増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」41「育てない経営」
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「スタッフ教育には手を焼く」
数カ月前、賛助会員の「なみへい」オーナー、川野真理子さんが、
珍しく自らの苦労について口にした。
飲食店業を営む以上、キッチンやホールのスタッフは必須だ。
ただ、その人たちのすべてに経営方針を理解させ、
生産性を上げさせようとすれば、かなり大変な仕事になるのだろう。
そこで川野さんは考えたそうだ。「育てない経営」を目指そうと。
苦心の日々から生まれた「育てない経営」という言葉に、私は心打たれた。
ある種の呪縛から開放されていくような、清々しい感触だ。
だが、何がどういいのか、論理的に説明することはできなかった。
経営者は人を育てるものという既成概念が、私の中に残っていたからだ。
それから時間がたった。
最近私は、会場を移しながら、
5日間で6回のセミナーをこなす荒技をやってのけた。
あらためて、人に物事を伝えることが好きな人間なのだと自覚した。
そんな私にも、当然、「初めての講義」があった。もうずいぶん昔の話だが、
その場をお膳立てしてくれたのが、実は川野さんだったのだ。
「人の話ばかり聞いてないで、人に話をしなさいよ」と。
私だけでなく、川野さんに見いだされて世に出た人は、少なくない。
川野さんは、人の素養に気づき、場を与え、伸びていくのを見て喜ぶ人だ。
わかった!
「育てない経営」とは、「場を与える経営」という意味ではないだろうか。
そう考えると納得がいく。
場を与えられて踊らない人を、無理やり踊らせる(育てる)必要はない。
人を見いだせる人。
人を信じられる人。
人を育てられる人。
そのどれか一つに該当するのなら、その人は経営者として合格だと思う。
できない部分は、できる人にやってもらえばいいだけの話だ。
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増田紀彦NICe代表理事が、
毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)にお送りしている
【NICe会員限定レター/「ふ〜ん なるほどねえ」スモールマガジン!】
増田通信・第41号(2013/12/09発行)より、抜粋してお届けしました。
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