増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」68「インスピレーション」
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道路の上に取り付けられている青い案内標識。あれは結構役に立つ。
ところが最近、記された行き先の表示を見て、仰天したことがあった。
岩手県花巻市内の道路を走行している時のこと。
↑直進 花巻空港
→右折 新花巻駅
←左折 イギリス海岸
我が目を疑った。なぜ、内陸の花巻市に海岸があるのか?
というかイギリスってなんだ? いわゆるひとつのイングランドなのか?
私は、知らないことに関しては、とことん無知である。
「禅」も知らなければ(詳細は前号参照)、宮沢賢治もとんとわからない。
聞けばイギリス海岸とは、北上川と猿ヶ石川の合流点あたりのことで、
岩が露出する景観がドーバー海峡に面した白亜海岸に似ていると、
宮沢賢治が名付けたそうだ。賢治の短編小説の題名にも、それはあるらしい。
そう言えば10年ほど前、
取材した花巻市の起業家を、この「海岸」で撮影したことがあった。
「花巻らしい場所」ということで選んでもらったロケ地だったが、
草木のまばらな河原は、ただただ寒々しい風景という記憶しかない。
賢治と私の、このイマジネーションの違いは何だ?
感性の差か? それもある。知識の差か? それもある。
だがもっと決定的に違うことがあると思った。愛の差だ。
花巻や岩手という土地への思い入れの差に違いない。
同じものを見ても、愛があれば美しく見えるし、なければそうは見えない。
何事もそうだと思う。
創意が発揚するとき、工夫が進化するとき、熟慮が奏功するとき、
計画が具体化するとき、連携が深化するとき、そこには必ず愛がある。
インスピレーションの源泉は、愛である。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
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へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第68号(2015/1/14発行)より一部抜粋して掲載しました。
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