第24回緑萌え、熱を制するコンクリート緑化ブロック

微生物の生育に適した栄養組成とコンポスト化反応中の成分変化を計測し、適格な反応管理ができる処理装置。

【イラスト】宇田未央

技術概要・ポイント

河川の護岸コンクリートブロックは、強度保持の観点もあって、コンクリート面がむきだしのものが多い。それらが施工された景観は無機質で味気なく、かつ夏期には昼間に蓄積された太陽熱が夜間に放出され、周辺の気温低下を阻害していた。植生用コンクリートブロックもいろいろと開発されてきたが、コンクリートはアルカリ性であるため、コンクリート自体に植物が根付く事が不可能であった。
また、適量の土壌をブロックに埋め込んで植物を植えたとしても、土壌がアルカリ化され枯死してしまう。アルカリ化防止のため、コンクリート面を樹脂で被覆するものもあるがコストが高く普及していない。
そこで、強度と植生に配慮して多孔化したブロック構造にするとともに、土壌の乏しい環境にも生育可能な植物種を選択し、壁面の緑化を安定しておこなうコンクリートブロックを開発した。このブロックには、酸性土と腐葉土とでんぷん系接着剤を混合した土壌を充填し、さらにその表層に培養土を設ける方法で課題を解決している。国の指導等によりコンクリート壁の緑化が検討されているが、本技術による植生コンクリートブロックはその解決策の一つであるといえる。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

富士経済の調査によれば、屋上・壁面緑化の市場規模は2006年度市場規模78億円、11年度予測108億円に伸びると予測している。
業務分野では、事業者の環境意識の高まりや景観の向上による集客効果などにより、医療福祉施、商業施設、大都市の大型施設を中心に食品スーパーなども導入の対象となる。地球温暖化防止やヒートアイランド現象の緩和などの効果を期待して今後施工実績は伸びてゆくと予想される。
本技術により美観面、生態系の保護、熱対策など環境面での問題点を改善した緑化ブロックは、さまざまな形で利用が進むと考えられる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界	業界キーワード	活用アイデアタイトル / 活用アイデアガイヨウ
窯業・土石製品製造業園芸サービス業土木建築工事業	効率化、環境、省力化、護岸、コンクリートブロック、植生、ヒートアイランド	環境に配慮した緑化ブロックおからや油脂などの有機質廃棄物の処理において、微生物反応中の成分変化を計測し、廃棄物の種類に応じた適格な反応管理により高効率に生産するコンポストの供給。
園芸サービス業生活雑貨製品製造業百貨店・総合スーパー	効率化、環境、植生、雑貨、ホームセンター、家庭菜園	コンクリート中和緑化土壌酸性土と腐葉土とでんぷん系接着剤を混合した、コンクリート耐性中和土壌を提供し、土壌の乏しい環境にも生育可能な農業資材を販売する。専用植物種をセットで販売するのも良い。
土木建築工事業各種サービス業不動産業	文字、広告、観光、メッセージ、環境、コンクリートブロック、植生、ヒートアイランド、不動産活用	壁面植生メッセージ事業顧客の要望に応じて緑化ブロックを組合わせることで、文字や絵などをデザインを表現するサービスを提供する。

用語解説

ヒートアイランド現象
都心における気温が郊外に比べ高くなり、等温線を引くと、都心部を中心とした島のようになる現象。

発明の名称	コンクリート製ブロック及びその製造方法
特許権者/出願人	国立大学法人岡山大学他
出願番号(出願日)	特願2006-263591　(2006.9.27)
公開番号(公開日)	特開2008-082036　(2008.4.10)
特許番号(登録日)	特許第3937025号　(2007.4.6)
FI	E02D　29/02

問い合わせ先名称	岡山大学　研究推進産学官連携機構知的財産本部
郵便番号	700-8530
住所	岡山県岡山市津島中1丁目1番1号
電話	086-251-8472
FAX	086-251-8961
URL	http://www.okayama-u.net/renkei/property/