増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」18 メインとオプションをチェンジせよ!
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旅館と言えば宿泊業だが、
いまどきの宿泊客が好むのは、温泉地などを除けばホテルである。
ましてや東京都内の日本旅館に泊まる人など、滅多にいない。
そこで一計を案じたのが、東京は本郷の鳳明館。
旅館が提供する基本サービス、つまり宿泊、食事、入浴のうち、
大胆にも宿泊をメニューから外してしまったのだ。
残したサービスは食事と入浴。
つまり、鳳明館は入浴サービス付きの飲み屋になったわけだ。
これはもう当然、人気沸騰。私も利用したが、実に楽しい。
既存の経営資源を活用して、セグメントを遠方の宿泊客から
東京周辺の飲食客に変更したことによる、見事な復活劇である。
この事例、セミナーで何度も話しているので、ご記憶の方もいるだろう。
さて旅館を追い落としたほうのホテルだが、こちらも昨今は大変だ。
バブル期のように、お金を落としまくってくれる若者たちもいない。
それなら、「バブル期を再現してしまえばいい」ということで、
全国のシティホテルが最近こぞって開催しているのが、
「ホテルディスコ」である。
大宴会場にミラーボールやお立ち台を用意し、
「ザッツザウェイアハアハ~」なんて懐かしい曲をかけるものだから、
来るわ来るわ中高年。フィーバーするわオジさんオバさん状態である。
さて、旅館は「風呂付き飲み会」、ホテルは「特設ディスコ」と、
仕掛けている内容は異なるが、この両方に共通する魅力がある。
どちらも、遊び疲れたら、そのまま泊まれる施設だということ(笑)。
さしずめ、「宿泊付き飲み屋」「宿泊付きディスコ」といったところだ。
要するに既存の経営資源を生かしながら、
事業の主と副を逆転させることで、新セグメントを獲得した好例である。
みなさんの事業にもメインがあり、
合わせて、それを補完する様々な取り組みがきっとあるはずだ。
それを逆転して考えてみてはどうだろう。
手が届かなかった顧客にリーチできる可能性が出てくるかもしれない。
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増田紀彦NICe代表理事が、
毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)にお送りしている
【NICe会員限定レター/「ふ〜ん なるほどねえ」スモールマガジン!】
増田通信・第18号(2012/12/14発行)より、抜粋してお届けしました。
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