第3回 大豆1粒の生死判別法

大豆に光を照射して透過・反射光を検出し、そこから得られる情報をもとに大豆1粒ごとの生死を判断する方法。

【イラスト】 宇田未央

技術概要・ポイント

近年、製薬・化学・光学・環境・教育分野など研究・品質管理などで幅広く利用されている近赤外分光法は,迅速・簡便・非破壊・多成分同時計測が可能な技術であり、バイオプロセスの計測・制御に要求される条件と相性が良い。
そこで本技術は、大豆品質の評価に近赤外分光法を用いることを検討した。
従来の評価法は、大豆を水に漬けたときに発芽する大豆の割合である発芽率を指標としてきた。しかし、発芽率測定法では判定に数日を要するだけでなく、全数検査は不可能であった。
本技術の近赤外分光法による大豆の生死判別法は、大豆に光を照射し、透過・反射光を検出してそこから得られる情報をもとに大豆1粒ごとの生死を判断する方法である。これにより、簡便迅速に大豆の発芽率や死細胞の選別が行え、本機能を備えた選別機により大豆の全数検査が可能であり、品質の良好な大豆のみを選別できる。
大豆を用いた加工食品製造の高品質化に役立つのみならず、大豆の商取引における適切な価格設定にも役立つものと思われる。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

農林水産省によれば、我々日本人が一年間に食べる大豆の消費量は約400万トン(平成17年度概算)。そのうち約300万トンはサラダ油などの油を搾るために使われ、残りの約100万トンが、豆腐・納豆・味噌・醤油などの食品用として利用されている。
このように、大豆は日本型食生活に不可欠な食品の原料として 古くから栽培されてきている。
食品の安全安心が叫ばれる中で、大豆一粒ずつの品質管理を可能とする本技術は重要な物になると考えられる。また本技術は穀類や果実などにも応用できるものと考えられる。厳密な管理ができることで、大豆品質の評価による等級分類など、より品質を高める利用法も考えられる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
精密機械器具製造業
産業用機械・装置製造業
食料品製造業
効率化、省力化、安全、照明、色彩、近赤外分光法、
非破壊、多成分同時計測、
大豆、穀類、発芽率、
全数検査、選別、高品質化
穀類全数検査装置
食品の安全安心が叫ばれる中で、穀類や果実一粒ずつの厳密な品質管理ができる検査装置の提供。大豆品質の評価による等級分類や輸入大豆の遺伝子組替え作物の検出や残留農薬反応の検出への応用も期待できる。
園芸サービス業
耕種農業
食料品製造業
効率化、省力化、安全、照明、色彩、近赤外分光法、
非破壊、多成分同時計測、
選別、味、おいしさ、高品質化
作物の熟成度合い評価装置
収穫前の作物の熟成度合いを評価する装置として応用することで、収穫時期を非破壊で測定することで把握することができる。

用語解説

近赤外分光法
測定対象に近赤外線を照射し、吸収された度合い(吸光度)の変化によって成分を算出する間接測定方法。

発芽率
植物の種子を一定条件で発芽させ、播種数に対する発芽数の割合で、作物栽培時に必要な種子数を求める指数。

 


関連特許情報 ノウハウとして提供
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