増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」16 相手の携帯から自分の声が聴こえてくる不快感問題
イグノーべル賞をご存じだろうか。
「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」を表彰する制度だ。
1991年の創設以来、賛否両論尽きないイグノーべル賞ではあるが、
実はこの表彰制度、日本人研究者がけっこう得意にしていて、
2007年から6年連続の受賞という、すごい事実がある。
2012年は、栗原一貴さんと塚田浩二さんの両名が「音響学賞」を獲得。
受賞理由は、「自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせることで、
その人の発話を妨害する装置、『スピーチジャマー』の発明」だ。
『スピーチジャマー』は、
指向性マイクと指向性スピーカーを組み合わせた小型の装置。
延々としゃべり続ける人にその装置を向けると、
その人自身の話が、0.2秒を遅れて、その人だけに聴こえる仕組みだ。
そうなると話者の脳は混乱を起し、話ができなくなってしまうとか。
長々と説教する教師や上司にこれを使ったら、さぞや痛快だろう。
残念ながらまだ実用化はされていないが、
このニュースを聞いた時に、ひとつ思い出した。
携帯電話同士で会話している時、なぜか相手の電話から
自分のしゃべった言葉が少し遅れて聞こえてくることがある。
理由は、相手側の携帯の受話音量が最大になっていて、
スピーカーから出た音をマイクが拾ってこちらに伝えてしまう、
という現象によるらしいが、確かにあれが起きると話しづらい。
受賞者が、その現象から開発のヒントを得たのかどうかは不明だが、
そうだとすれば、日常にある「不快」は発明の母だとつくづく思う。
いや、何も発明などというレベルの話ではなくてもいい。
「不快」を解決する方法は、即、新たなビジネスのタネである。
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増田紀彦NICe代表理事が、
毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)にお送りしている
【NICe会員限定レター/「ふ〜ん なるほどねえ」スモールマガジン!】
増田通信・第16号(2012/11/14発行)より、抜粋してお届けしました。
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