衰退産業に、ビジネスチャンスあり!
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「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」
第47回
衰退産業に、ビジネスチャンスあり!
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【笑い話の昔話。米国に『デニーズ』があった!】
バブル経済の余韻が強かった1990年代前半、
アメリカに出張した私は、胸を熱くする光景に出くわした。
町の中心部で『デニーズ』を見かけたのだ。
戦後45年強、日本の外食産業は、ついにここまで成長したか……。
この話は、もちろん私の勘違いである。
『デニーズ』は元々アメリカのレストランだ。
そのブランドをイトーヨーカ堂が日本で使用したのであって、
日本のレストランが米国に進出したわけではない。
だが、そんな勘違いをしてしまうほど、当時の外食産業の勢いは凄かった。
【すっかり様変わりした『デニーズ』】
あれから四半世紀以上。最近、久しぶりに『デニーズ』に入った。
「コーヒーのお代わりはいかがですか?」というサービスはなくなっていて、
代わりにドリンクバーが設置されていた。
料理の宅配を始めたというポスターも貼ってあった。
また「入店から5時間経過したら一度精算させてもらう」旨の張り紙もあった。
申し訳ないが、「儲かっていないのだろう」と、感じざるを得なかった。
仕方がないことだ。時代は変わった。
【撤退相次ぐファミレス。その跡地には……】
もっともファミレスの低迷は、すでに何年も前から続いており、
『デニーズ』も他の会社もかなりの店舗を閉鎖している。
では、ファミレスが撤退したあとの店舗はどうなったのか?
ユナイテッド&コレクティブ、ブロンコビリー、エムグラントフードサービス……。
外食産業と遠い読者の方には、馴染みのない社名かもしれないが、
実はこういった新興の外食企業が、ファミレス撤退後に、
自社の飲食店をオープンさせている。しかも、多くの場合、
内装をやり直さず、看板を付け替えるだけの、いわゆる「居抜き開業」だ。
日本には、コストをかけずに次々と飲食店を出店できる、
「いい条件」が広がっている、ということである。
【ガソリンスタンド連携ビジネスの隆盛】
ファミレスに以上に撤退が続くのが、ガソリンスタンド(GS)である。
消防法の改正により、GSは地下タンクの交換が必要になったが、
その工事代金は1基1000万円以上。元々利益率の低い商売。
この設備投資に耐えられず廃業を選択する事業者が増えている。
とはいえ、GSが消えてしまったら、大変なことになる。
そこで、『セブンイレブン』とセルフ式スタンドを合体させたサービスが登場した。
一方、レンタカーの新興企業、ニコニコレンタカーの加盟店になるGSも多い。
私も最近、大阪府のGSでニコニコレンタカーを利用したが、
返却する際、わざわざGSを探さなくていいので、とても便利だった。
【さよならPHS。そして、こんにちは……】
話はかわってPHS。ついに新規契約受付が来春で終了するそうだ。
もちろんすぐに使えなくなるわけではないが、いずれは停波する。
そうなると、PHSに割り当てられていた周波帯が空くことになる。
なるほど……。ウィルコムの経営が行き詰まったとき、
ソフトバンクが救済に乗り出した理由は恐らくこれだろう。
PHSの停波を見越し、空いた周波帯で新たな通信サービスを起こす……。
ソフトバンクは、いいものを実に安く手に入れたことになる。
【チャンスはピンチの先に広がっている】
ビジネスチャンスを探ろうとすると、とかく流行に目を向けたくなるが、
実は、廃れゆくものにこそ、チャンスが潜んでいる。
ファミレス、ガソリンスタンド、PHS……。
似たようなものは、まだまだあるはずだ。
盛者必衰。この普遍的トレンドを見逃さないことが飛躍の秘訣だ。
<一般社団法人 起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.57
(2017.8.21配信)より抜粋して転載しました。
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