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大阪経済法科大学×NICe  レポート


大阪経済法科大学×NICe



「e-ビジネス実践成果発表会 with NICe」 レポート




2011年1月22日(土)、大阪府八尾市の大阪経済法科大学で、「e-ビジネス実践成果発表会 with NICe」が開催された。これは、NICeメンバーであり同校4回生の赤池大樹氏が、自分の大学でNICeイベントを開催したい!と立ち上がり、大学との交渉を重ねて実現した大学×NICeの初コラボレーションイベント。会場となった「e-ビジネス実践」は、経済学部専門教育科目の授業で、この日は集大成となる成果発表会だ。講師の廣本寿夫先生、6名の履修学生、NICeからは大阪府、神奈川県、和歌山県のメンバー3名が出席した。

■オープニング
授業の冒頭にNICeを代表して永山仁氏が、赤池氏とNICeの出会いを述べ、「社会人だから、起業家だから、という上から目線でプランを評価するために参加したのではありません。今日は勉強させていただきに来ました。よろしくお願いします」とあいさつをした。


■成果発表会1



「つながりオークション」
発表者/経済学部経済学科4回生 赤池大樹氏

赤池氏が発表したのは、新感覚のオークションで中小企業や個人事業主を結びつける「つながりオークション」。“良いアイデアはあるが、ノウハウや技術がない”人たちと、“技術やノウハウはあるが、活かしきれていない”人たちを会員制ネットオークションで結び付けるというビジネスプランを提案した。

具体例をこう説明した。たとえば、“服をつくりたいが、その技術・ノウハウがない”というメンバーが、「サンプルの服をつくってほしい。予算は○○○円。期日は20XX年○月○日」と、掲示板に書き込む。それを見た服飾技術のあるメンバー数社が、ダウン方式のオークションに入札をする。Aは、入札者のプロフィール・入札価格・実績・評価などの項目をチェックし、自分のビジネスパートナーを決め、ビジネスマッチングするという仕組み。登録資格は、中小企業、個人経営者、起業準備者も可とするが、いたずらや冷やかし防止のため、敷居を高くする意味で登録料徴収を設けたという。運営側の利益は、登録料と成立時の取引手数料とする。

このアイデアが生まれた背景として、世界11カ国と日本を比較したアントレブレナー意識調査と、日本国内の業種別経営上問題点の公的機関調査データを示し、2つの理由を挙げた。ひとつは、海外主要国と比較した日本人の起業に対するマイナスイメージ(資金リスクの高さ、難しいという印象度)を払拭し、もっと起業しやすい環境にするため。もうひとつは、中小企業の経営難打開のために、新しい販路とパートナーを見つけようとする動きに少しでも貢献できれば、という思いだ。

そして、課題は3点あるとし、1.オークションのシステムおよびサイトの作成、2.資金・パートナー不足、3.様々な業界の人脈形成および参加登録の充実を挙げた。最後に、ただし現時点では事業化の計画段階ではなく、アイデアレベルであると述べ、発表を終えた。

 
▲「つながりオークション」を発表した赤池大樹氏  真剣に聞き入るNICeメンバー


●事業化のためにと意見を求められたNICeメンバーからのコメント

・「中小企業の経営者というのは、独自に優れた技術を持ちながらも日常業務に多忙を極めることが多く、ネットに精通していないケースが多いもの。そのような経営者に対して、ネット代行をサービスに加えてはどうでしょう。あるいは、学生さんがヒアリングをして、中小企業のキラリ光る経営資源、企業が気付いていない魅力を取材等で見つけ出し、その情報を学生さんが得意なネットで発信してマッチングをサポートする。そうすれば成約料収入も運営側に入ってきますよね。中小企業も、日本も、盛り上がるビジネスになると思いました」

・「サービスと労働をつなげるビジネスで、面白いと思いました。登録者増加を図るなら、たとえば、ワンコインの500円で考えられるサービス情報の交換もありだと思います。あるいは自分はこれなら提供できるというサービスを表示して、すべて一覧でチェックできれば、参加者全員が利用者であり提供者にもなれて、より活性化すると思います」

・「現実的にアナログでは行われていることなので、ネット化することの可能性はあると思います。ただ現状としては、先の意見にあったようにIT化に手が回らない、アナログで十分マッチングできているという中小企業の経営者に、いかにIT化を促進できるかにかかってくると思うので、その部分が課題でしょう」


■成果発表会2



「Coopon」
発表者/経済学部経済学科 3回生 今津晃平氏

今津氏が発表したのは、地域情報とクーポンを組み合わせたスマートフォンアプリで「Coopon」。これは、Google mapを用いて、好みのエリアで検索し、利用したい複数の施設・お店の予約とクーポン取得をまとめて提供できるというサービスだ。

たとえば、スポーツ施設や音楽スタジオを予約したい時、エリアから利用したい施設をチェックし、予約とクーポンを取得。その後で同エリアで行きやすい、好みの飲食店情報も事前にチェックし、その店のクーポンも取得。そうすれば、施設を予約する際の手間や面倒が省け、帰りに寄れる店も安心して選んでおける。しかも両方ともクーポンでお得に利用できるというわけだ。さらに、利用人数が多ければそれだけクーポン割引率が上がるという複数のメリットをユーザーに提供できる。

このアイデアが生まれた背景は、自分たちがフットサルコートやテニスコートなどを使う時にもっと便利に予約できないかと、この企画を思いついたと述べた。ユーザーターゲットは、2009年の総務省調べから、スマートフォン所有率が高い20〜40代。

プロモーション方法は、施設が発行するメルマガへの情報掲載、Cooponサイトでの情報提供とメルマガ配信、提携店でのポスター設置とする。

また、他のクーポンサービスとの相違点として、特定の施設限定ではなく、地域での連動型のサービスを提供できること。それにより地域活性型の活動ができること。ユーザーにとっては、エンターテインメントと飲食など、複数の行動予定が組め、クーポンでお得に楽しめること、の3点を挙げた。

最後に、授業の一環として企画した新規事業アイデアのため、実際にアプリやサイトの制作は計画していないが、もし実践するとしたら、課題は、Google mapを使ったアプリの開発、クーポンを発行してくれる協力店の開拓とし、発表を終えた。


●事業化のためにと意見を求められたNICeメンバーからのコメント

・「ネットで店情報を検索する時、広範囲過ぎるのと情報過多で、煩わしいと感じていました。梅田で飲みたいと検索しても、情報が多く、消去法でやっと候補店を見つけて、その住所からマップで確認すると、駅から遠くてNGということも。その点、このサービスは逆の発想で画期的だと思います。出張先では土地勘もないので、ネットで調べるのも大変です。接待する側の場合、なおさら大変(笑)。接待層ならユーザーも富裕層なので運営側のメリットも増すと思います。さらに『そろそろ次のお店へ』などのお知らせ機能、面白い・高級感・リラックスなどのキーワードによるプラン提案なども加えると、さらに喜ばれるのではないでしょうか」

・「テニスコートや運動場など、行政管理の施設は多いので、直に現地へ行かないと予約できないこともありますね。そのような設備の管理者はITに弱いことも多いので、この提案により施設のIT化にもつながり、管理側の行政経費も軽減できるかもしれません。たとえば学生割引設定も加えては? また、地元の施設情報を知らない方も多いので、地域活性化にもつながりそうですね。資金面では地域活性等の助成金を設けている地域をピンポイントでカバーするといいのではないでしょうか」

・「点ではなく線で行動がつながるのが面白い発想だと思いました。たとえばフローチャート方式にして、1次会はこうだけど、2次会で予定していたカラオケの雰囲気じゃないという時に、キーワードで変更提案できるようにしてはどうでしょう。現実として困る、情報が欲しいと思うのは、そういう想定外の時ですから。キーワードでその時々で提案してくれたらよりいいと思います」



■NICeの活動事例紹介【前半】



プレゼンター 株式会社日鐘 代表取締役
一般社団法人起業支援ネットワークNICe 理事 永山 仁氏


にこやかに登壇した永山氏は、まず素晴らしい成果発表会を讃え、自分は学生さんとは単に属性が異なるだけで、NICeというのは異なる属性の多様な集合体であるとNICeの紹介を始めた。SNSのトップ画面を示し、活動目的を説明したうえで、「雇われずに生きる人々や自立的に生きる人々、またそれらを目指す人々」が参加資格であり、経営者、起業家に関わらず、会社員、もちろん学生も登録・利用できると強調した。

次に、自ら管理人を務めるNICeのリアル活動「みんなで関西を盛り上げる」NICeコミュニティ(略して「みん関(みんかん)」)勉強会を紹介。今日この後に、「みん関」が京都で開催されるが、いかに一般的なビジネス交流会と違うかを述べ、NICeの場合は参加者が自由に、「こうしたら面白い!」という目線でブレーンストーミングが盛り上がるのだと説明。個人や自社だけでは限界のあるプランも、当事者意識で発言すると思いつかないようなアイデアが次々に飛び出していくのがNICeの勉強会だと語った。

次に、NICe誕生の経緯を説明した。現在のNICeは一般社団法人だが、もとは経済産業省の「起業支援ネットワーク環境整備事業」として始まったSNSだった。つながりを力に!を合い言葉に、全国各地の起業家、経営者、支援者が集い、様々なつながりが生まれたが、国の事業としての満期を迎えた2010年3月末にSNSは閉鎖。それでも国に頼らず、自分たちで、民間で、「みんなでやろう!」と有志で非営利活動として再び誕生させ、今に至ると述べた。先に紹介した、関西中心のNICeリアル活動「みん関」も、この“みんかん”に掛けたものだと駄洒落で笑いを誘った。

そして、そもそも、なぜ自分がNICeに参加したか、今日この場に登壇するに至ったのか、その背景となる経営者としての話し、NICeとの出合いを語り始めた。


●突然の事業承継、リーマンショック、そしてNICeとの出合い

代表取締役を務める株式会社日鐘は、「カガクでネガイをカナエル会社」のTVコマーシャルでおなじみの、大手化学メーカー・株式会社カネカの協力会社であり、摂津市にあるカネカ大阪工場内で永山氏の祖父が創業した製造業務請負・人材派遣会社だ。現在はそれらの事業意加え、フォークリフト運転技能講習事業・玉掛け技能講習事業、緊急人材育成支援事業も展開している。

3代目として承継したのは7年前の30歳の時。当時は業績も好調だった。「カネカさんに委ねていれば良かった」という。しかし、いわゆるリーマンショック後の影響で、売り上げは激減。経営者として、なんとか社員の雇用を守らねば!と強い危機意識を抱いた。そのために何か新たな気付きを求めていた時、たまたま存在を知ったNICeに登録する。

初めはよくわからなかったが、SNSを見ているうちに、何かこれまで参加した異業種交流会とは違う、書き込みをするうちに人間として魅力的な人が多いと感じるようになったという。そして2009年6月、地元大阪で開催されたNICeのイベントに初めて参加。そこで「雷を打たれたほどの衝撃を受けた」と語った。

それは、NICe チーフプロデューサー増田紀彦氏の基調講演だった。「90分間で体得できる!ビジネス不滅の法則」と題した講演で、企業を継続させるための絶対任務と必要能力とは何か、起業家が常に注意すべき7つの脅威とはどのようなものか、増田氏が実際に出会い、話しを聞いてきた様々なビジネス実例を紹介しながら不滅の法則を説いていった。「全国にすごい起業家がいる、すごいアイデアでビジネスしている人がいる。日本ってすごいな」と何度も鳥肌が立ったという永山氏。ところが話題が、「成長を続けるための4つの選択肢」に及んだ時、さらに大きな衝撃を受けたという。


●知らずに実践していた、成長を続けるための選択肢

その講演で示された4つの選択肢を、プロジェクターに映し出した永山氏は、当時の心境を次のように学生へ語った。

1、従来マーケットで従来商品サービス
2、新規マーケットで従来商品サービス
3、従来マーケットで新規商品サービス
4、新規マーケットで新規商品サービス 


「講演を聴きながら、すぐに自社に当てはめて考えていきました。1のままでは現状と同じ。4もありえない。消去法で2か3だ。どっちだ? その答えは、それぞれのビジネス実例を増田さんが具体的に紹介してくれたことで、ますます明確になっていったのです」

その事例の中から、印象深かったいくつかを紹介した。
「新規マーケットで従来商品サービス」の事例は、福井県のメッキ処理加工業者。従来マーケットは部品メーカーであり本来はBtoB だが、インターネットを活用し、クラシックカーやライダーのマニア心を満たすサービスを展開してBtoCで業績を上げている。同じく、愛知県のボルト加工業者もまた、ボルトを加工した人形の製造販売をネットで展開し、C層に人気を得た。

「従来マーケットで新規商品サービス」の事例は、大阪府の老舗お米屋さん。従来マーケットは時代と共に変化する。増田氏から先に説明があった、「常に注意すべき7つの脅威」のひとつだ。その変化に合わせて商品をお米から介護用品に変え、自社の強みである、腕力、トラック、地域密着の信用と情報網を活かし、成功したという。

このお米屋さんの事例を聞いた時、永山氏は「そうか!」と衝撃受けた。実は、その年の4月から、永山氏の会社ではフォークリフト教習事業を開始していたのだった。仕事道具として当たり前のようにいつもあるフォークリフトやクレーン。製造現場では特別珍しくないが、免許を持っていない層からすれば、運転できる、台数が揃っていることは資源だ! 成長を続けるための選択肢を、自分は知らずに実践していたんだ。増田氏の講演を聞き、その決断が間違っていなかったことを改めて知ることができた。それに気付き、改めて自信を得た永山氏は、さらに事業として力を入れて展開することを決意したのだった。

「その講演以降、私はますますNICeにハマりました(笑)。NICeは、単なるビジネスマッチングの場ではなく、勉強会や懇親会を開いたり、NICeでお互いの人となりを知って、何か一緒に、何か新しいことができないか。すぐに形にならなくても、じっくり熟成していける場なのです」


“一緒に、何か新しいことができないか”。それを永山氏はすでに始動させているという。緊急人材育成就職支援事業として、民間委託で開始された職業訓練、通称・基金訓練と呼ばれている基金訓練事業だ。永山氏はNICeを通じて知り合った6名のメンバーと共同でこの事業を2010年12月から始めている。

「うちはフォークリフト教習事業ができる、そのほかパソコンできる人、マナー講習できる人、デザインもイラストもできる人、そんなNICeのメンバーの得意分野、経営資源を提供して、みんなでやっている事業です。それぞれの資源は異なっていて当たり前。それを掛け合わせて、チームになって市場をつくる、新しい価値をつくる。そういうことをやっているのがNICeです。学生さんでも会社員でも役職業種問わず、参加利用できます。敷居が高くない活動ですので、ぜひご登録ください」と呼びかけ、NICeプレゼンの前半を締めくくった。

 
▲永山氏の講演とNICe全国定例会模擬体験の様子はUSTでも配信。
頭脳交換会のプレゼンターは永山仁氏、ファシリテーターは小林京子氏、書記は黒江政博氏が務めた



■NICeの活動事例紹介【後半】



NICe全国定例会(頭脳交換会)模擬体験

ファシリテーター キャリア開発カウンセラー、プレイバックシアターSOZO座 座長
一般社団法人起業支援ネットワークNICe 理事 小林京子氏


小林氏が加わり、NICeについての質疑応答があった後、後半のプログラムへ。
「NICeには、あらゆる地域、業界、業種、世代のメンバーがいます。またSNSだけでなく、リアルな集まりもあるから盛り上がるんです。SNSのバーチャルと、リアルの集まりで相乗効果がとてもあります。そのリアルとはどんなものかというと、地域ごとの会、クラブ活動、全国定例会という勉強会もあります。ここで実際に皆さんにも、NICe全国定例会の模擬体験をしていただきましょう」。

さっそく2010年7月に東京で開催された「第3回NICe全国定例会」でプレゼンテーターを務めた永山氏がプレゼンを再現してみせた(こちらも参照)。

テーマは、「「ミニ野菜工場で日本を救え!小中学校NICe化計画」事業」だ。このミニ野菜工場プロジェクトとは、長年培った技術力を生かして小型の野菜栽培装置を開発製造し、それらを小・中学校に提供して、理科学習や環境・食料問題の教材にしてもらおうというもの。さらには、地域商店の協力を得て、子どもたちが栽培した成果物を販売し、疑似経営体験によりアントレブレナーシップの育成と、地産地消のサイクル構築を目指している。すでに摂津市教育委員会へ提案し、2011年1月には地元中学校の理科部へ無料貸与。今後は、栽培から経済の仕組みまで網羅した教育カリキュラムの提供、装置提供の有償化、摂津市以外の学校へも広めていきたい方針だ。

課題は、1.工場野菜に対するイメージ、2.栽培してみたい作物の種類、3.小中学校以外の設置・活用場所、4.コストをかけない広報の方法など。NICe全国定例会と同様に自由な意見を願うと述べ、工場野菜に対するイメージについて、学生の皆さんから意見を聞いた。

●工場野菜に対する主なイメージは?
・安心だけれど、味気ない気がする。トマトでいえば、太陽にあたったほうが甘い。工場だと糖度が低い印象がある
・農場野菜より、しっかりしていなさそう。
・土がついた野菜はしっかりしているけれど、工場野菜は見た目が貧弱そうなイメージがある
・おいしくないと思う。こぶりな感じ
・おいしくなさそう、栄養素も低いのでは

●逆の発想で、メリットは何かないか?
・効率よく生産できる
・かたちが揃って生産できると思うので、出荷時の規格に合わせて生産しやすい
・手間がかからない感じがする
・成長も早そうだし、狭い場所でできそう。調整できる
・太陽がなくてもいいから地下でも栽培できる。都会でもつくれる

●当初のイメージと実態の相違を永山氏から
・味覚/トマトでいうと、スーパーで買ったものとほとんど味は変わらない
・栄養価/野菜工場で青い光で栽培するとポロフェノール値が向上するというデータも。栄養価の調整も可能
・貧弱さ/これも調整可能。逆に太い細いなどの生育調整ができるので用途に合わせて生産可能
・価格/確かに製造設備のコスト分はかかる
・市場/実は、知らず知らずに消費者は食べている!

永山氏は続いてNICe全国定例会で参加者から出された意見・アイデアなどを抜粋して紹介し、NICeの勉強会が“頭脳交換会”と呼ばれるワケを語った。

「NICeでも、工場野菜のイメージが最初は良くありませんでした。でも、疑惑をアピールするのが課題です。皆で意見交換を進めていくうち、安全神話の露地栽培の畑も実は作為的につくられた土であること、スーパーでごくごく普通に売られている野菜の中にも実は野菜工場で生産されたものが多く含まれていることが明らかに。そうなれば、じゃそんな既成概念や固定化された単なるイメージを、どう逆転できるかという新たな課題でまた意見交換する。頭脳交換する。とても面白い、突拍子もないアイデアが次々と出ました。それがいいんです。

どうしても同じ業界にいると、発想が広がらない、ほかを知らないことが多々あります。でもNICeは、異なる地域、異なる業種、異なる世代、それぞれの立場で意見が出ます。しかも、『それは無理』とか『それはできない』とか、否定もしない。否定は固定概念ですから。自分だけでは思い浮かばないような、異なる発想・意見だからこそ、新たな発見があるし、思いもよらないアイデアが生まれます。今日はNICeリアルの一例として、皆さんに模擬プレ・頭脳交換を体験していただきました。これまでの定例会やリアルイベントの活動報告は、NICeのサイトにも掲載されているので、ぜひご覧ください」と述べ、NICeの活動事例紹介を終えた。


▲大学×NICe初開催を終え、同日午後開催のNICe「みん関」@京都へ(左から永山氏、小林氏、赤池氏)


■「e-ビジネス実践」担当講師 廣本寿夫先生の一言

「有意義な授業となりました。連携しながら実際につながり、永山さんのように意識を持って、野菜工場を中学校の教材とする。実際のビジネスにしていくことは非常に大事です。すべて発信するのは、ひとり一人の人間ですから、集まって、さらにITなどを使ってもっと深めていくことも有効です。学生のアイデアを聞き、実際に試してくれる企業の皆さんと学べる場をつくるというのは非常に意義がありました」


■出席した学生の皆さんの一言

・NICeの気さくな感じが印象的でした。
・交流会で会って終わりではなく、その後にビジネスとして活動している点、起業家以外の方も参加しているというのが興味深いです。
・自分たちの知恵を出し合える場があるのは良いなと思いました。
・NICeは人とのつながりを大切にしているというのが印象に残りました。
・永山さんの工場野菜とフォークリフトの話し、NICeのシステムが印象的でした。


■大学×NICe 主宰者・赤池大樹氏の一言

「今回のセミナーは、2010年11月参加した「第6回 NICe全国定例会 in 摂津」で、永山仁さんに『大学でNICeの会をやりたい』と言ったことが始まりでした。大学の「eビジネス実践」の授業内容がブレーンストリーミングで、非常にNICeの頭脳交換会に似ていたのため、コラボレーションができるのでは?と思ったのです。
実現までの苦労は、大学という組織をどのように動かすかでした。また、発表前日のリハーサルで実はみんなボロボロで(苦笑)、本当にNICeの皆さんを呼んでいいのかと……。その夜、みんなで討論会のように真剣に取り組んで修正したのですが、『こんな熱い討論ができるんだ!』と感心するほどでした。

無事に開催を終え、今は達成感があります。NICe全国定例会の模擬体験では、学生たちが活発に意見を述べていたのが印象的でした。こんな食いつく授業は初めて見るのは?という感じです。参加者が何か少しでも刺激を受けてくれたのなら嬉しいですし、やって本当に良かったと思います」


■NICeメンバー 和歌山県中小企業団体中央会 連携推進課 主事 黒江政博氏から一言

「NICeの集まりでご一緒した赤池さんが、持ち前の行動力で大学とNICeのコラボイベントを開催したいというのをNICe日記で読んで、ぜひ直接エールを送りたいと思い、和歌山から参加しました。異世代、異文化の融合により、どんな化学反応が生まれるのだろうと非常にワクワクしておりましたが、学生さんたちの斬新なアイデアに、大きな学びや気付きをいただいたのと同時に、彼らの純粋でまっすぐな気持ちに心が洗われる思いがしました。学生さんたちに、大いに刺激とパワーをもらいましたので、その熱い想いをぜひ、3月に地元で開催する「NICe関西」勉強会@和歌山での自分のプレゼンテーションにぶつけたいと思います」


■NICeメンバー 小林京子氏から一言

「『NICe全国定例会 in 摂津』で赤池さんの熱さに触れ、さっそくその場で開催ご協力を申し出ました。今日は、NICeが担当させていただいた後半部分でのファシリテーターとして参加しましたが、学生さんのプレゼンテーションは、実際の生活からのアイデアを形にした内容で、若い世代がどんな生活をして、何が欲しいと思っているかを垣間見ることができました。NICeが、アイデアから事業への頭脳交換会ならば、学生さんは生活のニーズから形にしたアイデア、という違いを感じました。今日は授業としての位置付けなので、緊張感が漂ったものでしたが、“NICe的ゆるさ”も体験していただけたかと思います」


■大学×NICe コーディネーター・NICeメンバー 永山仁氏から一言


「過去に大阪成蹊大学で、社会人と学生が一緒になって事業プランを考える『起業塾』講座を受講したことがあったので、大阪経済法科大学生さんのビジネスプランを拝聴するのはとても楽しみでした。どれもITを駆使した若者らしい柔軟な発想力に基づいたプランで、とても勉強になりましたし、刺激を受けました。

NICeとの出会い、そしてNICeの活動内容を発表させていただくにあたり、学生の皆さんにちゃんと想いを伝えられるかどうか不安でしたが、とても真剣に耳を傾けてくれる姿を拝見して感動しました。模擬頭脳交換会でも、みなさんから活発に意見を頂戴し、NICe×大学という初の試みが今後社会的に意義のある活動になると確信いたしました。さっそく何名かはNICeに参加してくれましたし、ほかの大学生NICeユーザーとつながっています。若い人の行動力は素晴らしい、見習いたいと思いました。今後も機会があれば、大学とのコラボレーションイベントを企画したいと思います。とても勉強になるイベントでした」

取材・文/赤池大樹氏黒江政博氏小林京子氏永山 仁氏
撮影/永山 仁氏


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