第7回 長期連作可能! 閉鎖型養液栽培システム

適切な育成植物の組合せや電気分解等により連作障害を防止し、培養液を交換せずに循環利用できる水耕技術。

【イラスト】 宇田未央

技術概要・ポイント

養液栽培あるいは水耕栽培は、管理しやすく、作物の生育が早くて収穫量が多いなど、作業負担が少ないというメリットから、トマトやホウレンソウなどの野菜、メロンやイチゴなどの果物的果菜類などで多く用いられている。
しかし、培養液の廃棄による環境汚染などの問題を抱えている。一方、水耕栽培では、管理のしやすさから、単一植物を栽培する場合がほとんどである。培養液を循環利用するためには、植物の生育に必要な栄養分が植物により異なることから、特定の肥料成分を補給するという煩雑な調整が必要となる。さらに植物の中には,栽培植物自身が成長抑制物質(アレロパシー物質)を放出し、連作障害を起こすものがあり、この対策も必要である。
このような植物の育成の特質を考慮し、異なるプールで栽培する2種類以上の植物を適切に組み合わせて、プール間で培養液を循環させる技術や、電気分解によりアレロパシー物質を分解除去する技術により、培養液の有効利用や連作障害の防止を実現し、循環型水耕栽培システムの構築が可能と
なった。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

富士経済の調査によれば、養液栽培関連資材の市場は2006年度で38億円、2012年には50億円に拡大すると予想されている。また、環境保全型農業資材の市場も拡大傾向にある。
このような中で、本技術は、植物の組合せや電気分解により培養液を有効利用できるシステムとして興味深いのである。
水耕栽培資機材を製造販売する企業や水耕栽培をする農家・企業へ、循環型栽培システム機器として、植物の組合せ技術や電気分解によるアレロパシー物質の分解除去技術の提供などに活用可能である。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
耕種農業
農業サービス業
園芸サービス業
効率化、多品種少量、環境、循環、低コスト、高齢化、
省力化、安全、自然
養液循環型水耕栽培
現在、水耕栽培資機材を製造販売する企業や水耕栽培をする農家、企業に対して、循環型栽培システム機器として、植物の組合せ技術や、電気分解によるアレロパシー物質の分解除去技術の提供などに活用できる。
耕種農業
農業サービス業
教育・学習支援
効率化、多品種少量、環境、循環、低コスト、高齢化、
省力化、安全、自然
連作できる水耕栽培システム
連作できる水耕栽培システムとして、定期的に栽培種を変え、多品種少量生産に対応した安定循環型水耕栽培を行うシステム。
農業サービス業
土木建築工事業
不動産業
新事業、新商品、不動産活用、異業種展開、異業種参入 養液循環型水耕栽培
排水が出にくい養液循環型水耕栽培システムとして、遊休地や遊休建築物などを活用した水耕栽培事業の展開。
耕種農業
農業サービス業
園芸サービス業
効率化、環境、循環、省力化、植物工場、省エネルギー 植物工場
閉鎖系循環型養液栽培システムを植物工場のメインとして位置づけ、他の太陽光発電などの技術を導入し、コラボすることにより、エネルギー低投入型植物工場の構築に活用できる。

用語解説

アレロパシー
植物が放出する物質が他の生物に促進的又は阻害的な何らかの作用を及ぼす現象

プール
水耕栽培をする区域

 

発明の名称 水耕栽培方法
特許権者/出願人 国立大学法人島根大学
出願番号(出願日) 特願2003-64389 (2003.3.11)
公開番号(公開日) 特開2004-267140 (2004.9.30)
特許番号(登録日) 特許第3837537号 (2006.8.11)
FI A01G 31/00
関連特許情報 特願2007ー245673 (2007.9.21)、 特開2005-176748 (2005.7.7)、 特許第4143721号 (2008.6.27)
問い合わせ先名称 島根大学 産学連携センター
郵便番号 690-0816
住所 島根県松江市北陵町2番地
電話 0852-60-2290
FAX 0852-60-2395
URL http://www.shimane-u.ac.jp/