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第17回 NICe全国定例会 in 千葉 レポート(全編)







2013年3月2日(土)、「地域格差から相乗効果を生み出す」を大テーマに第17回NICe全国定例会in千葉が開催された。NICe全国定例会とは、地域や業種や世代の異なりを超え、異なるからこその視点、発想、情報を交換し合い、共に学び合うイベント型の学習交流会のこと。今回のプログラムは、増田紀彦代表理事の基調講演、参加者全員の頭脳と頭脳をかけあわせ、事業プランをブラッシュアップするNICe頭脳交換会を2テーマで実施。参加者は地元千葉県を中心に、埼玉県、東京都、神奈川県、福井県から27名が結集した。


■オープニング



第17回NICe全国定例会in千葉実行委員会・副委員長の飯田真一氏の司会によりスタート。NICe全国活動推進委員会・委員長の小林京子NICe理事は、「NICe全国定例会はこれまで毎回100名近い方に来ていただいていますが、今回は記録的な数字です。だからこそ、少人数ならではの濃い会にしたいと思います」と挨拶。また実行委員長の長谷川豪氏は、「今日の成果は、第3者へ届きうると聞いています。思い切り楽しみ、交わり合ってまいりましょう!」と述べ、開会を宣言した。


▲司会・飯田真一氏、NICe全国活動推進委員会・委員長 小林京子理事、第17回NICe全国定例会in千葉 実行委員長・長谷川豪氏


■第1部 基調講演



「NICeが目指す“地域社会の未来”とは? 〜つながり力は、ソーシャル・キャピタルの中核を担う〜」をテーマに、一般社団法人起業支援ネットワークNICe増田紀彦代表理事による基調講演が行われた。



増田氏の講演は、勝ち組・負け組の二極化が及ぼす経済への影響からスタートし、社会進化論から見る人間社会の在り方、日本の地域社会の変貌とその原因、ミズーリ号で行われた降伏調印式、戦後復興と高度成長期、オバマ大統領の所信表明演説、日本経済の現状と山積する課題まで多岐に渡り、地方の問題は経済と密接に関係していることをわかりやすく掘り下げた。そして日本に元来あったはずの恊働体意識が薄れ、経済もまた危機的な状況にある今、地方も小さな企業の経営者もどうすればこの不安を解決し、希望のある未来を拓けるのか。そのモデルと実例を挙げ、人間関係を資本にした地方と都市との連携による経済成長の方向性を明確に示した。その中心に位置するのは、つながり力。だが、地方にどのような経済・産業資源があるのか? 地方と都市の連携とは? 人間関係を資本にするとはどういう意味か? NICeの合言葉である『つながり力で日本経済と地域社会の未来を拓く』とは?

この詳細は、こちらのレポートをご覧ください。
「第17回NICe全国定例会 in 千葉」第1部
NICe増田紀彦代表理事による基調講演レポート
http://www.nice.or.jp/archives/15424



■第2部 頭脳交換会Part1



テーマ
「その地域で生活するメリット・デメリットとは?」


ファシリテーター: ホリスティックサポート代表・地域コーディネーター 豊島大輝氏

休憩をはさんで始まった第2部の頭脳交換会パート1。頭脳交換会とは、プレゼンターが事業プランや課題を発表し、参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、他者の意見を聞いてまた新たなアイデアを重ねていき、頭脳と頭脳のバトルで解決策を探っていくNICe流の勉強会のこと。全国各地の勉強会やリアルイベントで実施されているNICeではおなじみの全員参加型ワークだ。今回は、パート1、パート2の2部構成で実施された。

パート1のテーマは、「その地域で生活するメリット・デメリットとは?」。都市も地方も過密地帯もそれぞれに、そこで生活をする、仕事をすることでのメリットとデメリットがある。その差から何かを生み出すエネルギーとしてメリットへと転換できないか? 自分が属する地域の状況を改めて考え、また他者の地域を知ることにより、メリット&デメリットの異なりを互いに活用し、補完し、掛け合わせていけることがあるのでは? 地域格差をさまざまな視点で見つめ直し、新たな可能性を探ろうという企画だ。まず、地域コーディネーターである豊島大輝氏から、地域格差とは何か、それを“落差”にとらえる考え方についてプレゼンテーションが行われた。


プレゼンテーション

豊島氏は自己紹介からプレゼンをスタート。千葉県木更津市在住の豊島氏は、街おこし事業やホテル・旅館の再生、古民家活用など地域の活性化を生業とする地域コーディネーターだ。グリーンツーリズムやエコツーリズム、リトルリートツアーや棚田の企画運営、癒しの宿プロデュースなど、自然と地域に深く関わってきた。そんなこれまでの活動を、写真とともに紹介。そして地域格差の概念を説明した。



一般的な地域格差とは、2種に分類されるという。ひとつは経済的な格差、もうひとつは行政サービスの格差だ。それ以外の格差は、この2つの派生的・複合的なものだという。そして、よく聞く“地域活性化”とは何か、その指標となるGRP域内総生産(GRP=Gross Regional Product)を説明した。これは、GDPの概念を用いて、地域内の生産活動によって生み出される付加価値額を算出したもの。いわばGDPの地域版だ。地域が活性化しているほど高い数値で示される。だが豊島氏によると、このGRPのキーワードでネット検索すると、上位に表示されるのは、TV業界の言葉やギャル・リサーチ・プレス。地域格差は大変だと世間で言われているわりには、まだまだその深刻さは一般的ではないと述べた。

そして都道府県別に、平均所得、行政サービス、病院学校の数などを示した一覧を紹介。続いて、とある不動産業者が作成したチラシを表示し、“暮らしやすさ”指数について疑問を呈した。たとえば公園の数はその指数では高評価だが、必要としているかどうかは個々の生活者によって異なる。病院数も、大規模な総合病院を望む人もいれば、専門の個人医院を望む人もいる。学校の数もしかりだ。必要としてない生活者にとって、その数は意味がない。都道府県別の各データも、不動産のチラシも、どれも数字から見たデータに過ぎず、生活者目線で見ない限り、実際の格差は見えてこないと語った。

では、生活者目線で見た地域とはどのようなものか。豊島氏は、自身のとある1日を写真とともに紹介した。
ある日帰宅すると、玄関に農家さんからと思われる野菜が置いてあったという。その農家さんの飼い猫を豊島氏が日頃可愛がっているお礼だった。ちょうど自身も自宅の畑で大根を採ったばかりだったので、お礼のお礼にと、相手の事務所を訪問。雑談の中から、仕事に有益な情報をもらい、脚立も借りて帰宅したという。その帰途、地域の個人商店に立ち寄り、新商品を試食。そのPRを手伝うことになった。このように、地域では何気ない連鎖が常に起きており、市場を介さない経済、データには表れない数字があり、生活するメリットと仕事上でのメリットが、地方であればあるほど密接につながっていると語った。



その上で、仕事と生活それぞれのメリット・デメリットを分類し、異なる地域のメリットとして見ることはできないかと提案した。つまり地域格差を、別の価値に生み出すという考え方だ。たとえば田舎は、自然豊かだが、農家は減少している。これを都会で見れば、都会は自然がないが、労働力はある。その間をつなぐもの、コーディネーターの役割があれば、双方のメリット・デメリットを補完できるのではないか。先の増田代表の基調講演で示された、広域ネットワーク型恊働体組織でいう“つながり拠点”だ。この後のパート2では、より具体的な事業プランの課題解決に向けて頭脳交換会が行われる。その前哨戦として、コーディネーター目線で、地方と都会のメリットとデメリットを掛け合わせ、異なる地域を重ねて合わせ鏡にして見るワークを実践しようと語り、プレゼンを締めくくった。




グループディスカッション
テーマ「今住んでいる地域のメリット、デメリットは?」


開催地・千葉県にちなんだチーム名『伊勢エビ』『落花生』『菜の花』『ビワ』の4グループに分かれてディスカッションが行われた。
10分後、USTREAMを含む5グループから発表されたメリット・デメリットは以下。




地方の生活・仕事 メリット
・域内産業が安定している
・自然が豊か
・空気が良い
・物価が安い
・大型ショッピング店も多い
・時間がゆったり
・コミュニケーションが濃い(温かい)
・祭事、伝統文化
・道路事情が良い
・海.山の豊かな産物
・交通の便は良くなり東京から人も来るようになった
・指定券を買わなくても特急に乗れる(人が乗っていない)
・雪かき面倒くさいが、雪かきでダイエットができる

地方の生活・仕事 デメリット
・仕事がない
・SOHOオフィスが少なく、あっても割高
・大きな会社が少ない
・出会いがない
・都会に負けている意識
・豪雪、台風など、自然・気候が厳しい
・孤独死
・駅まで遠い、電車の運行本数が少ない
・街が暗い、気持ちも暗くなる
・コミュニケーションが濃い(閉鎖的)
・他地域との多角的、人的交流が生まれにくい

都市の生活・仕事 メリット
・仕事のペースが早く、人に会いやすい
・交通の便がよく、終電が遅くまである
・夜も街が明るい(メリットのようで治安が悪いデメリットにもつながる)
・会社も求人もマーケットも大きい
・生活面でも交通の便がよく、鉄道料金も安い
・飲食店やマッサージ店が多い
・選択肢が広い

都市の生活・仕事 デメリット
・競争が激しい
・交通混雑・渋滞
・待機児童率が高い
・アクセスが良いので逆に残業も多い
・治安が良くない
・家が狭い
・夜が長く、付き合いも面倒
・近所付き合いがわからない
・物価が高い
・コミュニケーションがない
・人が冷たい

意見の中にはデメリットとメリットが表裏一体の項目もあった。
これらを掛け合わせて補完すれば、新たな事業の可能性が広がるのではないか。頭が柔らかくなったところで、パート2の頭脳交換会へ。





■第3部 頭脳交換会Part2



テーマ「松之山(新潟県十日町市)の土地と人を活かしてのまちづくり」
ファシリテーター:小林京子氏
プレゼンテーター:本山実里氏、本山育未氏


ファシリテーターを務める小林氏がふたりを紹介した。ふたりは新潟県十日町市(旧松之山町)出身の姉妹。姉の実里氏は、今春大学院を修了し、十日町市役所に就職が決定している。妹の育未氏は大学生でクロスカントリースキーの選手でもあり、つい先日、インターカレッジと国体で優勝を果たし、今季の最終試合を終えたばかり。NICe史上最年少となるプレゼンテーター、しかも学生でもある姉妹が、なぜ頭脳交換会に登壇するのか、その理由も含めて聴いてほしいと述べた。




プレゼンテーション

最初に姉の実里氏から、登壇した理由とこの頭脳交換会のゴールが述べられた。理由は愛郷の思いに他ならない。松之山のある新潟県十日町市は県内でも有数の豪雪地帯であり、中でも松之山は高低差のある地形と雪の多さから、これまで多くのスキー・陸上選手が育ってきた。彼らの技術と大学OBとしての人脈、夏場のトレーニングにも適した土地、温泉のある宿泊施設、豊かな自然など、これらをつなげて、子どもから高齢者まで、また選手を目指す人から健康づくりを目的とする人までが幅広く集えるような松之山を目指したい。どうすればそのような街づくりができるかのアイデアを求めて登壇した。そして、そのアイデアを、松之山温泉の旅館や飲食店.住民らが立ち上げた旅行会社『松之山温泉合同会社まんま』へ提案し、同時に、同級生や同世代に協力してもらうことをゴールに据えているのだと述べた。



続いて、提案する前提として、次の2点を重視していると条件を示した。ひとつは、社会教育事業やボランティアではなく、継続・発展のためにも営利事業となる提案であること。そして単発的なイベントではなく、地元住民の活躍の場と地域外にもメリットとなるようなコラボにしたい。この前提でアイデアを求むとし、次に松之山の資源と現状を紹介した。

まずはロケーション。地図で見ると“恐竜の形”をした新潟県の長野県寄り、東京方面からは車で約3時間の場所にある。中間山地で、山の中に畑や田んぼ、集落が点在している。高低差が激しいため、小規模の棚田が多く、その農作業の大変さと高齢化から、離農する住民も少なくない。冬は雪が多く、雪圧により空き家が倒壊することもあるという。

日本三大薬湯のひとつ松之山温泉があり、米どころとしても有名だ。まんま=ごはんのことであり、炊きたてのごはんはどこも美味しいが、本当の美味しさは冷えたごはんで差が出る!と、故郷のお米の美味しさを誇らしげに語った。また、米を活用した米粉のおやき(あんぼ)や、餅、おかきなどの加工品、山菜や野草、野菜などの幸も豊富だ。それらを生かした実例として、温泉街の旅館や飲食店が連携し、マクロビオティックのメニューを提供していると紹介した。

ここで、妹の育未氏にバトンタッチ。
松之山は運動が盛んな地域で、自身も小学校低学年からスポーツをする環境が整っていたという。子どもたちを夢中にさせるようなカリキュラムが組まれ、地域の人の応援も熱い。陸上・水泳.スキーの名選手を数多く輩出し、全国大会出場レベルの元選手たちが数多く暮らしている。また住民は年配者だけではなく、姉妹の同級生や同世代も故郷が好きでUターンする者が増えているという。自身も故郷が大好きだが、好きでなければ帰らないと思う、そのパワーを生かして街づくりができるのではないかと述べた。



実里氏から、これらの資源を生かした事業アイデア例が示された。たとえば、大学生の運動部合宿in松之山温泉プランだ。集客誘致は、各大学卒業生の地元出身者が行う。合宿に欲しいものは経験上熟知しているので、学生の要望にも応えやすい。合宿ならば観光客向けの食事とは異なり、また布団敷きや接待も不要で、コストも低く設定できることから、利用者&旅館側にもメリットとなる。また、学生には地元の中高生の部活指導に加わってもらうことで地元へのメリットも生まれ、同時に大学紹介などもでき大学側にもメリットが生まれる。このような内外ともにメリットとなる事業で、スポーツ以外の人も呼ぶようなアイデアを望んでいる。そして何より、故郷の人たち、特にホスピタリティに溢れた元気な60代以上の住民の生きがいになり、同世代が活躍できる場をつくりたいのだと熱い思いを述べて、プレゼンを締めくくった。


質疑応答

小林氏がプレゼン内容をまとめ、まずふたりはこれで事業するのではなく、故郷で積極的に活動している地元の合同会社へ企画提案していく予定であること。パート1で共有した“地方のメリットとデメリット、都市と補完できるもの・生かせるもの”という視点でディスカッションに取り組むことを確認した。



Q:人口と世代比は?
実里氏:世帯数は926、人口は2340人、うち0〜15歳が178人、生産年齢が1111人、老年人口1051人。少子高齢化で、小学校も来年から統合されることに。

Q:合同会社まんまは何人で運営しているか? 平均年齢は?
小林氏:松之山温泉全体で20軒未満。そのうちの8軒くらいがメンバー。40、50代が中心。

Q:旅館の規模は?
実里氏:200、300人の宿泊から、民宿まで、規模はさまざま。

Q:使用していない温泉は? 温泉で何かしたいというのは自由に使えそうなところは?
実里氏:源泉を持っているのが地域外の人ということも。借りるとしたら町営でしょうか。

Q:空き家の民家は?
実里氏:一昨年の長野県北部地震以降、都会の子どもたちの元へ移り住む人が増え、ここ数年で空き家が増えている。

Q:廃校の学校は使えるか? 鉄工所や木工所などは?
実里氏:廃校になる小学校をどう使うかは話題になっています。
廃園になった保育園は地域のコミュニティ施設としてリフォームして使用しています。
増田氏:廃校を使った部品開発のベンチャー企業も誕生しています。




Q:大会で優勝するのは簡単なことではない。どのくらいの競技でどのくらいのレベルか?
育未氏:主に陸上とクロスカントリー、アルペンもいます。知っている範囲では、国体で3位以内の選手が3名、優勝は2名、入賞者はかなりの人数です。

Q:オリンピックは?
育未氏:日本全国でも出場人数が減っている競技なので。出場したとしてもみなさん知っているかどうか。

Q:夏場のクロスカントリーコースは?
育未氏:ローラースキーコースが常設されています。

Q:体育館などの施設は?
実里氏:各小学校と町営があります。
小林氏:使える施設として、改装すれば使える古民家も大きいです。

Q:コンサートホールは?
実里氏:ありませんが、山の上に能舞台があります。

Q:松之山ではなく旧十日町で全日本のレスリングの選手が合宿に来ていますよね?
実里氏:十日町にレスリングの施設があり、全日本の女子の合宿をしています。

Q:送迎バスは?
実里氏:旅館にはあります。最寄り駅は北越急行のまつだい駅。そこから車で約15分です。
上越新幹線の越後湯沢駅からまつだい駅までは約50分。



グループディスカッション&発表

「松之山(新潟県十日町市)の土地と人を活かしてのまちづくり、アクティブに人が集う松之山を目指したい!」
15分後、USTREAMを含む5グループから発表されたアイデアは?





【ビワチーム】



・2つの方向性で考えた。ひとつは外国人向けの古民家活用。
地元にはカール・ベンクスさんというドイツ人建築家が暮らし、古民家再生をしていると聞いた。四国の直島・家プロジェクトのような、街ぐるみのプロジェクトが松之山でできるのではないか。古民家は外国人には人気なので、再生を手伝いたい人、関わりたい人に参加料を払って手伝ってもらう。自分たちが手がけた古民家で、料理やお酒を楽しみ、温泉にもつかれるとなれば、外国人には受けると思う。話題になれば逆輸入的に日本人も訪れるのではないか。
また余裕がある外国人だけはなく、雪を見たことがない新興国の方々を呼ぶのもどうか。日本から海外協力隊が出向いているような地域の人に来てもらう。
・もうひとつの案は、松之山をスポーツでブランド化する。
スポーツ選手を多く輩出している地であり、高低差の激しい地形ということは、子どもの頃から野山を駆け回っていて、鍛えられている。それは運動靴にとっても過酷な状況と言える。これを生かし、シューズメーカーの研究所を誘致する。データ収集には地元の小中学生らが協力できる。


【伊勢エビチーム】



なぜスポーツ選手が多く生まれるのかという投げかけから、食に注目した。子どもの時から食べているものと、自然環境が筋肉トレーニングの場になっていると考えた。米や山菜、豆、発酵もの、豚肉など、動物性と植物性のタンパク質、炭水化物がとてもバランス良く摂取されていると思う。松之山の食べ物でアスリートの身体をつくっていることをアピールし、鍋やプレートなど商品化する。ひ弱な都会の子ども用に、ネット販売はどうか。


【菜の花チーム】



・3つの案が出た。ひとつはスポーツ用品のメーカーと組んで、用品を開発する。スポーツよりももっと過酷な南極探検ツアーのような用品の開発も可能ではないか。
・2つ目は、レンタル彼氏などが今あるので、レンタルじいちゃん、レンタルばぁちゃん。既存のツアーに田舎体験はあるが、単発ではなく、年間契約とする。「今から帰ってもいい?」というように気軽に里帰りできるような関係がいい。故郷がない都会の人、祖父母がいない人に。松之山の高齢者も新しい交流ができるので喜んでもらえるのでは。
・3つ目は、松之山温泉の施設を社員研修で使う。根性がない若者が増えているので、旅館で働かせる、元スポーツ選手たちに根性を叩き直してもらう。


【落花生チーム】



・スポーツと離れた案を3つ。ひとつは、休耕地が多いとのことなので、ハーブを植えてハーブ園にしてはどうか。ハーブは強い植物なので手入れもさほど必要ない。木のつるを冬の間にバスケットを編んで販売もできる。
・2つ目は能舞台の活用。屋外のコンサート場として、全国の親父バンドに使ってもらう。クラシックでもジャズでもロックでもいい。音楽の聖地のようにして活用する。
・3つ目はツリーハウス。都会の人を募り、ログハウスをつくってもらう、それを合宿所にしてスポーツ選手を呼ぶ。


【USTチーム】



・都市部の疲れた若者向けに、その日に自分たちが畑で採った野菜を松之山のお母さんたちに料理の仕方を教わって、自分たちでつくって食べる。
・雪があるので、スノータイヤデビューを松之山でやろうと呼びかける。雪道運転教えます!プラン。
・手入れをしないと使えないような空き家を、大学の建築学科の学生へ、手入れや再生の実践の場として提供する。自分たちでやりましたとPRして合宿などに使ってもらう。


【グループ発表後、フリータイムでのアイデア】



・外国人にも、じいちゃん・ばぁちゃんレンタルは喜ばれるのでは

・言葉が通じない

・通じないことを前提にしてもいいのでは。温かい田舎の良さがより魅力的に伝わる

・逆に、じいちゃん・ばぁちゃんに、外国人をレンタルする
・北越急行とのコラボ、ほくほく線を活用する
・アルビレックス新潟と組む


プレゼンテーターの本山姉妹から一言

「既に似たような活動もありましたが、改めて聞くと、ここがポイントか!と合点しました。レンタルじいちゃん・ばぁちゃんは面白いと思いましたし、関係づくりを視点に考えてみたいと思います。今日はどうもありがとうございました(美里氏)」
「具体的なお金の兼ね合いがわかりませんが、ログハウス合宿、大学のセミナーハウス、スポーツメーカーとのアイデアに興味を持ちました。工夫したら予算も回るかなと思います。ありがとうございました(育未氏)」




増田代表理事の総評

「おつかれさまでした、というよりも、脳みそが温まってきて、まだまだ話し合いたいなぁという気持ちです。パズルのように小さな情報が組み合わさっていきました。こういう知的労働は、仲間同士の集団ならではであり、同じ事前情報を得ながらも各チームから出てくる案がまた違いましたよね。実に面白い。私のグループには中国人の兪さんがいて、彼は『食です!』と最初に言い切りました。そこから発想が広がり、華美な日本食ではなく、源流のような食を提供してはどうかと。短い時間ですがこれだけの頭が集まると、可能性が見えてくるということを改めて実感しました。ぜひ今日出てきたいくつかのアイデアを統合したり、取捨選択したりして、松之山のために日本のために世界のために頑張っていただきたいと思います」




第17回NICe全国定例会 in 千葉・実行委員長 長谷川豪氏から一言

「『このままでは開催が危ぶまれます』。
In千葉は終始動員との戦いでした。事実、実行委員会のメンバーの方々には開催前日まで参加の呼びかけをしていただきました。ただ、この危機感の共有が、実行委員会を実行委員会たらしめた面もあったと、今ならいえます(笑)。
みんなに参加や協力を呼びかけつつ、他方で何日までに何人集まれば開催なの?開催に至らなかった場合はどうなるの?と、別のことも考えないわけにはいかず、いつ相談しようかと悩む日々が続きました。ところが……
枯れない。折れない。腐らない。むしろこの一報から活動量が増えたような気さえします。みんなで盛り上がりました。得難い仲間だ!!
そして、当日。まさかの強風……にもかかわらず、異様な一体感のある、アットホームな全国定例会になりました。図らずも、実行委員長のカラーが出た結果かなと。小規模ながら、テーマに関心のある方や、君津市の方、NICeのメンバーだけれども全国定例会初体験の方、NICe以外の方などにも参加していただき、実行委員長をやって良かった、全国定例会が開催できて良かった、と思っております。これもひとえに、NICe関東や全国定例会実行委員会を中心とした皆さまのおかげと存じます。ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました」

UST配信/横山岳史氏
撮影/前田政昭氏
取材・文、撮影/岡部 恵

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