第6回 帯電による液体微粒子の均一散布方法

農薬微粒子を帯電させ、静電誘導効果を利用して葉への付着率アップと同時に他所への飛散抑止効果アップ。

【イラスト】 銀杏早苗

技術概要・ポイント

従来、農薬の散布は動力散布機やヘリコプターで行われていたが、それでは農薬の20?30%程度しか樹木に付着せず、農薬が目的外の場所にドリフトし、環境汚染や人体への悪影響が懸念されている。
また、葉の裏面にも付着しにくいという課題があった。
本シーズである静電気を利用した農薬散布方法では、農薬の微粒子を帯電させ、帯電した農薬微粒子を大気中に噴霧することで静電誘導効果を利用して樹木の葉(の裏側)への付着する効率を向上させている。結果、噴霧ノズル近く(約1m以内)の葉には、農薬の付着量が上昇し、均一性を図った。
さらに、噴霧効率を上げるために送風状態での噴霧を行い、より広範囲にまとめて噴霧する実験を行ったが、こちらは広範囲な静電効果は認められたものの、付着率にやや難が残った。今後、送風の強度と帯電させる電圧の強さの最適値を模索していく。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

日本の農薬化学市場は約3,000億円と言われているが、年-2.3%のマイナス成長であり、農業離れを裏付ける形となっている。
一方、世界的には2兆円近い市場規模があり、ブラジル・フランス・ドイツ・中国など年4?8%の高い成長率を示す国もある。日本の先進的な技術を海外で活せる可能性は高い。
また、本シーズの本質は液体の帯電による付着の効率化であることから、農薬散布に限らず、厨房設備の消毒、食品工場設備の消毒、ホテルの部屋の殺菌、手術室の殺菌など、液体微粒子を全体的にまんべんなく噴霧する必要がある分野への活用が考えられる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
耕種農業
農業サービス業
園芸サービス業
効率化、環境配慮、
飛散防止、安全
効率的な農薬散布方法
ビニールハウス栽培において、本シーズ装置を内部に設置し、殺虫剤や殺菌剤や様々な調整剤の散布に用いる。この装置を用いる行うことで、液剤が無駄なく効率的に噴霧でき、その効果も高まることが期待できる。
食料品製造業
飲食店・宿泊業
百貨店・総合スーパー
効率化、飛散防止、均一化、消毒、殺菌、滅菌、衛生 均一的な消毒(殺菌、滅菌等)方法
食品工業設備、厨房等は、複雑な機器があるにも関わらず高い衛生性を求められる。本シーズにより、従来、隅々まで(裏面まで)行き届かなかった場所でも確実に消毒剤を噴霧することができ、結果、高い衛生性を確保できる。
病院・医療・福祉
旅行業
消毒、衛生、効率化、均一化、飛散防止 均一的な消毒(殺菌、滅菌等)方法
病院、手術室、介護施設、宿泊施設等の高い衛生状態が求められる空間において、効率的に、かつ広範囲に飛散しないような局所的に消毒作業を実施する方法として本シーズの技術が活用可能である。

用語解説

静電誘導
帯電した物体を導体に接近させることで、帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象。

帯電
物体が電気を帯びる現象。

ドリフト
農業においては、農薬散布時に発生する目的外の作物への飛散を意味する。

関連特許情報 ノウハウとして提供
問い合わせ先名称 鳥取大学 産学・地域連携推進機構
郵便番号 680-8550
住所 鳥取市湖山町南4丁目101番地
電話 0857-31-6707
FAX 0857-31-6708
URL http://www.tottori-u.ac.jp/