第7回「営業白熱カフェ!」レポート
第7回「営業白熱カフェ!」レポート
自社の“強み”を明確にすることが
ビジネスの出発点!
では、鮮明化するための手法とは?
2011年5月11日(水)、第7回「営業白熱カフェ!」が東京神田で開催された。今回は、「自社商品・サービスの強みの鮮明化」がテーマ。NICe内外から5名が参加し、主宰者であり営業改革コンサルタントの
鬼頭秀彰氏から講義を受けた後、熱いディスカッションが行われた。
「営業白熱カフェ!」
NICeコミュニティ
■勉強会の内容
講義テーマ
「『スゴイ!』と言わせてこそ。自社商品・サービスの強みの鮮明化」
今回は事前に希望者を募り、この場で自社商品・サービスについてのプレゼンをしてもらい、その内容について全員で“ツッコミ”を入れることで、“強み”をブラッシュアップさせるという実践的な内容となった。どんな結果が得られたのか気になるところだが、まずはプレゼンをしたメンバーの感想から紹介しておこう。
大村美樹子氏
「皆さまのツッコミのおかげで、自分には見えなかった点がはっきりし、想像以上の収穫を持ち帰らせていただきました」
中野啓子氏
「自分の方向性が具体的に見えてきました! 今回のプログラムはブレストのようでよかったです」
このプレゼンの前に行われたのが、鬼頭氏による“強み”についての講義。“強み”とは何か、なぜ必要なのかを実例を交えて学んでいった。
●なぜ“強み”を鮮明化しなければならないのか?
営業改革コンサルタントの鬼頭氏が、クライアントと最初に取り組むのが、この“強み”の鮮明化だ。なぜそれが最初に必要なのか。
自社の“強み”がよくわかっていないと、何を打ち出して勝負すればよいかがわからないことになり、ターゲットの芯をとらえるアプローチができない。「思ったような反応が得られない」ということは、受注ができない、受注できても付加価値が取れない、事業が成長しないということになる。
“強み”を明確にせずに始めると、このような悪循環に陥り、成果を出すことはきわめて難しくなってしまう。だから事業の出発点として、“強み”の鮮明化が必須だということだ。
さらにその“強み”とは、他社と比較して、圧倒的に鮮明化された違いであるべきで、それはすなわち、顧客から「すごい!」「エクセレント!」と思わず口にしてもらえるもの。「すごい!」と顧客から言われるかどうか、これが“強み”のリトマス試験紙になる。
そして鬼頭氏から“強み”を鮮明化させ、成果をあげた事例も紹介された。たとえば、地場の小さな工務店が特定地域では大手に負けない競争力を発揮できるようになった例、古くからある技術に日の目を当てて受注を増やした例などについて、実際に制作した営業ツールを回覧しながら説明が行われた。
●“強み”を鮮明化するための手法とは?
では自社の強みを鮮明化するには、どうすればよいのだろう? そのための方法は以下の3つだという。
1.自社内(自分で)での鮮明化
強み出しをするためのワークシートも配布された。今回はプレゼンに時間をより多く使うためこのワークはしなかったが、先ほどのコンサルティング事例でも、このシートを使って強み出しをしたとのことだ。
2.顧客に直接聞く
実際に取引して下さっている顧客には、何らかの“理由”がある。それを聞き出すことは、極めて重要なことだ。ただし、実際に顧客に聞くのが難しいという場合もある。鬼頭氏はこれまでコンサルティングの一環として、代理で顧客にヒヤリングを行い、強みを引き出すことをやってきたとのこと。その調査事例についても参加者へサンプルが回覧された。
3.第三者に聞く
これが今回の「営業白熱カフェ!」で実践するやり方だ。実は、第三者からの指摘をきちんと受けられる機会はなかなかないのが実情だ。第三者に聞くという機会を設けて、客観的・建設的な意見を出し合うことは、“強み”を鮮明化するには極めて有効な手法といえる。
●参加者のプレゼン&ディスカッション
さて講義のあと、いよいよ今回のメインテーマである参加者によるプレゼンが実施された。2名が立候補し、それぞれのテーマについて各40分ほど、参加者全員で意見交換を行った。
まず、最初のプレゼンターは、
株式会社アイビー・リレーションズ 代表
大村美樹子氏。
クレーム対応研修のコンセプトと研修メニューについて、プレゼンした。
大村氏はクレーム対応の専門家で、プレゼン内容はさすがにプロとしての見識が詰まっており、社会的な意義も大きい。ただし“強み”を鮮明化するという観点では、まずは大村氏がパソコンメーカーで長年にわたる顧客対応のキャリアがあり、その実績をもっと打ち出したほうが良いとの意見が出された。我々もパソコンユーザーの立場で考えてみると、メーカーには様々なクレームが舞い込み、その対応はかなり大変であろうことは想像に難くない。その現場を長年にわたり切り盛りしてきた実績は、他業界でも有効だろうし、説得力を増す。
またクレーム対応は、ストレスが多い仕事であり、うつなどの精神疾患の予防、無用な早期退職を防ぐことも重要。大村氏は産業カウンセラーの資格も取得している。この仕事に携わる方々のお役に立とうとするその姿勢、つまり「誰が、何のために」の部分も明確に打ち出すことも、さらに強みを鮮明にするのに役立つと思われた。
この他にも、ターゲットの絞り込み方や、そのターゲットの関心を惹き付ける事例の示し方など貴重な意見が交わされた。
次のプレゼンターは、
株式会社ビューティラボ 代表
中野啓子氏。
中野氏は、化粧品・健康食品などの美容事業専門経営コンサルタント。プレゼンは、自社コンサルティングメニュー全般構成についてだ。
すでに実績は十分だが、“強み”については、現在「商品企画から販促企画、広報、広告、営業企画、販売後の顧客サービスまでトータルサポート」できるという幅の広さが、むしろ “強み”を際立たせていない可能性があるのではないかという観点で討議を行った。
参加者からは、明確に美容事業とターゲットを絞った中で、「全てを任せることができる」ことに対し、「散漫な印象は受けないし、それはなかなか他社には真似ができないスゴイことではないか」という意見が。また一方で、「あえて我慢をして、メニューを絞ることも必要だ」という示唆に富んだ意見も。確かに重要な大項目と、ひとつ階層を落としたほうが良いと思われるものが並列になっている部分もみられたので、そうした再整理という視点でもさらに意見が交わされた。

▲今回のスイーツは、スイーツ激戦区でもある、鬼頭氏地元の横浜市青葉区の人気店
「アトリ」のロールケーキと焼き菓子をセレクト。BGMはこれまでと趣を変え、UKのTECHNOユニットAutechre(アウテカ)

▲写真右から、大村美樹子氏、中野啓子氏、石田恵海氏、浅野正弘氏
●主宰・講師の鬼頭秀彰氏より一言
「討議内容に関して、あまりレポートに書き込むわけにもいかないので、内容が伝わりにくかったかもしれませんが、活発に意見が交わされ、それぞれ40分の持ち時間があっという間に過ぎてしまいました。また自分と違うビジネスについて一緒に考えることでも、とても大事な気づきが得られます。私もたくさん勉強させて頂きました。ちなみに今回のように5名程度でじっくりとやれると参加者全員にとって、とても意義のある会合になると思います。この“強みの鮮明化”の企画はまた改めて実施したいと思います」
取材・文、撮影/
鬼頭秀彰氏