NICeプロデュース ふくしま“食”プロジェクト ABE農園の取り組み 情報共有ミーティング報告
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2015年1月30日(金)、「NICeプロデュース ふくしま“食”プロジェクト」の会合のため、福島県福島市を訪問した。このプロジェクトは、組織や担当地域枠の異なりを越えて、連携による新たな6次化商品開発を目指した活動だ。NICe増田紀彦代表理事が2014年6月から、福島県農林水産部が実施する「福島県6次化事業体サポート事業」のコーディネーター職に就任し、また同部が実施する「福島県地域6次化イノベーター事業」のビジネスプランナーにも就任。同県各地に配置されている支援員らとともに、生産者や食品メーカー、食品加工会社のもとへ頻繁に赴き、福島県の6次化事業発展と、県内の農林水産業復興に取り組んでいる。その取り組みを通じて出合った農作物や加工品と、これまでNICeの活動や交流を通じて育んできた資源を組み合わせ、つながり力の連携により新製品をつくり出そうという取り組みが、この「NICeプロデュース ふくしま“食”プロジェクト」だ。
昨年9月から始動し(※参考 開催レポート下記)、その後、新製品の開発だけにとどまらず、情報交換、ノウハウや素材提供、知恵の共有などにより、枠や組織を超えた連携の輪がさらに広がっている。
今回もその一環として、福島市郊外で果樹農園を営むABE農園
http://www.abe-fruit.com/ 代表・阿部秀徳氏の事務所へ、NICe増田紀彦代表理事、福島県中小企業団体中央会 6次化支援員土田晃司氏、日本貿易振興機構(JETRO) 福島貿易情報センター 所長代理・辻本朋美氏らで訪問した。
冒頭、会の目的と経緯について、6次化支援員の土田氏から説明があった。創業55年のABE農園は、福島県から「エコファーマー」の認定を受け、あかつき、黄貴妃など3種の桃、秋映、シナノスイート、サンふじなど9種の林檎、ネクタリンを栽培し販売しているほか、オリジナルのドライフルーツやジュースなどの6次化商品にも取り組んでいる。その阿部氏から、海外輸出の可能性について相談を受け、増田代表とJETROに連絡し、海外への輸出状況や現状について情報を共有するためにこの会合が開かれたのだ。
続いて、JETROの辻本氏から、JETROについて説明があり、福島県の農産物輸出状況、海外への輸出対応商社、各国内の物流システム、現地の小売り状況について詳細に解説。地域ごとはもちろん各国の状況は異なるため、JETROの現地職員から得た実情報告も交えて語られた。中には阻害要因も多々あり、生産者が商社を通じて輸出を行うとしても、貿易に関する基本的知識は必要だとのアドバイスも。そのための講座やセミナー(座学および実務見学)はJETRO主催で行われているほか、展示会や商談会、個別相談や情報提供など、ビジネス機会の創出促進のための幅広いサポート&サービスを提供しているので、大いに活用してほしいとのこと。
http://www.jetro.go.jp/support_services/
増田氏からは、独自のネットワークで入手した貿易情報や事例、連携の可能性としての具体的な企業名も紹介された。また、ほかの農産物とは違い、生産システム自体を輸出できない果樹のメリットについても言及。さまざまな阻害要因があるため海外進出をあきらめる人が多い、ということは逆に言えば、取り組めばチャンスである。準備期間も知識習得も要するが、腰を据えて取り組む覚悟で臨んでほしいと激励した。
これらを受けて阿部氏は、「海外進出するためには準備に3年くらいはかかると思っていました。果樹は、実がなるまでに最低でも3年はかかります。その間に準備ができます」と意欲を見せた。
今後も情報交換を継続し、あらゆる分野で連携していくことを確認し、3時間に及ぶ会合は終了した。
※参考レポート
第1回会議報告
http://www.nice.or.jp/archives/24457
マコモ田 視察報告
http://www.nice.or.jp/archives/26105
NICeつながり祭り2014 第2部 頭脳交換会
http://www.nice.or.jp/archives/26311
●開催予定 2015年3月14日(土)【東北応援スペシャル】
食ビジネス 7組連続プレゼン&みんなで大討論 NICe頭脳交換会 in 福島
詳細&参加申込みはこちら http://www.nice.or.jp/archives/26062
取材・文・撮影/岡部 恵