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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
災害対策こそ、デフレ脱却の突破口



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第38回 
     災害対策こそ、デフレ脱却の突破口
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【止まるところを知らない自然災害】

台風が猛威を振るっている。
従来、台風上陸など無縁と思われていた北海道や東北の被害も大きい。
地震列島ニッポンは、同時に台風列島ニッポンでもある。
日本国民の生命と財産は、常に自然の脅威にさらされている。

2011年に発生した東日本大震災を受け、
2013年に国土強靱化基本法が施行され、翌14年には基本計画が閣議決定された。
しかしその後も、広島市の豪雨による土砂災害、茨城県常総市の洪水災害、
今年4月の熊本地震、そして今回の一連の台風と、大災害が続いている。
2020年の東京五輪まであと4年。
それまでに、世界中の人々が安心して訪問できる国に、本当になるのだろうか。


【今年の被害額は我が国GDPの1%以上か】

いや、五輪開催にかかわらず、国土強靱化は急務中の急務だ。
国民生活と日本経済にとって、自然災害は看過できないレベルに達している。

今年8月の台風による被害額は、少なく見積もっても数千億円、
9月の台風による被害も加えれば、1兆円を突破するだろう。
熊本地震による被害額は4兆円を超すと見られており、
この2つだけでも5兆円以上となり、日本のGDPの1%以上に達してしまう。

にもかかわらず、国の対応は遅い。
国土強靱化推進本部が毎年のようにアクションプランを発表しているが、
いかんせん実効が上がっていない。予算が少なすぎるのではないか。


【小規模事業にとって何より恐ろしい自然災害】

もとからデフレ脱却が進まない経営環境の中、
損益ギリギリの状態で経営している事業者にとって、天災は本当に恐ろしい。
農林水産業をはじめ、製造業や運輸業、小売業やサービス業における
小規模な経営体は、1回の災害で深刻な経営状況に陥ってしまう。

田畑の作物がダメになる。工場の機械が冠水で壊れる。店舗がダメになる。
物の移動ができなくなる。人の移動ができなくなる。停電で情報が止まる。
体力のない事業体は、これでアウトだ。

だから、損害補償をしてくれ、などと言うつもりはない。バラマキは結構。
そうではなく、国土強靱化のための予算規模をもっと大きくして、
被害低減のためのあらゆる事業を実施することで、仕事を増やしてほしい。


【通信技術開発も国土強靱化の要諦】

国土強靱化というと、土木・建設業が主役と思われがちだが、
決してそれだけではない。
国土強靱化「アクションプラン2016」の中には、
「起きてはならない最悪の事態」として、45項目が挙げられており、
その中のひとつに、「テレビ・ラジオ放送等の中断により、
災害情報が必要な者に伝達できない事態」がある。

8月の台風10号による河川洪水で、
多くのお年寄りの生命が失われた岩手県岩泉町の福祉施設では、
停電のためにネットを使った災害情報が届かなかったという。
まさに「起きてはならない最悪の事態」が起きたわけで、
こうした状況を改善するための通信技術開発も強靱化のひとつになる。


【あらゆる業種が国土強靱化に貢献可能】

もっと身近な例を挙げれば、
台風時に歩行しなければならない人たちのための、
折れにくい雨傘や防水性の高いバッグ・帽子・レインコート・シューズの
開発・製造・販売も、自然災害から日本経済を守る重要な手立てだ。
自動車運転者のためのツールやサービスも、あれこれ考えられるだろう。

掛け声だけでなく、本当に官民一体となって自然災害に立ち向かえば、
貴重な生命と財産を守ることができ、
しかもデフレ脱却の大きな契機になるはずだ。
やらない手はない。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.46
(2016.921配信)より抜粋して転載しました。
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