第14回 誰でもわかる! 解説付き食肉鮮度評価装置

食肉の組織変成(鮮度変化)にともなうタンパク質変化を捉え、光学的特性を評価する合理的な鮮度評価方法

【イラスト】 銀杏早苗

技術概要・ポイント

多くの場合、人は食肉の鮮度や品質あるいはおいしさを色彩観察によって判別している。 しかし、食肉の色彩現象を視覚的に明らかすることはかなり困難であった。
人のあいまいな視覚による管理には限界があり、視覚に頼らない方法で的確な色彩の科学的管理が必要である。
色彩は色彩≡光×物体×感覚によって判別され、また光の特性や人の視覚的特性が色彩と密接に関係し反射率スペクトルに反映される。 食肉の主要な色素はミオグロビンという色素タンパク質であり、天然あるいは人工的に吸収スペクトルが異なる誘導体があり、多様な色彩を呈する。また固形物の反射色彩の解析は複雑である。
本技術は溶液抽出やサンプル切り出しをしない、非破壊検査手法である。
光学的な手法による測定機器とコンピュータをオンライン接続し、リアルタイムに多くの情報をグラフなどにして視認性を高めるだけでなく、評価・管理を行うシステムのユーザー側に立った解釈を文章や言語によって測定結果情報を表示する、やさしいヒューマン・インターフェースを整えたシステムである。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

食品偽装や消費期限が取り沙汰される昨今の食品事情において、富士経済の調査によれば、食品検査15品目の市場規模は、2005年に134億円、2011年に172億円と予測されている。これらの市場の伸びは、現在、食品衛生に関して、食材にとどまらず、より厳格な検査が求められていることを意味する。一方、農畜産振興機構によれば、牛肉の在庫量は2007年10月で輸入品が67,271トン、国産品が10,347トンで増加傾向にある。
このような中で本技術は、例えばスーパーの店頭や飲食店の店舗で、数値としてかつわかりやすい分析解説による食肉の鮮度評価が可能となる。これにより、店員・顧客双方にとって理解を深めることができる評価装置として展開が期待できる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
精密機械器具製造業
食料品製造業
百貨店・総合スーパー
食肉、鮮度、色彩、
ミオグロビン、非破壊検査、
光学、リアルタイム、解説
高速食肉鮮度評価測定装置
非破壊で大量にリアルタイムに測定できる食肉鮮度評価測定装置として、食品製造業の受入検査からスーパーなどの店頭で容易に鮮度評価する装置として提供する。
化粧品製造業
精密機械器具製造業
病院・医療・福祉
肌、年齢、評価、分析、色彩、ミオグロビン、非破壊検査、
光学、リアルタイム、解説、
化粧品
肌年齢評価装置
食肉の色彩で鮮度を評価するシステムの応用により、人肌を色彩や反射によって見た目ではわからない評価分析をする。 評価は人に配慮した回答がされ、適応する化粧品なども提示する。
各種サービス業
情報処理・提供サービス業
飲食店・宿泊業
食品、鮮度、偽装、評価、
分析サービス、証明
食品安全評価情報提供サービス
本技術により食品鮮度を第3者機関が計測し、その安全度合いや鮮度を評価し、インターネットなどで公開する。閲覧者はそれを参考にスーパーや飲食店を選定できる。

用語解説

スペクトル
光の周波数(あるいは波長)に対する各成分の分布。光はプリズムによって各成分に分解される。

ミオグロビン
筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質。

ヒューマンインターフェース
人とコンピュータなどのシステムを円滑に快適にするできるようにすること。

 

発明の名称 生体組織の光学的鮮度識別法および装置
特許権者/出願人 国立大学法人岡山大学
出願番号(出願日) 特願2005-143463 (2005.5.17)
公開番号(公開日) 特開2006-177923 (2006.7.6)
FI G01N 21/27
問い合わせ先名称 岡山大学 研究推進産学官連携機構知的財産本部
郵便番号 700-8530
住所 岡山県岡山市津島中1丁目1番1号
電話 086-251-8472
FAX 086-251-8961
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