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釜石ママハウス主催・女性就業支援全国展開事業「女性のためのプチ起業セミナー」開催報告





2016年1月26・27日、岩手県釜石市のカリタス釜石で、 特定非営利活動法人 母と子の虹の架け橋 釜石ママハウス主催、釜石市役所・ 釜石商工会議所後援、一般財団法人女性労働協会協力による「女性のためのプチ起業セミナー」が開催された。この事業は、厚生労働省の委託事業であり、中でも岩手・宮城・福島の3県は復興支援事業と位置づけ、女性が自分に自信をもち、前向きな一歩を踏み出すきっかけをつくり、地域の復興、コミュニティの再生、女性の活力ある未来の創造へつなげていくために実地されている。受講者は、子育てと両立できる働き方を考えたい人、趣味や特技を活かして事業を起こしたい人、すでに起業している人、自分の持っている力をもっと生かしたい人などが対象。1日目は入門編、2日目は実践編の2部構成で、NICe増田紀彦代表理事が講師を務めた。




26日の入門編では、参加者それぞれの「自分の強み」をどのような見つけ、磨き、生かして起業するか、ワークをまじえて徹底解明した。そのうえで、先輩女性起業家たちの実例を紹介しながら、それぞれの「強み」がどのように事業へと生かされているのか、いかに少ない資金で展開したか、その過程で練り上げられた知恵や発想法、行動力を具体的に紐解いていった。

27日の実践編では、前日のおさらいからスタート。増田氏は、「敵を知り、己を知れば、百戦殆うからず」ということわざを事業に置き換え、「自分の強み(得意分野)を知ること=己を知ること」と、得意分野を磨き続けることの重要性を念押しした。大人になるとさまざまな経験を積み、情報も入り過ぎて、本来の「自分の強み」がわからなくなってしまったり、仕事などでの経験により「できること」と「強み」が混同してしまったりすることもある。だからこそ、子どもの頃に夢中だったこと、自分が持って生まれたもの、「自分の強み」は何かを今一度明確にし、己を知り起業に生かすことが大切だと説いた。

では「敵を知る」とはどういうことか。参加者に配布されていたお菓子を例に、「これは誰に売っているのでしょうか」とお題を出し、全員で話し合った。増田氏は、誰に売るのかを明確にすることが何よりも重要だと語り、誰に売るのかを明確にすること=顧客像を細分化していくことで、商品化する際のネーミング、パッケージ、価格、表示、販売先、陳列場所、販売方法、さらに営業時間帯、支払い方法、運営体制など、すべてが計画しやすくなることをほかの事例も交えて示した。普段は消費者の立場で何気なく購入しているさまざまな商品やサービスが、いかに計画されていたものなのかを参加者も実感し、理解をさらに深めていった。



次に、自身および周辺人物の資源(強み・得意)をできるだけ洗い出し、それら資源を組み合わせて、どのような顧客像向けに新事業が考えられるか、グループワークにより事業アイデア発想法を実践形式で学んだ。また逆に、既存のサービスから提供するものを絞る(減らす)ことにより、顧客像がより明確になり成功した事業例も紹介。いずれも、誰に売るのか、その誰はなぜ喜んで対価を払うのか、「敵を知る」ことの重要性を共有した。「自分の強み」を知る=己を知り、「誰に、何を、どう売るか」この順番で知恵を絞ることが、事業プランの基本だと語った増田氏は、最後に、「2日間、ともに学んだみなさんですから、どうぞ今後も仲間として、ともに知恵を出し合い応援し合っていってください」とエールを贈った。



受講者からは、
「2日間、とても面白かったです。自分がやりたいと思っていたことが、そもそも合っているのか。三つ児の魂を見つけ出すワークで、それを見直すいい機会になりました。学んだことを主人ともシェアして、小さくとも力を合わせてやっていきたいです」

「私は好奇心が強く、あれもこれもと思いがちですが、自分の強みに絞っていこうと考えるきっかけになりました。ありがとうございました」

「在宅で仕事する方法はないかなとヒントを得たくて参加しました。強みの分析をしたことで自分の資源を掘り起こせました。目からウロコです。今後のために参加して良かったです」

「子育てしながら今は仕事をしていますが、その先の働き方の選択肢を模索したいと思っていました。起業セミナーというと、少し自分には敷居が高く、硬いイメージがありましたが、参加したら面白くて学びもじっくりありました。家族にもこのセミナーで学んだことを話して今後に活用していきたいです」

「開催前日にこのセミナーがあると聞いて、私が行ってもいいのかな?と。起業というとやや硬いイメージがあるので。でも、来てみたら楽しくて(笑)。何かしたい思いもあり、主婦でも経済力を持ちたいので、学んだこと、自分の得意なこと、好きなことで商売を考えてやってみたいと思います」

「消費者の立場だと安い価格帯へ惹かれがちですが、売る立場だとプロはプロなりの価格設定に、趣味の人は趣味だからと低めにと、両者から声を聞いていて適正価格とは一体何だろうと考えていました。“誰に”を明確にして細分化すること、販売価格のストライクゾーンが高めも低めもあるのだということ、薄利多売と厚利少売のお話しは目からウロコでした。身の丈に合ったやり方で1つ1つステップアップしていきたいです」



取材・文、撮影/岡部 恵

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