟県魚沼地方で米を生産・販売するNICeの仲間がプレゼンに立ち、
どうしたら米の消費を伸ばせるのか、
あるいは、どうしたら、農家が米を作り続けていくことができるのかを、
全参加者で考え、アイデアを出し合う頭脳交換会を行う。
大きな実りは、一人のアイデアから。皆さん、ぜひ、ご参加を!
http://www.nice.or.jp/archives/40057
<一般社団法人 起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.59
(2017.10.22配信)より抜粋して転載しました。
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