増田通信より「ふ〜ん なるほどねえ」104 ネオン街の「おたく御殿」
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<最近の発見> ネオン街の「おたく御殿」
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いやいやいやいや、大概のことには驚かなくなった私だが、
今回の「1、2パンチ」には、さすがに打ちのめされた。
いわき信用組合さん(福島県)主催のセミナーで講師を務めるため、
同組合本店近くに宿を取った。
ネットで探して選んだのは、「小名浜シーサイドホテル」。
小名浜は3.11の津波で大被害を受けたエリアだ。
夜遅く、最寄り駅からタクシーに乗り、ホテルに向かった。
「着きましたよ」と、運転手さん。
えっ!? ええっ、ここは、ここって……。
車を降りると、確かに目指すホテルはあった。
だが、ホテルの左隣の店は「モデルクラブ」、向かいは「階楽園」、
右隣は「アイドル」、斜め向かいは「鎌倉御殿」だ。
要は、旧赤線地帯のど真ん中に私は来てしまったのである。
右から左から飛んでくる客引きの声を無視し、
猛ダッシュでフロントに駆け込んだのだが、開けてビックリ玉手箱!
ホテルの中のほうが、ホテルの外よりも極彩色だった。
ホール、フロント、階段、食堂……。およそ目につくところすべてが、
アニメのキャラクターで埋め尽くされている。
無数のフィギュアに包囲され、言葉を失ったことは言うまでもない。
気を取り直し、顔に「おたく」と書いてある従業員に話を聞くと、
「ワンピース」のコレクションが日本有数だそうで、
それが口コミで広がり、最近では全国からマニアが泊まりに来るとか。
そんな彼らと話をしていて思った。ここに泊まりたい人も多いだろうが、
それに負けず劣らず、ここで働きたい人も結構いるのだろうと。
ホテルのオーナーが変わり、「アニメホテル」になってちょうど1年だそうだ。
新規事業は、それを買いたい人の存在が見込めることが要諦だが、
成功を加速させるには、それを提供したい人の確保も重要だと思い知った。
小名浜は今、復興関連の作業員たちの需要で、ホテルの外側が大好況だが、
いずれ衰退することは目に見えている。
次の手を、早めに打つことの大切さも、このホテルから学んだ。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第104号(2016/7/14発行)より一部抜粋して掲載しました。
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