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わくわくなるままに/成虫というより、性虫である。


私の自宅の隣は公園である。その隣は寺である。
だから木が多く、わりと涼しい風が吹くという面もあるが、
そんなことはどうでもよくて、
とにかく、セミのうるささったら、たまったもんじゃない。

無理によく解釈すれば、鶏を飼っているようなもんで、
あの大合唱のおかげで、早起きさせていただけるわけだから、
なんてこと、かけらも思うわけはなく、
もう、こいつら、根絶やしにしてやる!と朝から叫びまくる始末だ。

こういうことを言うと(書くと)、よく、
「まあ我慢しなさいよ。セミの一生は短いんだから」とか言う人がいる。

短くないっす。

セミは昆虫の中ではむしろ長寿である。

というと、
「それはそうだけど、大半が幼虫時代で土の中なんだから」とか、
さらに食い下がる人がいる。

おっしゃるとおり、セミの長い人生(蝉生)は、土中で展開される。

でもね、それは何も、いつか地上に出る日を待って、
耐え忍んでいるわけでもなんでもなく、
セミというのは、モグラと一緒で、
基本、土の中が生活圏なのである。

ただし、種の保存の必要上(異性に出合える機会の獲得上)
寿命がつきる前に地上に出てくる。

もっとも地上に出てくると、鳥がいるし、
昆虫採集とか何とか言って網を振り回すガキもいるので、
セミだって、できるなら、安全な土中にいたまま生殖し、一生を終えたいわけだ。
が、安全ということは、そのぶん、行動がしづらいということでもある。
結局、セミは仕方なく地上に出てくる。

もっとも土中生活に適したカラダのままでは危険なので、
敵が来たら逃げたり、いけてる異性がいたらすぐにかけよったりするために、
羽根4枚と足6本をつけることにしている。(羽化するというやつだ)

結局、幼虫・成虫という言葉がまずい。
その言葉のせいで、
土中時代が、セミの「準備期間」のように人は思ってしまう。

人間の幼児成人と、虫の幼虫成虫は、違う。

卵が孵化したら、もう彼らは人生本番なのだ。
親に育てられるでもなく、自らエサをとって生きていく。決して幼くはない。

あとは生殖の為にのみ、変態するのである。

だから成虫は、「成虫」というより、「性虫」といったほうがいいくらいだ。

人間の物差し(価値観)で見る森羅万象は、
結局、人間の価値観の投影でしかない。

虫には虫なりの、ほかのものには、ほかのものなりの世界が、
この地球には厳格に存在している。

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