【イラスト】 宇田未央
近年、環境保全に関する意識が世界的に広まり、様々な環境問題が取り上げられている中で、従来型の農業が環境へ負荷を与えていることは多く知られている。トラクタの利用、化学肥料の施肥・農薬の使用により生産性の向上や作業の効率化ができた一方、土壌侵食や地下水汚染などの多くの問題が出てきた。また、我が国では農業就労者の減少や高齢化、食糧自給率の低下が深刻化しており、その対策として品種改良とともに農業の理想的な自動化やロボット化が考えられている。環境保全型農業を目指した自律型ロボットの開発にあたり、最小耕うんの一つである局所耕うん栽培を提案するとともに、この栽培方法を実践するロボットを開発している。なお、このロボットは、自然エネルギー、特に太陽光利用で動力をまかなうことを検討している。局所耕うん栽培では、作物の植え付け位置の直下に鉛直の円柱型に深い穴を開けることで耕うん効果を得る一方、雑草の防除はせず、刈り込みにより成長を抑制し共生することを目指し、圃場の多様な生態系の構築を目指している。
日本農業機械工業会の統計によれば、農業機械の生産金額は、2005年5376億円、06年5558億円、07年5230億円と推移しているが、今後の農家の減少から鑑みて2010年には多くて4510億円程度になると見込まれている。市場は縮小するものの、食の生産継続は国家の根本となるものであるから、植物工場などの技術開発により新たなビジネスモデルが構築され新市場が形成されると予想される。環境にやさしくできるだけ自然に近い形で、しかも人間が関与しないロボットによる新たな農業スタイルを提案する本技術は、従来にないビジネスの可能性が期待できる。
ユーザー業界 | 業界キーワード | 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ |
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甲種農業 農業サービス 園芸サービス業 |
農作業ロボット、誘導、 最小耕うん、太陽電池利用、環境、高齢化、省力化、自然 |
自然共生型ロボット農業 独立型太陽電池システムによる自律型ロボットと局所耕うん栽培による生態系保全型農業による農産物の生産。 |
産業用機械・装置製造業 機械・同部分品製造業 園芸サービス業 |
農作業ロボット、農業資材、 育苗、最小耕うん、 太陽電池利用、環境、高齢化、省力化、自然 |
自律型局所耕うん栽培ロボット 独立型太陽電池システムによる自律型ロボットと局所耕うん栽培による生態系保全型農業システムの提供と本ロボット用の苗、機械部品の提供。 |
土木建築工事業 食料品製造業 不動産業 |
農作業ロボット、誘導、 最小耕うん、太陽電池利用、環境、不動産活用、 異業種参入 |
未利用地ロボット農業教育事業 遊休地などを特別に整備することなく活用する機械農業として、また、ロボットによる遠隔操縦で大都市圏の土地がない地域の小中学生が、ロボットで野菜を栽培する体験教育に活用する。 将来の就農率アップに繋げる。 |
局所耕うん
地中に鉛直方向に深く開けた穴に苗を植え込み根付かせて、地表付近の微生物や雑草と共生させる栽培方法。
関連特許情報 | ノウハウとして提供 |
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問い合わせ先名称 | 近畿大学 工学技術研究所 社会連携センター |
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郵便番号 | 739-2116 |
住所 | 広島県東広島市高屋うめの辺1番 |
電話 | 082-434-7000 |
FAX | 082-434-7011 |
URL | http://www.hiro.kindai.ac.jp/index.html |