第11回 低棟兼全面水耕ベッドの低コスト高収益施設

施設費40%減、収量1.5倍増の葉菜類に適した水耕栽培施設。低棟タイプなので強風に強い。

【イラスト】 宇田未央

技術概要・ポイント

従来、農業用の水耕栽培の多くはアーチ型もしくは合掌型のビニールハウス内で行われており、それらのビニールハウスの高さは約3.5m以上になる。 本シーズは、作業場所を地上より低い位置に作ることで、作業面を地上高とほぼ同じ高さにし、結果、施設の高さを約2mにまで低く抑えることを可能とした。施設の高さを低く抑えることで、強風に強く、建設部材の短小化や強度部材の軽微化により建設コストを抑えるという効果を生み出し、天井高が低い分ビニールハウス内の空間体積が減少し、空調用燃料費等の維持費低減にも貢献できる。積雪荷重は積雪30cm程度までを見込んでいる。
さらに、地上高に展開する作業面には、水耕栽培の定植パネルを浮かべる栽培ベッドを施設内全面に配置する。作業時は、栽培ベッドの水面に浮かべた定植パネルを、定植時には押し、収穫時には引き寄せて作業者は栽培ベッドの片端の作業場所のみで作業できることを可能とする。
10アール当たりでの比較では、従来ビニールハウスに比べ施設費用で40%の削減を可能とする。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

富士経済の調査によれば、養液栽培関連資材の市場は2006年度で38億円、2012年には50億円に拡大すると予想されている。また、環境保全型農業資材の市場も拡大傾向にある。このような中で本技術は葉菜類などの比較的背の低い作物の栽培において、作業者の負担を抑え効率の良い生産ができる栽培ハウスとして期待できる。
作業姿勢が楽なので、高齢者や障害者にも対応できるハウスとしての活用が見込まれる。
本シーズの低棟ハウスは、水耕栽培だけではなく、魚貝類の養殖場にも適用可能である。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
設備工事業
耕種農業
農業サービス業
ビニールハウス、低コスト、
低棟、高齢者、障害者、
軽労働
葉菜類栽培に適した低棟型ハウス
風害を防ぎ、作業効率アップなどが期待できる、屋根の低い栽培ハウス資材の提供とそれによる葉菜類の栽培事業の展開。
水産養殖業
漁業
設備工事業
ビニールハウス、養殖場、
稚魚、低コスト、低棟
低棟型養殖ハウス施設
主に山間部でヤマメやアユの稚魚を養殖しているような、養殖業者向けに低棟型の養殖ハウスを提供する。
強風対策、低棟による温度調整の容易さ等をアピール。

用語解説

水耕栽培
養液栽培のうち固形培地を必要としないもののこと。 農業、園芸分野で広く利用されている。

 

関連特許情報 ノウハウとして提供
問い合わせ先名称 広島県立総合技術研究所 農業技術センター
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住所 広島県東広島市八本松町原6869号
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