第15回 栽培量アップ、見ても楽しい立体栽培設備

イチゴ等の果物・野菜を栽培するベットを中空に吊り上げ、可動・立体配置することで省力・省エネ生産。

【イラスト】 宇田未央

技術概要・ポイント

従来、イチゴ等のハウス栽培では、石垣状の斜面に植えたり、栽培ベッドを多段に配置したりして、その栽培量を増やす工夫をしていた。 本シーズは、栽培ベッドをワイヤーで各列2段に吊り上げ、高設栽培で作業通路としている。空間にも2段の栽培ベッドを配置することで、従来の単位面積当たりの植え付け株数を4倍に増やしている。 栽培ベッドは、列ごとに上下移動を可能とし、また2段の栽培ベッドはシーソー動作で上下入れ替わることも可能としている。これらの動作により全ての栽培ベッドが最上部から最下部まで移動でき、各栽培ベッドでの受光量を均一にできると共に、人間の移動をより短くして農作業に従事できることを可能としている。 本シーズを用いたイチゴ栽培の実例として、3.5倍の増収、加温エネルギーを5分の1に低減、作業時間の300時間短縮、作業者の身長に合わせたベッド高で効率的で快適な作業の実現を可能とした。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

日本のアグリ関連市場全体では2005年が370億円、2010年には630億円と予測され、その中、栽培ビジネス市場は2005年で100億円、2010年には300億円程度と大きな成長が見込まれている。
これは農業の法人化による大規模化や設備投資等が大きく影響している。
本シーズの可動立体配置生産プラントはイチゴ栽培に限定するものではなく、既存のビニールハウスを使用して栽培している多くの野菜に適用可能であり、栽培ビジネスの中で利用可能な設備である。また、可動立体配置の見た目の面白さから、観光や学習として子供たちに楽しんで貰える魅力(=魅せる農業現場)も期待できる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
設備工事業
農業サービス業
飲食店・宿泊業
ビニールハウス、ベッド栽培、ハウス栽培、株据置栽培、
省力、省エネ、安心、安全
省力・省エネハウス栽培システム
ビニールハウス等のハウス栽培に本シーズの可動・立体配置システムを取り付けることで、高生産性で低負荷の農業を実現できる。本システムにより、安心・安全な食物を安く大量に生産できる。
設備工事業
農業サービス業
百貨店・総合スーパー
屋上農園、観光農園、都市、屋上緑化、体験農園、都心、省力、省エネ 屋上観光農園システム
大都市圏のビル・百貨店等の大型高層建物の屋上に、本シーズを利用した農作物栽培システムを設置する。都心でできる観光農園。特に、シーソー移動、上下移動を見世物にして子供たちを喜ばせる。
設備工事業
園芸サービス業
土木建築工事業
屋上緑化、園芸、マンション、緑、都会、都心、自然 屋上庭園システム
大都市圏のマンションの屋上に、本シーズを利用した園芸植物栽培システムを設置する。都心マンションに住む住人が一坪オーナー感覚で園芸植物の栽培を楽しむ空間の提供。屋上緑化と一石二鳥を狙う。

用語解説

ハウス栽培
ビニールハウスや温室等を利用して野菜・果物・植物等を栽培すること。無農薬でも防虫効果あり。

 

発明の名称 植物栽培装置
特許権者/出願人 高鷹 生男
出願番号(出願日) 特願2003-309538 (2003.9.2)
公開番号(公開日) 特開2004-275178 (2004.10.7)
特許番号(登録日) 特許第3661152号 (2005.4.1)
FI A01G 9/00
問い合わせ先名称 広島県立総合技術研究所 農業技術センター
郵便番号 739-0151
住所 広島県東広島市八本松町原6869号
電話 082-429-0522
FAX 082-429-0551
URL http://www.pref.hiroshima.lg.jp/page/1199767413375/index.html