第23回 高速微生物反応によるコンポスト化システム

微生物の生育に適した栄養組成とコンポスト化反応中の成分変化を計測し、適格な反応管理ができる処理装置。

【イラスト】 宇田未央

技術概要・ポイント

有機質廃棄物の処理において、処理場不足や焼却・埋立て等による環境汚染などが深刻な社会問題となっている。
このため、有機質廃棄物をコンポスト(堆肥)に変えて土壌に還元できるコンポスト化が注目されている。特に、食品加工廃棄物であるおからなどは、安全性の高いコンポスト化原料として適している。また、分解が遅い有機質廃棄物である油脂は、そのほとんどが焼却処理されており、より環境負荷の小さい処理法の開発が急務とされている。
ところが、おからや油脂などの有機質廃棄物は微生物の栄養源としては偏った組成となっており、そのままでは速やかなコンポスト化は困難である。
本技術は、おからや油脂などの有機質廃棄物の高速コンポスト化を目指し、各種の計測技術を用いて原料成分を分析し、微生物の生育に適した栄養組成になるよう補助栄養素を添加する技術を確立した。
また、コンポスト化反応中の成分変化を計測する技術により、適格な反応管理を可能としている。原料である有機廃棄物の種類に応じて、このような技術を統合化してシステム化することにより,安全なコンポストをより短時間で生産することができる。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

環境省の調べでは、環境ビジネスは2010年に約47兆円、20年には約58兆円の市場規模になると予想されている。その中でも廃棄物処理は、2010年に約7兆円の市場規模になり、32万人の雇用を生み出す産業へ成長すると見込まれている。
一方、魚介類のアラや生ゴミ等の食品廃棄物及び家畜の糞尿など、日常の食料生産現場や、流通・加工現場からは、大量の有機質廃棄物が排出され、その処理を巡っては大きな社会問題となっている。
微生物の生育に適した環境を調整し高速にコンポスト化する本技術は、従来からの処理装置を高度化安定化する技術として、応用範囲は広いといえる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
飼料・有機質肥料製造業
農業サービス業
耕種農業
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有機質廃棄物、資源処理、
リサイクル
高効率にできる有機質コンポスト
おからや油脂などの有機質廃棄物の処理において、微生物反応中の成分変化を計測し、廃棄物の種類に応じた適格な反応管理により高効率に生産するコンポストの供給。
産業用機械・装置製造業
園芸サービス業
食料品製造業
効率化、環境、循環、
バイオテクノロジー、
バイオプロセス、
有機質廃棄物、資源処理、
リサイクル
有機質廃棄物の高速コンポスト化システム
おからや油脂などの有機質廃棄物の処理において、微生物反応中の成分変化を計測し、適格な反応管理を可能にするとともに、廃棄物の種類に応じた運転条件を統合化した高速コンポスト化システムの提供。
化学工業製品製造業
医薬品製造業
食料品製造業
バイオテクノロジー、
バイオプロセス、
有機質廃棄物、資源処理、
リサイクル、成分抽出
有機質廃棄物から抽出した有用成分
有機質廃棄物の処理において、廃棄物の種類に応じた適格な反応管理により有用な成分を抽出・生産するシステムと有用成分の提供。

用語解説

コンポスト
生ごみや落ち葉などを発酵させて作った堆肥。

 

関連特許情報 ノウハウとして提供
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