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発揮しようぜ! つながり力。熱くしようぜ! 新宿<レポート>







2013年6月22日(土)、東京・田町の「女性就業支援センター」で、「発揮しようぜ! つながり力。熱くしようぜ! 新宿。〜8月11日開催の『新宿スマイル』を、企業連携と復興支援の突破口にするためには? 〜」と題し、NICe×志成会による頭脳バトル第4弾が開催された。

『新宿スマイル』とは、新宿を舞台に“笑顔”の輪を広げ、街の魅力の再発見と共に東日本大震災の被災地を応援しようと、昨年2012年8月18・19日に公益財団法人東京青年会議所新宿区委員会が主催した一大フェスティバル。新宿東口にさまざまなライブショーやキャラクターショー、屋台祭、イベントなどを集約し、のべ50万人の来場者を動員。その収益から福島県南相馬市の子どもたちへ遊具を寄贈した。公共性のあるイベントであり社会的な意義があると、警察、参加者、新宿区、地域団体からも高い評価を得た。

そのフェスティバルが、今年も8月11日(日)に新宿東口のエリアをさらに拡大して開催される。実行委員長は、これまでNICeと数回に渡り勉強会を共催してきた『志成会』のメンバーでもある森口つかさ氏。そして『志成会』代表の古屋文隆氏もまた、実行委員会メンバーでもある(志成会とは、人のため国のために企業経営する同志の会で、世界を視野に、激動していく世の中を照らす“志を成す”ことを理念に、2005年から活動している経営者・後継者の会)。

さらに、今回の頭脳バトル開催の約1週間前には、この『新宿スマイル』に、NICeがブースを出店することも決定し、3つのブースに岩手県・宮城県・福島県の郷土料理と特産品販売の屋台を登場させる計画となった。

そこで今回の頭脳バトルでは、前半に、『新宿スマイル2013』実行委員長・森口氏、『志成会』代表・古屋氏、NICe増田代表によるパネルディスカッションが行われ、後半では、参加者全員で知恵と情報を交換し、『新宿スマイル2013』そのものとNICeブースでの取り組みについてアイデアを出し合う頭脳バトルが行われた。

まずは『新宿スマイル2013』実行委員長の森口氏から、昨年のイベント実績、東京青年会議所新宿区委員会の活動について、そして『新宿スマイル2013』の概要説明が行われた。




▲司会進行はNICe会員であり志成会会員でもある鬼頭秀彰氏。開会のあいさつでアメリカのロックバンドVan Halenの来日コンサートの話題に触れ、ひとり一人の力は小さくても、つながれば、世界につながる可能性があるのだと述べた



▲『新宿スマイル2013』実行委員長を務める森口つかさ氏。所属している東京青年会議所 新宿区委員会は、25歳から40歳の経営者・後継者など50名からなり、日頃はさまざまな地域貢献活動を行っている。青年会議所そのものは世界最大のボランティア活動団体で、OBを含めると250万人を超えるという





『新宿スマイル2013』概要

【開催日時】8月11日(日)11:00〜20:00(予定)

【会場】新宿駅前ステーション広場、
    MOA4番街通り、
    新宿駅東口駅前広場 の3会場で同時開催

【テーマ】
1.笑顔をつくる
キッズチャレンジ、キッズファッションショー、フラッシュモブなどの文化・芸術エンターテインメントを発信し、ゆめ。希望・笑顔溢れる地域の将来を示す。

2.笑顔をまもる
防災防犯を周知し、自動共助公助の充実を図る。安全安心の街づくりを推進。防災、防犯・感染症予防、新宿エリアの地域問題への取り組みを紹介。

3.笑顔をひろげる
ブース展示やパネルディスカッション、起震車での体験、屋台&物産販売、世界のコミュニケーションアート『MERRY PROJECT』、花火と笑顔のコラボレーション『LIGHT UP NIPPON』、そしてNICeをはじめとる各団体との連携により、新宿から笑顔を発信する。

【ビジョン】
新宿区がにぎわいとやすらぎが共存し、
調和した笑顔溢れる魅力ある街として
将来にわたり発展していく。

【主催(共催)】
公益財団法人東京青年会議所 新宿区委員会
新宿区
新宿商店街振興組合(新宿東口・新宿大通・新宿駅前)
MERRY PROJECT
【運営】新宿スマイル2013実行委員会








森口氏は概要説明の最後に、「通常では使うことができないエリアであり、発信力も広告価値の高い場所で発信できるメリットは大きい。通行量の多く高いPR効果が見込める場でもある。社会的な意義と公共性のあるこのイベントを一緒に創り上げてほしい」と語った。


●パネルディスカッション



続いて、森口氏、古屋氏、NICe増田代表の3名によるパネルディスカッションが行われた。



▲志成会・代表 古屋文隆氏 、 NICe増田紀彦代表理事


鬼頭氏:都市と地方を結ぶというと、上野駅や東京駅のように都市機能としてのイメージがあるが、この『新宿スマイル2013』は、これを機会に都市と地方との関わり方が大きなテーマだと思う。それぞれの思いについてうかがいたい。

森口氏:新宿駅は1日の利用客数が340万人、世界一でギネスにも掲載されている。それなのに、朝、下を向いて歩いている人が多い。笑顔溢れる街にしていこうという思いと、東北復興を願い、昨年初開催された。今年は2年目となり、関係団体も協力団体も増えている。新宿区に自分も暮らしているが、「新宿に住めるところがあるのか?」と驚かれることも多い。新宿御苑や明治神宮などの緑もあり、住宅街もあるが知られておらず、イメージが宜しくないと感じている。また23区内で子どもの数が一番少ないのが新宿区。新宿区委員会では子どもたちのための活動にも注力している。今回の『新宿スマイル2013』でもキッズ関連のコンテンツを計画している。新宿を笑顔に、東北を、日本を、世界を笑顔に、その発信になればと思っている。

古屋氏:そもそもの動機は、3.11直後から自分にできることは何かという思い。あらゆる会合がキャンセルになり、自分のお客さんのお店も客が減り、毎晩いろいろな店で食事したり、相馬へ物資を送ったりしていた。震災1週間後に仲間と集まって何かしようと声を上げたり、新宿駅前で募金活動もしたが、何も力になれていないもどかしさを抱いている。実際に継続的な支援活動をしている方々を招き、昨年10月には志成会主催・NICe協力により、東日本大震災復興支援イベント「〜新しい街、コミュニティーの創造〜」を開催した(レポートhttp://www.nice.or.jp/archives/13727)。何か協力したいという純粋な思い、風化を止めたい、という思いを持ち続けている。いくばくかの費用と仲間の力を借りて、被災地のお役に立とうという思いを形にしたい。今日この場に集まってくれたみなさんと知恵を出し合い、歴史の証人になっていただき、さらに多くの協力者を巻き込んで8月11日19時のフィナーレで、その思いが東北へ届くようお願いしたい。




増田代表:今回のイベントに「NICeの力を」と声をかけてくれたのは古屋さんだ。『新宿スマイル2013』のイベント全体は復興支援を目的にしているわけではないが、笑顔を広げるというテーマに共感する。よその地域が悲しい顔をしていて、新宿だけが笑っていればいいのではないし、世界へつながる新宿だからこそ笑顔を広げられると感じる。協力要請に対して、実行委員会には3つブースが欲しいと申し出た。岩手、宮城、福島の3ブースを出したいと。結果、出店経費をNICeと志成会で持つことにし、3ブースを確保した。小さなスペースでの取り組みだが、物品を販売して収益を上げること以上に、被災地のことを忘れないでもらうための声を上げる取り組みだと思っている。3県の仲間や関係者に呼びかけ、各県から出店してもらおうと考えている。震災から2年3カ月。被災地は我慢の限界に達しており、非常に危ない時期だということを知ってほしい。

ちょうど今週、岩手県沿岸部に3日間滞在し、現地の産業・雇用・生活面などの問題をヒアリングして来た。非常に厳しい。3年経てば瓦礫処理などの作業も終わり、仕事が激減する。展望がない。直接的被害の後に生じた大変化の中にいる。より大変な状況にあることはまだまだ知られていない。それを訴える場にできると思い、微力ながらもNICe東北支援活動の新年度第一弾として位置づけ、NICeのこの夏一番の取り組みにしたい。

実行委員会からは郷土料理を出してほしいと要望されている。だが、電気もないガスもない。真夏の時期なので、氷を買って来ては冷やすようなことも必要で、多くのサポートスタッフを招集せねばならない。ひとりでも多くの仲間に協力してもらい、出会う場として声を発していきたい。NICeの協力目的は、震災を忘れないで、どころか、むしろ今からが大変なのだいうことを共有してもらうこと。そして、各県のみなさんとコミュニケーションしてもらうことを考えたい。来場者の中には被災地へ行ったことがない方も多いと思う。NICeブースの役割のひとつに、ここで出会い、少しでも知り合い、東北へ出かけて行くアクションを促すきっかけになればとの思いもある。



古屋氏:ステーションスクエアのステージではいくつかのディスカッション、トークなども計画している。そこに3県のみなさんと増田さんにも登壇してもらいたい。



▲NICeメンバーであり、岩手もりおか復興ステーション所長を務めている北田耕嗣氏。「岩手を知っていただくことを活動目的に、昨年10月東京に岩手もりおか復興ステーションを設置した。都市との恊働で地域づくりできたらと考え、さまざま取り組みをしている。震災の被害は甚大だったが、元気で頑張っていることも伝え、最終的には岩手へ足を運んでもらいたい。そのためにもコミュニケーションしてもらえるような活動を展開していきたいと考えている」


古屋氏:さまざまなご縁に声をかけ、協力を仰いでいる。集英社に『新宿スマイル2013』の話をした後で、『ジョジョの奇妙な冒険』の特別映像をアルタビジョンで上映することになり、その情報をHPに出しただけで全国から3000人が集まった。新宿がインパクトあるプロジェクトの場になる手応えを改めて感じた。3カ所をひとつの劇場として、一緒に立ち上がりましょうというフィナーレにしたい。そして単年度で終わるのはなく、今後も継続するイベントにしたい。このイベントを続けることによって経済を回していけるようなものにしたい。



増田代表:みなさんと被災地の背景をぜひ共有しておきたい。元には戻れないということを。戦後の日本が戦前とまったく変わったように、被災地の産業や生活は変わらざるを得ない状況にある。現在、被災地の有効求人倍率が高いが、その内情には数字のからくりがある(会場で解説。中略)。外から見れば仕事があるように見え、復興景気のように報道されているが、実情は違う。地殻変動的に産業構造が大きく変わっている。被災地だけの問題ではなく日本の問題だ。NICeブースを出店することで、東北の問題を一緒に考えるきっかけにしてほしいし、新たな課題が次々と今後ますます発生することを共有し、共に応援していこうと呼びかけたい。

森口氏:復興をメインにはしていないが、それぞれの思いを発信できるプラットホームになればと思う。






●頭脳交換会

3グループに分かれ、企業連携と復興支援の突破口にするためには? と題し、『新宿スマイル』とNICeブースでできること、今後につなげていくことについて約60分間アイデアを出し合った。







発表

Aグループ

・3ブースの使い方について話し合った。当初は、1県1ブースを想定していたが、競うものではないし、効率も宜しくない。そこで、県ごとのブースではなく、各県からの人との触れ合いを目的に、飲食店ブース、物産ブース、地酒ブースの3ブースとする。
・飲食店ブースでは、例えば○時からは福島の浪江焼きそば、○時から岩手のじゃじゃ麺、○時から宮城の石巻焼きそば、そして3県ミックスの特別メニューなど、時間別に郷土料理を提供する。
・店舗前でイベントをする。
たとえば、特産品を買ってもらっても食べ方がわからないことが多いので、その食材を生かした料理教室。都市に暮らしている出身者も多いので方言も喜ばれるだろうとの意見から、方言教室やクイズ大会。東北と言えば民謡、民謡による音楽演出。また、岩手県プレゼンツくるみ割り大会というように、3県の食材を使った大会コーナーも設ける。
・銘酒も多いので、利き酒大会。チケット販売で3県+1種を飲めるなどすれば喜ばれるし、その場で購入以外にも、1升便は後日配送できるようなしくみにする。利き酒は事前チケット販売も可能では。
・情報の行き来が必要だと思うので、各県の特産品を販売した後、購入者の声を生産者へフィードバックする。また、後日も購入できる、付き合いが続くように、直販できる仕組みにする。


Bグループ

・このプロジェクトの意図と目的をわかりやすく1枚のチラシにして配布してはどうか、とのことでチラシについて話し合った。東北支援ではなく一緒につくっていこうという段階にあると思うので、一体化できるようなものに。
・表面は、この日にどこで何がいつ楽しめるかをわかりやすく。裏面は意義や実績などを記す。周知して人を集めるだけではなく、帰宅後に、後でもう一度読んでもらえるようにする。
・チラシをスタンプラリーにする。3カ所でスタンプを完了し、そのチラシを手にもって写真を撮り、応援メッセージと共に随時Webサイトにupしていく。


Cグループ

・来場者に3県を知ってもらい、一緒に未来をつくっていく、考えるきっかけにしてほしいとの思いから話し合った。
・ジオラマ的な3県の白地図を置き、ミニュチュアの復興体験。来場者の笑顔の写真や絵、メッセージなどで白地図をコラージュしてフィナーレタイムに完成させる。
・地元ならではの食べ方、ノウハウ、知恵を提供する。6次化のヒントを募る。
・販売する特産品の商品一覧チラシを配布し、イベント後の購入方法も記載しておく。モールのようなWebサイトも可能では。



最後にパネリストの3名から。増田氏は、「わくわくしてきました。アイデアが重なっていくのがいい。当日はぜひ大勢の方に来ていただき、触れ合っていただき、この後へとつながるようにしていきたい」。古屋氏は、「関わる人が笑顔に、そして続いていくプロジェクトになるヒントをたくさんいただいた。感謝です」。そして実行委員長の森口氏は、「つながって、一緒に頑張りましょうと言われてとても心強い。笑顔が続いていくイベントにしたい。よろしくお願いします」と述べ、8月11日への意気込みを語り閉会した。



NICe事務局より
今回の頭脳バトルで出たアイデアを基に、NICeブースは新宿東口ピラミッド広場(ルミネエストとヨドバシカメラの間)に出店します。ぜひ8月11日(日)NICeブースに遊びにいらしてください。そして、岩手・宮城・福島のみなさんと、応援に来ているNICe&志成会のメンバーと触れ合ってみてください。美味しいもの、楽しいものを用意してお待ちしています! 詳細はまたNICeサイトへアップしていきます。お楽しみに。


取材・文、撮影/岡部 恵

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